【ビル管過去問】令和6年度 問題74|空調ポンプ(ポンプの種類と特徴)を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|空気環境の調整第74問

問題

空気調和設備のポンプに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) ダイヤフラムポンプは、薬液注入などに用いられることが多い。

(2) ターボ型ポンプは、連続的に送水でき脈動が少ないことが特徴である。

(3) 渦巻きポンプは、油輸送などの粘度の高い液体の輸送用途に用いられることが多い。

(4) ポンプの急停止による水撃作用を防止するには、緩閉式逆止め弁を用いる方法がある。

(5) 流体のある部分の圧力が低下し、局部的な蒸発により気泡が発生する現象をキャビテーションという。

ビル管過去問|空調ポンプ(ポンプの種類と特徴)を解説

この問題は、空調設備で用いられる各種ポンプの特徴と、水撃作用やキャビテーションといった運転上の重要現象を正しく理解しているかを問う問題です。正しい選択肢の知識を積み上げると、ダイヤフラムポンプは薬液注入に適し、ターボ型ポンプは脈動が少なく連続送水に向き、水撃作用の防止には緩閉式逆止め弁などの対策があり、圧力低下による気泡発生はキャビテーションであることがわかります。したがって、粘度の高い液体の輸送用途を渦巻きポンプの特徴としている記述が不適当です。正答は(3)です。

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(1) ダイヤフラムポンプは、薬液注入などに用いられることが多い。

適切です。ダイヤフラムポンプは、膜の往復運動によって液体を送り出す容積形ポンプの一種です。吐出量を比較的正確に調整しやすく、腐食性のある薬液や少量の薬品を定量的に注入する用途に適しています。空調設備や給水設備でも、薬品注入装置として使われることがあり、実務上もよくみられる使い方です。

(2) ターボ型ポンプは、連続的に送水でき脈動が少ないことが特徴である。

適切です。ターボ型ポンプは、羽根車の回転によって流体に速度エネルギーや圧力エネルギーを与える形式のポンプで、渦巻きポンプが代表例です。回転運動によって連続的に流体を送り出すため、往復動ポンプのような脈動が小さいことが特徴です。空調設備の冷温水循環などでは、安定して連続運転できることが重視されるため、この特徴は非常に重要です。

(3) 渦巻きポンプは、油輸送などの粘度の高い液体の輸送用途に用いられることが多い。

不適切です。渦巻きポンプはターボ型ポンプの代表であり、水のような比較的低粘度の液体を大量に連続輸送するのに適しています。一方で、粘度の高い液体では流動抵抗が大きくなり、ポンプ効率が低下しやすいため、渦巻きポンプは必ずしも適しません。油のような高粘度液体の輸送には、ギヤポンプやねじポンプなどの容積形ポンプが用いられることが多いです。このため、この記述はポンプの適用範囲を取り違えており、不適当です。

(4) ポンプの急停止による水撃作用を防止するには、緩閉式逆止め弁を用いる方法がある。

適切です。水撃作用は、配管内を流れる水の流速が急激に変化したときに発生する圧力上昇現象で、ウォーターハンマーとも呼ばれます。ポンプが急停止すると流れが急変し、大きな衝撃圧が配管や機器に加わることがあります。これを防ぐ方法の一つが、弁を急に閉じず、ゆるやかに閉まる緩閉式逆止め弁を用いることです。流速変化を緩やかにすることで、圧力の急上昇を抑えられます。

(5) 流体のある部分の圧力が低下し、局部的な蒸発により気泡が発生する現象をキャビテーションという。

適切です。キャビテーションは、流体の局部圧力がその温度における飽和蒸気圧より低くなったときに、液体の一部が蒸発して気泡が生じる現象です。その気泡が高圧部に移動してつぶれる際に、衝撃や騒音、振動を生じ、羽根車やケーシングを損傷させることがあります。ポンプの吸込条件が悪い場合などに発生しやすく、ポンプ管理では特に注意すべき現象です。

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この問題で覚えるポイント

ポンプは大きく、ターボ型ポンプと容積形ポンプに分けて整理すると理解しやすいです。 ターボ型ポンプは羽根車の回転で流体を連続的に送る方式で、代表例は渦巻きポンプです。大量送水、連続運転、脈動が少ないという特徴があります。 渦巻きポンプは水や冷温水のような低粘度液体の搬送に適しており、空調設備ではもっとも基本的なポンプです。 粘度の高い液体や定量送液には、容積形ポンプが適することが多いです。代表例として、ギヤポンプ、ねじポンプ、ダイヤフラムポンプがあります。 ダイヤフラムポンプは薬液注入などに使われやすく、少量を比較的正確に送る用途で重要です。 水撃作用は、流速の急変によって生じる圧力変動です。急閉止を避ける、緩閉式逆止め弁を用いる、サージ対策を行うなどが基本です。 キャビテーションは、局部的な圧力低下によって液体が気化し、気泡が発生してつぶれる現象です。騒音、振動、性能低下、損傷の原因になります。 試験では、ポンプの種類ごとの適用液体、脈動の有無、水撃作用、キャビテーションの定義と原因の組合せがよく問われます。

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ひっかけポイント

もっとも典型的なひっかけは、渦巻きポンプのような代表的なポンプに、別形式のポンプの特徴を混ぜてくるパターンです。空調設備でよく使うポンプだから何にでも使えそうだと考えると、粘度の高い液体にも向くと誤認しやすくなります。 薬液注入、油輸送、冷温水循環のように用途を並べられると、実務イメージだけで判断してしまいがちです。しかし試験では、用途の印象ではなく、低粘度向きか高粘度向きか、連続流か定量送液かという原理で見分けることが重要です。 水撃作用とキャビテーションは、どちらも配管やポンプに悪影響を与えるため混同しやすいですが、原因が異なります。水撃作用は流速の急変、キャビテーションは局部的な圧力低下による気泡発生です。この違いを押さえておかないと、現象名と対策が入れ替わっていても見抜きにくくなります。 一部だけ正しい文章にも注意が必要です。たとえば、渦巻きポンプは確かに代表的なポンプですが、その事実だけで高粘度液体にも適すると考えるのは危険です。試験では、前半がもっともらしくても、後半の適用条件がずれている選択肢がよく出ます。

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