【ビル管過去問】令和5年度 問題41|ヒトの体内水分|体水分量・細胞内液・脱水症状の基礎を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|建築物の環境衛生第41問

問題

ヒトと水に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 一般成人における体内水分量は、体重の約60%である。

(2) 水分・体液のうち、細胞内液は約2/3である。

(3) 成人の場合、不可避尿として1日最低1L以上の尿排泄(せつ)が必要である。

(4) 一般に、体重当たりの体内水分量は女性より男性の方が多い。

(5) 水分の欠乏率が体重の約2%になると、強い渇きを感じる。

ビル管過去問|ヒトの体内水分|体水分量・細胞内液・脱水症状の基礎を解説

この問題は、ヒトの体内水分の割合、体液の分布、尿として最低限必要な排泄量、男女差、脱水時の症状といった基本事項を確認する問題です。正答は(3)です。体内水分量は一般成人で体重の約60%、体液のうち細胞内液は約3分の2という基本数値は頻出です。また、不可避尿の量は1L以上ではなく、通常はそれより少ない値で考えるため、この数値のズレを見抜けるかがポイントです。体水分に関する問題では、数値を丸ごと暗記するだけでなく、なぜその値になるのかを理解しておくと応用が利きます。

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(1) 一般成人における体内水分量は、体重の約60%である。

適切です。一般成人の体内水分量は、体重のおよそ60%とされています。たとえば体重60kgの成人であれば、約36kg分、すなわち約36Lが体水分というイメージです。もちろん年齢や性別、体脂肪率によって多少変動しますが、試験対策としては「成人男性で約60%」を基本値として押さえることが大切です。脂肪組織は水分が少なく、筋肉は水分が多いため、筋肉量が多い人ほど体水分率は高くなりやすいです。

(2) 水分・体液のうち、細胞内液は約2/3である。

適切です。体液は大きく細胞内液と細胞外液に分けられ、細胞内液は全体の約3分の2、細胞外液は約3分の1です。これは体液分布の基本中の基本です。細胞外液はさらに組織間液と血漿に分かれます。試験では「細胞内液と細胞外液の割合」をそのまま問うことが多いため、「2対1」のイメージで覚えておくと整理しやすいです。細胞の中に多くの水が存在していることを理解しておくと、脱水や浮腫の問題にもつながります。

(3) 成人の場合、不可避尿として1日最低1L以上の尿排泄(せつ)が必要である。

不適切です。不可避尿とは、体内で生じた老廃物を尿として排泄するために、どうしても必要となる最小限の尿量のことです。成人では一般に1日約500mL程度が目安とされ、1L以上が最低限必要というのは多すぎます。この選択肢は「最低1L以上」という数値が誤りです。不可避尿は、腎臓が老廃物をある程度の濃度まで濃縮して排泄できることを前提にした値です。したがって、通常の生理条件では1Lも必要ありません。試験では、このようにもっともらしい大きめの数字を示して受験者を迷わせることがありますので注意が必要です。

(4) 一般に、体重当たりの体内水分量は女性より男性の方が多い。

適切です。一般に男性の方が女性より筋肉量が多く、脂肪の割合が低い傾向があります。筋肉は水分を多く含み、脂肪は水分が少ないため、体重当たりの体内水分量は男性の方が多くなります。逆にいえば、体脂肪率が高いほど体水分率は低くなりやすいです。このため、高齢者や女性では、同じ体重でも体内水分率がやや低めになることがあります。こうした背景を理解すると、脱水リスクの評価にも役立ちます。

(5) 水分の欠乏率が体重の約2%になると、強い渇きを感じる。

適切です。脱水が進むと、まず口渇、つまり喉の渇きが自覚症状として現れます。一般に体重の約2%程度の水分が失われると、はっきりとした渇きを感じるとされています。たとえば体重60kgの人なら、約1.2kg、すなわち約1.2Lの水分喪失に相当します。軽い脱水でも集中力の低下や倦怠感につながるため、体重減少率と症状の関係は重要です。試験では、脱水症状の進行段階と症状の対応を押さえておくと得点しやすくなります。

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この問題で覚えるポイント

ヒトの体内水分量は、一般成人で体重の約60%が基本です。ただし、女性や高齢者、肥満者ではこの割合は低くなる傾向があります。理由は、脂肪組織の水分含有量が少なく、筋肉組織の水分含有量が多いためです。体液の分布は、細胞内液が約3分の2、細胞外液が約3分の1です。細胞外液はさらに組織間液と血漿に分けられます。不可避尿とは、老廃物を排泄するために最低限必要な尿量であり、成人ではおよそ1日500mL程度が目安です。1Lという数字は大きすぎるため注意が必要です。脱水では、体重の約2%の水分が失われると口渇が現れやすくなり、さらに進むと循環障害や意識障害につながります。体水分の問題では、体水分率、細胞内液と細胞外液の比率、不可避尿の目安、脱水時の症状の出現段階をセットで覚えることが重要です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「だいたい正しそうに見える数値」の中に、わずかにずれた数値を紛れ込ませている点にあります。特に尿量は、日常的に1日1L前後出ることがあるため、「最低1L必要」と言われると違和感なく受け入れてしまいやすいです。しかし、ここで問われているのは通常の尿量ではなく、不可避尿という最小限必要な量です。このように、同じ尿量でも「平均的な排泄量」と「最低限必要な排泄量」を混同すると誤答につながります。また、体内水分量や細胞内液の割合は頻出の基本数値なので、そこに意識が向きすぎると、数値のズレた選択肢を見落としやすくなります。試験では、「何の値を聞いているのか」を言葉の定義から確認し、日常感覚ではなく医学的な基準で判断することが大切です。

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