【ビル管過去問】令和6年度 問題113|給水配管の構造と管理を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|給水および排水の管理第113問

問題

給水配管に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 硬質ポリ塩化ビニル管の接合は、一般に融着接合で行う。

(2) 飲料水用配管は、他の配管系統と識別できるようにする。

(3) ウォータハンマ防止器は、ウォータハンマ発生箇所に近接して設置する。

(4) 銅管は、銅イオンが水に浸出して青水が生じることがある。

(5) ステンレス鋼管は、酸化被膜により耐食性を有している。

ビル管過去問|給水配管の構造と管理を解説

この問題は、給水配管に用いられる代表的な管材の性質、接合方法、そして維持管理上の基本事項を正しく理解しているかを問う問題です。配管材料ごとに「どのように接合するのか」「どのような劣化や障害が起こるのか」「なぜその材料が耐食性を持つのか」を整理して覚えておくことが大切です。結論として、不適当なのは(1)です。硬質ポリ塩化ビニル管の接合は、一般に接着接合で行います。一方で、(2)から(5)は、給水配管の識別、安全管理、材料特性に関する正しい記述です。

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(1) 硬質ポリ塩化ビニル管の接合は、一般に融着接合で行う。

不適切です。硬質ポリ塩化ビニル管の接合は、一般には接着接合で行います。専用の接着剤を用いて管と継手を一体化させる方法が基本です。融着接合というのは、熱を加えて材料同士を溶かし合わせる方法で、主にポリエチレン管などで用いられる接合方法です。したがって、硬質ポリ塩化ビニル管に対して「一般に融着接合」とするのは、管種と接合方法を取り違えた記述です。この問題では、材料ごとの代表的な接合法を正確に区別できるかが問われています。

(2) 飲料水用配管は、他の配管系統と識別できるようにする。

適切です。建築物内には、飲料水配管のほか、雑用水、消火用配管、空調用配管、排水管など、さまざまな系統の配管があります。飲料水用配管が他系統と明確に識別できないと、誤接続や誤操作の原因となり、衛生事故につながるおそれがあります。そのため、色分け、表示、系統図の整備などによって識別可能にしておくことが重要です。特に飲料水は人が直接摂取するものであるため、衛生上の安全確保の観点からも、他系統との明確な区別は基本中の基本です。

(3) ウォータハンマ防止器は、ウォータハンマ発生箇所に近接して設置する。

適切です。ウォータハンマは、急閉止水栓や電磁弁などで水流が急激に止められたときに、配管内に圧力の衝撃が生じる現象です。この衝撃圧は、騒音や振動を発生させるだけでなく、継手の緩みや配管損傷の原因にもなります。ウォータハンマ防止器は、この衝撃を吸収、緩和するための装置であるため、圧力変動が起こる箇所の近くに設置するのが効果的です。発生源から離れた場所に設けても、衝撃を十分に抑えられないことがあるため、「近接して設置する」という考え方は正しいです。

(4) 銅管は、銅イオンが水に浸出して青水が生じることがある。

適切です。銅管は耐食性や施工性に優れ、給水、給湯配管で広く用いられますが、水質条件によっては銅がわずかに溶出し、青水を生じることがあります。青水とは、銅イオンが水中に溶け出し、洗面器具や衛生陶器などに青緑色の着色を生じさせる現象です。特に水が滞留しやすい場合や、水質が銅の溶出を促進する条件にある場合には発生しやすくなります。銅管は便利な材料ですが、まったく腐食しないわけではなく、材料特有の現象として青水を理解しておくことが重要です。

(5) ステンレス鋼管は、酸化被膜により耐食性を有している。

適切です。ステンレス鋼は、表面に非常に薄い不動態皮膜、つまり酸化被膜を形成することで、高い耐食性を発揮します。この皮膜が金属表面を保護し、内部まで腐食が進行しにくくなります。これがステンレス鋼管が給水配管材料として高い評価を受ける理由の一つです。ただし、どのような環境でも絶対に腐食しないわけではなく、塩化物イオンが多い環境などでは孔食やすきま腐食が起こることもあります。それでも、基本的な説明として「酸化被膜により耐食性を有している」は正しい記述です。

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この問題で覚えるポイント

硬質ポリ塩化ビニル管の代表的な接合方法は接着接合です。融着接合は主にポリエチレン管などで使われるため、管種と接合法をセットで覚えることが重要です。 給水配管、とくに飲料水系統は、他の配管系統と明確に識別できるようにすることが原則です。誤接続防止は衛生管理上の最重要事項の一つです。 ウォータハンマは、水流の急停止により生じる衝撃圧です。急閉止弁、電磁弁、洗浄弁などの近くで発生しやすく、防止器は発生箇所の近くに設置するのが基本です。 銅管では、銅イオンの溶出により青水が生じることがあります。赤水は鉄系配管の腐食、白濁水は亜鉛めっき鋼管の亜鉛由来であり、色と原因物質の対応を整理しておくと正誤判断に強くなります。 ステンレス鋼管の耐食性は、表面の不動態皮膜によるものです。ただし、塩化物イオンの多い環境などでは局部腐食が起こり得るため、「耐食性が高い」と「絶対に腐食しない」は区別して理解する必要があります。 試験では、配管材料の名称だけでなく、接合方法、代表的な腐食障害、維持管理上の注意点まで組み合わせて問われることが多いです。材料ごとの特徴を表で整理する感覚で覚えると得点しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「それらしく聞こえる接合方法」を別の管材から持ってくる点にあります。融着接合という言葉自体は実在するため、接合方法の名称だけ覚えていて、どの管に使うかまで整理できていないと誤答しやすいです。また、配管材料の問題では、「材質」「接合方法」「腐食現象」「管理上の注意」が別々の知識として頭に入っていると混同しやすくなります。たとえば、青水、赤水、白濁水の原因物質を曖昧に覚えていると、正しい文章に見えてしまいます。さらに、ステンレス鋼の耐食性についても、「耐食性がある」ことを「まったく腐食しない」と誤解すると、応用問題で引っかかります。今後も、配管材料は「何でできているか」だけでなく、「どうつなぐか」「何が起こりやすいか」まで一体で覚えることが大切です。

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