問題
次の危険物のうち、移送や注入の際に静電気が最も発生・蓄積しやすいものはどれか。
(1) ヘキサン
(2) グリセリン
(3) エチレングリコール
(4) 重油
(5) 水
危険物取扱者乙種4類|危険物の静電気対策を解説
移送や注入時に発生する静電気の危険性は、液体の導電性や粘度、極性の有無によって大きく変わります。特に非極性で電気を通しにくい軽質の有機溶剤は静電気が逃げにくく蓄積しやすいため危険性が高くなります。答えは(1)ヘキサンであり、理由は電気を通しにくい非極性の揮発性液体であるためです。

(1) ヘキサン
適切です。 ヘキサンは非極性の炭化水素で電気をほとんど通さず、導電性が極めて低い液体です。移送や注入の際に配管やホースとの摩擦で電荷が発生しても逃げにくく、液体中に静電気が蓄積しやすくなります。また粘度が低く流動性が高いため流速が上がりやすく、摩擦帯電が増えることも静電気発生を助長します。このため第4類危険物の中でも特に静電気対策が重要な物質です。
(2) グリセリン
不適切です。 グリセリンは水酸基を複数持つ極性の強い物質であり、比較的電気を通しやすい性質があります。さらに粘度が非常に高く流動が穏やかなため、移送時の摩擦帯電が起こりにくい特徴があります。そのため静電気が急激に蓄積する危険性はヘキサンより低くなります。
(3) エチレングリコール
不適切です。 エチレングリコールも水酸基を持つ極性液体で、水とよく混ざる性質があります。導電性は炭化水素系に比べて高く、電荷が分散されやすいため静電気の蓄積は抑えられます。また粘度も一定程度あるため流動による摩擦帯電もヘキサンほど大きくありません。
(4) 重油
不適切です。 重油は炭化水素系ではあるものの、粘度が高く流動が緩やかです。そのため移送時の摩擦帯電は比較的抑えられ、静電気の発生はヘキサンほど顕著ではありません。また軽質炭化水素と比べると揮発性も低く、流速が上がりにくい点も静電気発生を抑制する要因になります。
(5) 水
不適切です。 水は極性が強く導電性が高い液体であり、電荷が発生してもすぐに拡散して消失します。そのため静電気が蓄積することはほとんどありません。危険物の中でも静電気対策上は最も安全側に位置する物質です。
この問題で覚えるポイント
静電気は電気を通しにくい非極性液体ほど蓄積しやすく、特にヘキサンやガソリンのような軽質炭化水素は代表例になります。逆に水やアルコール類のような極性物質は導電性があり電荷が逃げやすいため静電気はたまりにくいです。さらに粘度が低く流速が速いほど摩擦帯電が増えるため、軽くてサラサラした油ほど危険性が高くなるという点が重要です。
ひっかけポイント
静電気の問題では「重油も油だから危ない」と直感的に考えてしまい誤答しやすい点が典型的な罠です。実際には粘度が高いと流動が抑えられ、摩擦による帯電が減るため一概に油だから危険とは言えません。また水やグリセリンのように「液体=静電気が起きる」と誤解しやすいですが、導電性が高い液体は電荷がすぐ逃げるため蓄積しにくいという性質があります。この問題は「非極性で低粘度の液体が最も危険」という本質を見抜けるかどうかがポイントになります。
