出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|給水および排水の管理第106問
問題
給水及び排水の管理に関する用語と単位の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) 給湯配管からの熱損失 ――― W
(2) 腐食速度 ――― mm/年
(3) 水の比熱 ――― J/℃
(4) 水の密度 ――― kg/m3
(5) 濁度 ――― 度
ビル管過去問|給水排水の管理用語と単位の対応関係を解説
この問題は、給水排水の管理で使われる基本的な物理量と、その単位の対応を問う知識問題です。計算問題そのものではありませんが、熱、密度、腐食、濁度といった各分野の基本単位を整理して覚えているかが試されています。正解は(3)の「水の比熱 ――― J/℃」です。比熱は、単に温度変化1℃当たりの熱量ではなく、「単位質量当たり」の概念を含むため、単位はJ/(kg℃)またはJ/(kgK)で表します。これに対して、給湯配管からの熱損失は単位時間当たりの熱量なのでW、腐食速度は長さの減少量を年当たりで示すのでmm/年、水の密度はkg/m3、濁度は度で表されます。
(1) 給湯配管からの熱損失 ――― W
適切です。熱損失は、どれだけの熱が単位時間当たりに失われるかを表す量であり、仕事率や熱流束の基礎となる単位としてW(ワット)が用いられます。1Wは1秒間に1Jのエネルギーが移動することを意味します。給湯配管では、配管表面や保温材の性能によって周囲へ熱が逃げていきますが、その損失量を扱うときは「熱量そのもの」ではなく「時間当たりの熱量」で考えるため、単位はWになります。ここでJとWを混同しないことが大切です。
(2) 腐食速度 ――― mm/年
適切です。腐食速度は、配管や金属材料がどれくらいの速さで減肉していくかを表す指標であり、通常は1年間で何mm減るかという形でmm/年が使われます。腐食は配管の耐久性や更新時期の判断に関わる重要な要素であり、実務でも減肉の進行度合いをこの単位で把握することがよくあります。単なる長さの単位であるmmではなく、時間の概念を含むmm/年である点がポイントです。
(3) 水の比熱 ――― J/℃
不適切です。比熱は、物質1kgの温度を1℃上げるのに必要な熱量を表す量です。したがって、単位はJ/(kg℃)で表します。J/℃だけでは、どれだけの質量に対する熱量なのかが抜け落ちており、比熱の定義になっていません。比熱は「単位質量当たり」であることが本質なので、このkgが抜けると別の量になってしまいます。試験では、もっともらしく見えるように質量の単位だけを外して誤答肢にすることがあるため注意が必要です。
(4) 水の密度 ――― kg/m3
適切です。密度は、単位体積当たりにどれだけの質量があるかを示す物理量です。したがって、SI単位系ではkg/m3で表します。水の密度は温度によってわずかに変化しますが、設備管理や計算では概ね1,000kg/m3前後として扱われます。ここでは「質量÷体積」という定義を押さえておけば、kg/m3という単位は自然に判断できます。比重や比容積と混同しないように整理しておきましょう。
(5) 濁度 ――― 度
適切です。濁度は、水の濁りの程度を表す指標であり、日本の設備管理や水質管理では「度」で示されます。濁度は、水中に浮遊する微粒子による光の散乱や透過のしにくさに関連する量で、給水の水質評価で重要です。単位としては質量濃度のようなmg/Lではなく、濁りの程度を示す独自の尺度として「度」を用いる点が特徴です。色度や残留塩素など、似た水質項目と単位を混同しないようにすることが大切です。
この問題で覚えるポイント
この問題では、まず「物理量の意味」と「単位の構造」をセットで覚えることが大切です。熱損失は単位時間当たりの熱量なのでW、腐食速度は時間当たりの減肉量なのでmm/年、密度は単位体積当たりの質量なのでkg/m3というように、定義から単位を導けるようにしておくと忘れにくくなります。 特に注意したいのが比熱です。比熱は「1kg当たり」「1℃上げるのに必要な熱量」という意味を持つため、J/(kg℃)で表します。質量のkgが抜けたJ/℃は、比熱ではなく別の量になってしまいます。試験ではこのように、本来の単位から一部だけを外して誤りにするパターンがよく出ます。 また、水質関係の指標には、それぞれ固有の単位があります。濁度は「度」で表し、濃度系のmg/Lとは別物です。設備管理では、温度、熱量、流量、濃度、密度など似た概念が多いため、意味と単位の対応を一つずつ整理して覚えることが重要です。 単位問題は暗記だけで解こうとすると混乱しやすいですが、「何を表す量なのか」を考えると判断しやすくなります。たとえば密度なら質量÷体積、腐食速度なら長さ÷時間、比熱なら熱量÷(質量×温度変化)という形で理解しておくと、初見の選択肢にも対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「単位の一部だけを抜いたり、似た量の単位と入れ替えたりして、正しそうに見せること」です。特に(3)のJ/℃は、一見すると熱に関する単位として自然に見えますが、比熱には「単位質量当たり」という要素が必要なので、kgが入らなければなりません。ここを見落とすと誤答しやすくなります。 また、JとWの混同も典型的です。Jは熱量やエネルギーそのもの、Wは単位時間当たりのエネルギー移動量です。給湯配管からの熱損失は、時間とともに逃げる熱を扱うためWになりますが、熱に関係するというだけでJを選びたくなる受験者は少なくありません。 さらに、濁度のように日常ではなじみの薄い単位も狙われやすいです。濁りという現象から濃度の単位を連想してしまうと誤りやすくなります。試験では、「その量が何を意味するか」を考えずに語感だけで選ぶ受験者を狙ってきます。単位問題は丸暗記よりも、物理量の定義から確認する習慣をつけることが得点につながります。
