【ビル管過去問】令和6年度 問題84|床衝撃音の種類と防音対策(軽量床衝撃音重量床衝撃音)を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|空気環境の調整第84問

問題

床衝撃音に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 軽量床衝撃音の対策として、床仕上げ材を柔らかくすることが効果的である。

(2) 重量床衝撃音は、主に低周波数域の成分を含む。

(3) 床衝撃音に関する遮音等級のLr値は、値が小さい方が、遮音性能が高いことを表す。

(4) 床衝撃音に対しては、一般に学校よりもホテルの方が高い遮音性能が求められる。

(5) 重量床衝撃音の対策は、床躯(く)体構造の質量の低減が基本である。

ビル管過去問|床衝撃音の種類と防音対策(軽量床衝撃音重量床衝撃音)を解説

この問題は、床衝撃音の種類ごとの特徴と、それぞれに適した防音対策を理解しているかを問う問題です。床衝撃音は、軽量床衝撃音と重量床衝撃音で性質も対策も異なります。正しい選択肢の内容は、軽量床衝撃音には柔らかい床仕上げ材が有効であること、重量床衝撃音は低周波数成分を多く含むこと、Lr値は小さいほど遮音性能が高いこと、ホテルは学校より高い遮音性能が求められることです。一方で、重量床衝撃音の対策として床躯体の質量を低減するという記述は逆であり、不適当です。重量床衝撃音では、一般に床躯体の質量や剛性を高めることが基本になります。

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(1) 軽量床衝撃音の対策として、床仕上げ材を柔らかくすることが効果的である。

適切です。その理由は、軽量床衝撃音は、スプーンや小物の落下音、硬い靴で歩く音など、比較的軽くて高い周波数成分を多く含む衝撃によって生じる音だからです。この種の音は、衝撃が加わった瞬間の接触部分で発生するため、床表面にカーペットや弾性床材のような柔らかい仕上げ材を用いることで、衝撃を吸収しやすくなります。つまり、音の発生そのものを弱めることができるため、軽量床衝撃音の低減に有効です。軽量床衝撃音は、床表面の仕上げの工夫で改善しやすいという点が重要です。

(2) 重量床衝撃音は、主に低周波数域の成分を含む。

適切です。その理由は、重量床衝撃音は、子どもの飛び跳ねや人が強く踏み込む動作のように、大きな力が床全体に加わって発生する音だからです。このときは床板の表面だけでなく、床躯体全体が振動しやすくなります。その結果、比較的低い周波数域の成分を多く含む音になります。低周波の音は減衰しにくく、遠くまで伝わりやすいため、軽量床衝撃音より対策が難しい傾向があります。試験では、軽量床衝撃音は高周波寄り、重量床衝撃音は低周波寄りという対比を押さえておくことが大切です。

(3) 床衝撃音に関する遮音等級のLr値は、値が小さい方が、遮音性能が高いことを表す。

適切です。その理由は、床衝撃音レベルは、一般に数値が小さいほど、下階に伝わる音が小さいことを意味するからです。つまり、Lr値が小さいほど床衝撃音遮断性能が優れていると判断します。ここは、音に関する指標の中でも混同しやすいところです。例えば、遮音量や透過損失のように「大きいほど性能がよい」指標もありますが、床衝撃音レベルは「小さいほどよい」という逆の見方になります。この数値の向きの違いは、試験で非常によく問われるポイントです。

(4) 床衝撃音に対しては、一般に学校よりもホテルの方が高い遮音性能が求められる。

適切です。その理由は、ホテルは宿泊施設であり、利用者に静かで落ち着いた居住性、快適性が強く求められる用途だからです。上階や隣室の足音が聞こえると、睡眠や滞在満足度に大きく影響します。そのため、学校よりも高い床衝撃音遮断性能が求められるのが一般的です。学校でも騒音対策は必要ですが、ホテルほど静穏性が最優先される用途ではありません。建築用途ごとに要求される音環境の水準が異なることを理解しておくと、類題にも対応しやすくなります。

(5) 重量床衝撃音の対策は、床躯(く)体構造の質量の低減が基本である。

不適切です。その理由は、重量床衝撃音の対策として基本になるのは、床躯体の質量を低減することではなく、むしろ十分な質量や剛性を確保することだからです。重量床衝撃音は、床全体が大きく振動することで下階に伝わります。そのため、床が軽いと振動しやすくなり、音も伝わりやすくなります。逆に、コンクリートスラブを厚くするなどして床の質量を大きくすると、振動しにくくなり、重量床衝撃音の低減につながります。この選択肢は、「軽くする方が音が伝わりにくそうだ」という直感を利用したひっかけですが、実際には重量床衝撃音では逆です。

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この問題で覚えるポイント

床衝撃音は、軽量床衝撃音と重量床衝撃音に分けて整理することが重要です。 軽量床衝撃音は、物の落下音や硬い足音などに代表され、高周波数域の成分が多いのが特徴です。対策は、カーペット、クッション材、弾性床材など、床表面を柔らかくして衝撃を吸収する方法が有効です。 重量床衝撃音は、飛び跳ねや強い踏み込みなどに代表され、低周波数域の成分が多いのが特徴です。対策は、床躯体の質量や剛性を高めて、床全体が振動しにくい構造にすることが基本です。 軽量床衝撃音は仕上げ材の工夫で対応しやすい一方、重量床衝撃音は躯体そのものの性能に左右されやすく、対策が難しいという違いがあります。 床衝撃音レベルの等級では、Lr値は小さいほど性能がよいと判断します。ここは「数値が小さいほど優秀」という点が重要です。 建物用途によって求められる遮音性能は異なり、一般にホテルや住宅のような静穏性が重視される建物では、学校などより高い遮音性能が求められます。 音の指標は、「大きいほどよい」ものと「小さいほどよい」ものがあるため、指標ごとの意味を混同しないことが正誤判断に直結します。

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ひっかけポイント

もっとも多い罠は、軽量床衝撃音と重量床衝撃音の対策を入れ替えてしまうことです。表面を柔らかくする対策は軽量床衝撃音に有効であり、重量床衝撃音には本質的な対策になりにくいです。 「質量の低減」という表現は、軽くすれば音も減りそうだという日常感覚を利用したひっかけです。しかし、重量床衝撃音では床が軽いほど振動しやすくなるため、実際には逆方向です。 Lr値は小さいほどよいという点も、受験者が混同しやすい部分です。遮音量や透過損失のように大きいほどよい指標の感覚で読むと、誤答しやすくなります。 「一部は正しそうに見えるが、最後の結論だけ逆」という文章にも注意が必要です。特に防音振動分野では、用語や方向性を少しだけずらした選択肢が頻出です。 建物用途の問題では、学校、事務所、ホテル、住宅などの静穏性要求の差を曖昧に覚えていると迷いやすくなります。何が重視される用途なのかを具体的にイメージしておくことが大切です。

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