問題
次の熱に関する記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 同じ質量の物質であれば、比熱が大きいほど同じ温度だけ上昇させるために多くの熱量が必要である。
(2) 熱容量は、物体の質量と比熱の両方に関係する。
(3) 同じ熱量を加えた場合、熱容量の大きい物体ほど温度は上昇しにくい。
(4) 比熱は物体の大きさや質量によって変化する値である。
(5) 熱容量の単位にはJ/Kが用いられる。
危険物取扱者乙種4類|比熱と熱容量を解説
熱に関する計算や正誤問題では、比熱と熱容量の違いを正確に区別することが重要です。比熱は「物質1gまたは1kgの温度を1K上げるのに必要な熱量」を表す物質固有の値であり、物体の質量そのものによって変わる値ではありません。熱容量は「その物体全体の温度を1K上げるのに必要な熱量」で、質量と比熱によって決まります。答えは(4)です。比熱を熱容量と混同し、物体が大きくなると比熱も大きくなると考えると誤りになります。

(1) 同じ質量の物質であれば、比熱が大きいほど同じ温度だけ上昇させるために多くの熱量が必要である。
適切です。比熱は、一定量の物質の温度を1K上げるために必要な熱量を表します。同じ質量で同じ温度上昇をさせる場合、比熱が大きい物質ほど多くの熱量が必要です。たとえば、水は比熱が大きい物質なので、同じ質量の金属などに比べて温まりにくく冷めにくい性質があります。熱量は「熱量=質量×比熱×温度変化」で考えるため、質量と温度変化が同じなら、比熱が大きいほど必要な熱量も大きくなります。
(2) 熱容量は、物体の質量と比熱の両方に関係する。
適切です。熱容量は、物体全体の温度を1K上昇させるために必要な熱量です。熱容量は「熱容量=質量×比熱」で表されるため、物体の質量が大きいほど、また比熱が大きいほど大きくなります。たとえば、同じ材質の鉄でも、小さな鉄片より大きな鉄のかたまりのほうが温度を上げるために多くの熱量が必要です。これは比熱が変わったからではなく、物体全体としての熱容量が大きくなったためです。
(3) 同じ熱量を加えた場合、熱容量の大きい物体ほど温度は上昇しにくい。
適切です。熱容量が大きい物体は、温度を1K上げるために多くの熱量を必要とします。そのため、同じ熱量を加えた場合には、熱容量が小さい物体よりも温度上昇は小さくなります。これは「温度変化=加えた熱量÷熱容量」と考えると理解しやすいです。水が温まりにくい、また大きな物体ほど温まりにくいという現象は、熱容量の大きさと関係しています。
(4) 比熱は物体の大きさや質量によって変化する値である。
不適切です。比熱は物質の種類によって決まる値であり、物体の大きさや質量によって変化する値ではありません。たとえば、同じ鉄であれば、少量の鉄でも大量の鉄でも、鉄という物質の比熱は同じです。質量が大きくなると必要な熱量は増えますが、それは熱容量が大きくなるためであって、比熱が大きくなるためではありません。ここでは、比熱と熱容量を混同している点が誤りです。
(5) 熱容量の単位にはJ/Kが用いられる。
適切です。熱容量は、物体全体の温度を1K上昇させるために必要な熱量を表すため、単位にはJ/Kが用いられます。Jは熱量の単位、Kは温度差の単位です。比熱の単位は、質量あたりで考えるためJ/(g・K)やJ/(kg・K)が用いられます。熱容量と比熱は似ていますが、熱容量は物体全体、比熱は単位質量あたりという違いがあります。
この問題で覚えるポイント
比熱は、物質1gまたは1kgの温度を1K上げるために必要な熱量を表す物質固有の値です。物体の量が増えても、同じ物質であれば比熱そのものは変わりません。熱容量は、物体全体の温度を1K上げるために必要な熱量であり、質量と比熱の積で表されます。熱容量=質量×比熱、熱量=質量×比熱×温度変化という関係を押さえると、正誤判断がしやすくなります。比熱が大きい物質は、同じ質量で比べると温まりにくく冷めにくい性質があります。熱容量が大きい物体は、同じ熱量を加えても温度上昇が小さくなります。比熱の単位はJ/(g・K)やJ/(kg・K)、熱容量の単位はJ/Kです。試験では、比熱を「物質ごとの値」、熱容量を「物体全体の値」と整理して覚えることが大切です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、比熱と熱容量を混同させる点にあります。日常感覚では、大きな物体ほど温まりにくいため、「大きい物体は比熱が大きい」と考えてしまいやすいです。しかし、物体が大きいことで増えるのは熱容量であり、比熱ではありません。比熱は物質の種類に注目する値、熱容量は物体全体に注目する値です。また、「同じ熱量」「同じ質量」「同じ温度上昇」などの条件が少し変わるだけで判断が変わるため、文章中の条件を丁寧に読む必要があります。このテーマでは、温まりやすさの感覚だけで判断せず、熱量=質量×比熱×温度変化という式に当てはめて考えると、安定して正答できます。
