【危険物取扱者乙種4類予想問題5】|問22|可燃物の燃焼形態 蒸発燃焼、分解燃焼、表面燃焼、自己燃焼の違い|物理・化学を解説

問題

可燃物の燃焼形態に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 木材は加熱されると液体になって蒸発し、その蒸気が燃焼するため、蒸発燃焼を行う。

(2) 木炭やコークスは、加熱されると可燃性ガスを多量に発生させ、そのガスが燃える分解燃焼を行う。

(3) ガソリンは加熱によって可燃性蒸気を発生し、その蒸気が空気と混合して燃焼するため、蒸発燃焼を行う。

(4) 食用油を布にしみ込ませて放置すると自然発火することがあるが、これは表面燃焼の代表例である。

(5) セルロイドは酸素を含むため、外部から加熱されなくても常に自己燃焼を続ける物質である。

危険物取扱者乙種4類|可燃物の燃焼形態 蒸発燃焼、分解燃焼、表面燃焼、自己燃焼の違いを解説

可燃物の燃焼形態は、燃えている物質が液体から発生した蒸気なのか、固体が熱分解して生じたガスなのか、固体表面そのものなのか、物質内部に蓄積した熱によって発火したものなのかによって区別されます。正解は(3)です。ガソリンは液体そのものが直接燃えるのではなく、液面から発生した可燃性蒸気が空気と混合し、その混合気に着火して燃焼するため、蒸発燃焼に分類されます。木材は分解燃焼、木炭やコークスは表面燃焼が中心です。また、油を含んだ布の自然発火は、酸化熱の蓄積による自己燃焼の例です。燃焼形態を判断するときは、物質の状態だけを見るのではなく、実際に何が空気中の酸素と反応して燃えているのかを確認することが重要です。

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(1) 木材は加熱されると液体になって蒸発し、その蒸気が燃焼するため、蒸発燃焼を行う。

不適切です。木材は加熱されても、ガソリンやアルコールのように液体となって蒸発するわけではありません。木材を加熱すると、木材を構成するセルロースなどの成分が熱によって分解され、可燃性ガスや蒸気が発生します。この可燃性ガスが空気中の酸素と混合し、炎を出して燃焼します。このように、固体が熱分解されて生じた可燃性ガスが燃える現象を分解燃焼といいます。木材、紙、石炭、プラスチックなどは、代表的な分解燃焼を行う物質です。木材の燃焼が進んで揮発成分が少なくなり、炭化した部分が残ると、その炭化物は表面燃焼を行うことがあります。しかし、木材の主な燃焼形態として問われた場合は、分解燃焼と判断します。

(2) 木炭やコークスは、加熱されると可燃性ガスを多量に発生させ、そのガスが燃える分解燃焼を行う。

不適切です。木炭やコークスは、製造過程で加熱され、揮発しやすい成分の多くがすでに取り除かれています。そのため、再び加熱しても木材のように多量の可燃性ガスを発生させるわけではありません。木炭やコークスは、固体の表面で炭素が空気中の酸素と直接反応して燃焼します。この燃焼形態を表面燃焼といいます。表面燃焼では、固体表面が赤くなって燃えることが多く、炎がほとんど見られない場合があります。木炭やコークスのほか、すすや金属粉なども、条件によって表面燃焼を行います。炎が見えない場合でも燃焼が続いていることがあるため、消火後の再燃にも注意が必要です。

(3) ガソリンは加熱によって可燃性蒸気を発生し、その蒸気が空気と混合して燃焼するため、蒸発燃焼を行う。

適切です。ガソリンは引火しやすい液体ですが、液体そのものが直接炎を出して燃えているわけではありません。液面から蒸発したガソリンの蒸気が空気と混ざり、その混合気が燃焼範囲内の濃度となった状態で、火花や炎などの着火源に触れると燃焼します。このような液体の蒸気が燃える燃焼形態を蒸発燃焼といいます。ガソリンは常温でも蒸発しやすく、引火点も低いため、周囲に可燃性蒸気が広がりやすい危険物です。発生した蒸気は空気より重く、低い場所に滞留したり、床面を伝って離れた場所の火源に達したりすることがあります。蒸発燃焼を行う危険物では、液面への直接の着火だけでなく、離れた場所に広がった蒸気への着火にも注意しなければなりません。

