【ビル管過去問】令和5年度 問題98|建築設備|LPガス・エレベーター・エスカレーター・受変電設備を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|建築物の構造概論第98問

問題

建築設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) LPガス容器は一般的に鋼板製のものが多く、高圧ガス保安法に基づく検査合格刻印がされたもの等でなければ使用できない。

(2) エスカレーターの公称輸送能力は、定格速度と踏段幅により決定される。

(3) 受変電設備とは、電力会社から送電された高圧電力を受電し、所定の電圧に下げて建物内で安全に利用できるようにする設備である。

(4) 非常用エレベーターを複数設置する場合は、まとまった位置に設けるのがよい。

(5) エレベーターの安全装置は、建築基準法により定められている。

ビル管過去問|建築設備|LPガス・エレベーター・エスカレーター・受変電設備を解説

この問題は、建築設備に関する基礎知識を横断的に問う問題です。LPガス容器の法規制、エスカレーターの能力の見方、受変電設備の役割、非常用エレベーターの配置計画、エレベーター安全装置の法的根拠が論点です。正しい選択肢は、LPガス容器に関する記述、エスカレーターの公称輸送能力に関する記述、受変電設備の説明、エレベーター安全装置の法的根拠に関する記述であり、誤っているのは非常用エレベーターの配置に関する記述です。非常用エレベーターは火災時の消防活動や避難安全を考えて計画されるため、複数ある場合は「まとまった位置がよい」とは一概にいえず、むしろ分散配置が有利になる場面があります。

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(1) LPガス容器は一般的に鋼板製のものが多く、高圧ガス保安法に基づく検査合格刻印がされたもの等でなければ使用できない。

適切です。その理由は、LPガスを含む高圧ガスの容器は、法令に基づく容器検査に合格し、刻印または標章があるものでなければ流通や充塡に用いることができないからです。実務でも、容器には検査合格を示す刻印等が確認できることが重要です。試験では「容器は自由に使える」のではなく、「法定検査に合格した容器だけが使える」という点を押さえておくことが大切です。

(2) エスカレーターの公称輸送能力は、定格速度と踏段幅により決定される。

適切です。その理由は、エスカレーターの輸送能力は、どのくらいの速さで動くかという定格速度と、何人が並べるかに関わる踏段幅によって左右されるためです。実際の資料でも、踏段幅600mm、定格速度30m/分の機種に対して公称輸送能力が示されており、公称輸送能力がこれらの仕様と結び付いていることが分かります。試験では、エスカレーターの能力が「モーター容量だけ」で決まるわけではなく、速度と幅の組合せで考える点を理解しておくと判断しやすくなります。

(3) 受変電設備とは、電力会社から送電された高圧電力を受電し、所定の電圧に下げて建物内で安全に利用できるようにする設備である。

適切です。その理由は、受変電設備の本質が「高圧で受けた電気を、建物内で使える電圧に変換し、安全に配電すること」にあるからです。建築物では、そのまま高圧を各設備に使うのではなく、変圧器などで適正な電圧に下げ、分電盤などを通して各負荷へ供給します。この説明は受変電設備の基本的な役割を正しく表しています。

(4) 非常用エレベーターを複数設置する場合は、まとまった位置に設けるのがよい。

不適切です。その理由は、非常用エレベーターは火災時に消防隊が建物内へ進入し、消火や救助活動を行うために用いられる設備であり、複数設置する場合は建物全体への到達性や防災上のバランスを考える必要があるからです。「まとまった位置に設けるのがよい」と断定してしまうと、建物の一部にしかアクセスしやすくならず、消防活動上は不利になることがあります。つまり、配置は建物の規模、平面計画、避難計画などを踏まえて検討すべきであり、「複数なら集約が原則」とは言えません。この選択肢は、もっともらしい一般論に見せかけて、配置計画の考え方を雑に単純化している点が誤りです。

(5) エレベーターの安全装置は、建築基準法により定められている。

適切です。その理由は、エレベーターの安全装置や制御器に関する構造基準は、建築基準法およびその施行令・告示に基づいて定められているからです。国土交通省の資料でも、戸スイッチ、施錠装置、制動装置などの安全確保のための技術基準が示されています。したがって、「エレベーターの安全装置は建築基準法により定められている」という記述は正しいです。

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この問題で覚えるポイント

建築設備の問題では、機器の名称だけでなく、「何のための設備か」「どの法令が関係するか」を整理して覚えることが重要です。LPガス容器は高圧ガス保安法の対象であり、検査合格の刻印や標章がある容器でなければ適法に使用できません。エスカレーターの公称輸送能力は、定格速度と踏段幅の組合せで考えるのが基本です。受変電設備は、高圧受電した電力を建物で使える電圧に変換し、安全に配電する設備です。エレベーターの安全装置は建築基準法体系で規定されており、扉の施錠確認、制動装置などが安全確保の中核になります。また、非常用エレベーターは「設置されていればよい」のではなく、火災時に消防活動へ有効に機能する配置であることが重要です。設備問題では、定義、目的、法令、配置計画の考え方をセットで覚えると、似た問題にも対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「なんとなく良さそう」に見える文章をそのまま正しいと思ってしまう点にあります。特に非常用エレベーターの配置は、日常感覚では「まとめた方が管理しやすそう」と感じやすいですが、防災計画では建物全体への到達性や消防活動のしやすさが優先されます。つまり、日常的な効率感覚と、防災設備としての専門的な考え方がずれているのです。また、法令に基づく設備は、用語が難しくても「どの法律の対象か」を押さえると整理しやすくなります。試験では、一部だけ正しそうな表現や、もっともらしい断定表現が誤答の誘導になりやすいので、「本当に常にそう言えるのか」を意識して読むことが大切です。

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