【ビル管過去問】令和5年度 問題57|空気清浄化と換気|換気量・空気交換・エアフィルタ・ガス除去を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|空気環境の調整第57問

問題

空気清浄化と換気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 単位時間当たりに室内に取り入れる外気量を室容積で除したものを空気交換効率という。

(2) 換気の目的の一つに、室内空気と新鮮空気の入れ換えがある。

(3) 単位時間当たりに室内に取り入れる外気量を(外気による)換気量という。

(4) 室内における粉じんの除去は、空調機に設置されているエアフィルタにより行うことができる。

(5) 室内におけるガス状汚染物質の除去は、ケミカルエアフィルタにより行うことができるが、基本的には換気が重要である。

ビル管過去問|空気清浄化と換気を解説

この問題は、換気量、空気交換回数、空気交換効率、エアフィルタ、ケミカルエアフィルタといった、空気環境の調整で頻出の基本用語を正しく区別できるかを問う問題です。特に重要なのは、「外気量を室容積で除した値」は何と呼ぶのかを正確に覚えることです。正しい選択肢は(2)(3)(4)(5)で、最も不適当なのは(1)です。(1)は「空気交換効率」という言葉を使っていますが、ここで表している内容は一般に「空気交換回数」です。似た用語の取り違えを狙った典型的な問題ですので、定義を落ち着いて整理しておくことが大切です。

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(1) 単位時間当たりに室内に取り入れる外気量を室容積で除したものを空気交換効率という。

不適切です。その理由は、単位時間当たりに室内へ取り入れる外気量を室容積で除した値は、一般に「空気交換回数」を表すからです。空気交換回数は、1時間にその室の空気が何回入れ替わるかを示す考え方で、単位は回/hで表されます。たとえば、ある室の容積が100m3で、1時間当たりに200m3の外気を導入していれば、空気交換回数は2回/hとなります。一方、空気交換効率は、室内の空気がどれだけむらなく効率よく入れ替わっているかという「換気の質」に関係する概念であり、単純に外気量を室容積で割っただけで表すものではありません。この問題では、「空気交換回数」と「空気交換効率」という似た言葉を混同していないかが問われています。

(2) 換気の目的の一つに、室内空気と新鮮空気の入れ換えがある。

適切です。その理由は、換気の基本的な目的が、汚れた室内空気を排出し、外の新鮮な空気を取り入れることにあるからです。人がいる室内では、呼気による二酸化炭素、におい、水蒸気、室内発生の粉じん、各種化学物質などが蓄積しやすくなります。これらを放置すると、空気の質が悪化し、快適性の低下だけでなく健康影響につながることもあります。そのため、換気は単に空気を動かすだけではなく、室内の汚染物質を薄めて排出する役割を持っています。建築物衛生管理では、この「汚れた空気を出して、新鮮な空気を入れる」という原則をまず確実に押さえることが大切です。

(3) 単位時間当たりに室内に取り入れる外気量を(外気による)換気量という。

適切です。その理由は、換気量とは一般に、ある時間当たりに室内へ供給される外気の量、または排出される空気の量を指すからです。実務でも、m3/hやm3/minなどで表され、設計や管理の基本指標になります。たとえば、人員数に応じて必要換気量を求めたり、二酸化炭素濃度を基準に必要な外気量を考えたりする際には、この換気量の考え方が土台になります。つまり、換気量は「どれだけの新鮮外気を取り入れるか」という量的な概念であり、空気環境管理の出発点になる重要な用語です。

(4) 室内における粉じんの除去は、空調機に設置されているエアフィルタにより行うことができる。

適切です。その理由は、粉じんのような粒子状汚染物質は、空調機や換気設備に設けられたエアフィルタで捕集できるからです。エアフィルタは、空気中に浮遊する粒子を物理的に取り除くための装置で、プレフィルタ、中性能フィルタ、高性能フィルタなど、目的に応じて使い分けられます。一般建築物では、外気や還気に含まれる粉じんを除去して室内空気環境を保つためにエアフィルタが用いられます。ただし、粒子状物質には有効でも、ガス状物質の除去は得意ではありません。このように、エアフィルタは「粉じん向け」であることを理解しておくと、他の装置との区別がしやすくなります。

(5) 室内におけるガス状汚染物質の除去は、ケミカルエアフィルタにより行うことができるが、基本的には換気が重要である。

適切です。その理由は、ガス状汚染物質には、活性炭などを用いたケミカルエアフィルタが有効な場合がある一方で、基本対策は換気による希釈と排出だからです。ガス状汚染物質には、におい成分や揮発性有機化合物などがあり、粒子状物質とは違って通常のエアフィルタでは十分に除去できません。そのため、吸着材や化学反応材を用いるケミカルエアフィルタが用いられることがあります。しかし、発生量が多い場合や室内全体の濃度管理を考える場合には、汚染空気を外へ出し、新鮮外気を導入する換気が基本になります。設備による補助は大切ですが、まず換気が原則という考え方を押さえておくことが重要です。

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この問題で覚えるポイント

換気量とは、単位時間当たりに室内へ取り入れる外気量、または排出する空気量を表す基本指標です。単位にはm3/hなどが用いられます。空気交換回数は、換気量を室容積で除した値で、1時間に室内空気が何回入れ替わるかを示します。単位は回/hです。これに対して空気交換効率は、室内で空気がどれだけ効率よく入れ替わっているかという換気の質に関する概念であり、単純な換気量÷室容積ではありません。 換気の主な目的は、二酸化炭素、におい、水蒸気、粉じん、化学物質などの室内汚染物質を除去し、新鮮な外気を導入して空気環境を良好に保つことです。粉じんのような粒子状物質にはエアフィルタが有効です。一方、においや揮発性有機化合物などのガス状物質には、ケミカルエアフィルタが用いられることがありますが、基本は換気による希釈と排出です。 試験では、粒子状物質はエアフィルタ、ガス状物質はケミカルエアフィルタまたは換気、という整理がよく問われます。また、「量」を表す用語なのか、「効率」や「性能」を表す用語なのかを区別できることが正誤判断に直結します。

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ひっかけポイント

この問題の最大のひっかけは、「空気交換回数」と「空気交換効率」という、名前がよく似た用語の混同です。受験者は「空気交換」という共通語に引っぱられて、もっともらしく見える表現をそのまま正しいと思いやすいです。しかし、試験では似た言葉でも意味がまったく違うことが多く、定義まで含めて覚えているかが問われます。 また、エアフィルタとケミカルエアフィルタの役割の違いも狙われやすいところです。日常感覚では「フィルタなら何でも空気の汚れを取れる」と考えがちですが、実際には粉じんのような粒子と、におい・化学物質のようなガスでは除去の仕組みが異なります。この「汚染物質の種類ごとに対策が違う」という視点を持っていないと、一部だけ正しい文章にだまされやすくなります。 さらに、「設備で除去できる」と書かれていると、それだけで十分だと思ってしまうのもよくある思考の罠です。実務でも試験でも、ガス状汚染物質対策の基本はまず換気です。補助的な装置の知識だけでなく、「何が基本原則か」まで押さえておくことが、今後の類題対策にもつながります。

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