(4) 食用油を布にしみ込ませて放置すると自然発火することがあるが、これは表面燃焼の代表例である。

不適切です。油を含んだ布が自然発火する現象は、表面燃焼ではなく、自己燃焼または自然発火の例です。油の種類によっては、空気中の酸素とゆっくり反応して酸化熱を発生します。布や紙に油がしみ込むと、油が広い面積で空気に触れるため酸化反応が進みやすくなります。さらに、油の付着した布を重ねたり、袋や容器に詰めたりすると、発生した熱が外へ逃げにくくなります。熱の発生量が放熱量を上回ると内部温度が徐々に上昇し、最終的に発火温度に達して自然発火することがあります。特に、アマニ油や桐油などの乾性油では酸化反応が進みやすく、この危険性が高くなります。表面燃焼は固体表面と酸素が直接反応する燃焼であり、酸化熱が蓄積して着火源なしに発火する自己燃焼とは区別する必要があります。

(5) セルロイドは酸素を含むため、外部から加熱されなくても常に自己燃焼を続ける物質である。

不適切です。セルロイドは硝酸セルロースなどを主成分とする非常に燃えやすい物質であり、分子中に酸素を含んでいるため、着火すると燃焼が激しく進みやすい性質があります。しかし、通常の状態で外部から加熱されなくても常に燃え続けるわけではありません。燃焼を開始するには、一般に炎、火花、加熱などによって発火に必要な温度まで上昇する必要があります。自己燃焼とは、物質内部で生じる酸化熱、分解熱、吸着熱などが蓄積し、外部から直接火を近づけなくても発火に至る燃焼形態です。分子中に酸素を含んでいることと、常に自然発火することは同じ意味ではありません。セルロイドは燃焼時に熱分解し、可燃性ガスを発生して燃えるため、燃焼形態としては分解燃焼の性質を示します。

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この問題で覚えるポイント

燃焼形態は、実際に何が酸素と反応しているかによって分類します。蒸発燃焼は、液体や加熱によって液体となる固体から発生した可燃性蒸気が燃える現象です。ガソリン、灯油、アルコール、重油、硫黄、ナフタレンなどが代表例です。液体そのものが燃えるのではなく、液面付近に発生した蒸気が燃える点を押さえる必要があります。分解燃焼は、固体を加熱したときに熱分解によって発生した可燃性ガスが燃える現象です。木材、紙、石炭、プラスチック、セルロイドなどが代表例です。表面燃焼は、可燃性ガスをほとんど発生させず、固体表面が酸素と直接反応して燃える現象です。木炭、コークス、すすなどが代表例で、炎を出さず赤熱することがあります。自己燃焼は、物質内部で発生した酸化熱、分解熱、吸着熱などが蓄積し、外部の火源がなくても発火する現象です。乾性油を含んだ布、石炭の堆積物、金属粉などで起こることがあります。蒸発燃焼と分解燃焼は、どちらも発生した気体が炎を出して燃える点では似ていますが、蒸発燃焼では液体から蒸気が発生し、分解燃焼では固体の化学的な分解によって可燃性ガスが発生します。表面燃焼と自己燃焼も混同しやすいものの、表面燃焼は燃えている状態の分類であり、自己燃焼は熱が蓄積して発火に至る仕組みを表しています。固体だから分解燃焼、液体だから蒸発燃焼と単純に決めるのではなく、物質の加熱時の変化と燃えている成分を確認することが正誤判断につながります。

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ひっかけポイント

燃焼形態の問題では、物質の見た目や通常時の状態だけで判断させる表現がよく使われます。木材は固体ですが、固体表面が直接燃えるのではなく、主に熱分解で発生した可燃性ガスが燃えるため、分解燃焼です。木炭は木材から作られるため同じ燃え方だと思いやすいものの、木炭では揮発成分の多くが失われており、固体表面が直接酸素と反応する表面燃焼が中心となります。また、炎が出ていることから液体そのものが燃えているように見えても、ガソリンなどでは液面から発生した蒸気が燃えています。自然発火する現象を表面燃焼と結び付ける文章にも注意が必要です。油を含んだ布の発火は、布の表面が燃えることが本質ではなく、酸化熱が逃げずに蓄積することが原因です。さらに、物質が分子中に酸素を含んでいるという一部だけ正しい説明に、常に燃える、必ず自然発火するなどの誤った結論を組み合わせる形式も頻出します。専門用語の正誤を判断するときは、前半の説明が正しくても、後半の条件や結論まで正しいとは限らないことを意識する必要があります。

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