出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|空気環境の調整第72問
問題
空気調和設備に用いられる送風機の特性と送風系に関する次の文章の( )内に入る語句の組合せとして、最も適当なものはどれか。 送風機の特性曲線は、グラフの横軸に( ア )をとり、縦軸に( イ )をとって示される。一方、送風系の( ウ )曲線は、同じグラフ上に、原点を通る二次曲線として示される。ここで、二つの曲線の交点は、運転点を示している。
(1) ア:圧力 イ:風量 ウ:抵抗
(2) ア:動力 イ:圧力 ウ:性能
(3) ア:動力 イ:風量 ウ:圧力
(4) ア:風量 イ:動力 ウ:性能
(5) ア:風量 イ:圧力 ウ:抵抗
ビル管過去問|送風機(送風機特性と送風系統)を解説
この問題は、送風機の特性曲線と送風系の抵抗曲線の基本的な見方を問う問題です。送風機の特性曲線は、一般に横軸を風量、縦軸を圧力として表します。一方、送風系の抵抗曲線は、風量が増えるほど圧力損失が大きくなるため、原点を通る二次曲線になります。そして、この二つの曲線が交わる点が実際の運転点です。したがって、正しい選択肢は(5)です。
(1) ア:圧力 イ:風量 ウ:抵抗
不適切です。その理由は、送風機の特性曲線の軸の取り方が逆だからです。送風機の性能を表すときは、通常、横軸に風量、縦軸に圧力をとります。これは、風量が変化したときに送風機がどれだけの圧力を出せるかを見るためです。圧力を横軸、風量を縦軸にしてしまうと、一般的な送風機特性曲線の表し方と一致しません。なお、ウの「抵抗」は正しい方向ですが、アとイが誤っているため、この組合せ全体としては不正解です。
(2) ア:動力 イ:圧力 ウ:性能
不適切です。その理由は、まず横軸に動力をとる表現が適切ではないからです。送風機の特性を示す基本の図では、横軸は風量です。動力や効率を示す補助的な曲線を同じ図に重ねて表すことはありますが、問題文で述べている「送風機の特性曲線」と「送風系の曲線」の組合せで中心になるのは、風量と圧力の関係です。また、送風系については「性能曲線」ではなく「抵抗曲線」と表現するのが基本です。送風系そのものがもつのはダクトやフィルタ、コイルなどによる圧力損失の特性であり、それを表したものが抵抗曲線です。
(3) ア:動力 イ:風量 ウ:圧力
不適切です。その理由は、三つとも問題文の内容に合っていないからです。まず、送風機特性曲線の横軸を動力、縦軸を風量とするのは標準的な表現ではありません。基本は横軸が風量、縦軸が圧力です。さらに、送風系の曲線を「圧力曲線」とするのも不適切です。送風系で重要なのは、風量に応じてどれだけの抵抗、すなわち圧力損失が生じるかという関係であり、それを表すのが抵抗曲線です。圧力という言葉自体は一見もっともらしく見えますが、試験では「何の圧力か」「どの関係を表す曲線か」まで正確に押さえる必要があります。
(4) ア:風量 イ:動力 ウ:性能
不適切です。その理由は、アの風量は正しいものの、イとウが不適切だからです。送風機の特性曲線として最も基本になるのは、風量と圧力の関係です。動力は送風機の付随的な特性として表されることはありますが、この問題文のように送風機曲線と送風系曲線の交点から運転点を求める場面では、縦軸は圧力でなければなりません。さらに、送風系の曲線は「性能曲線」ではなく「抵抗曲線」です。送風系は機械そのものの性能を示すのではなく、空気が流れる経路における抵抗の大きさを示します。そのため、この組合せは誤りです。
(5) ア:風量 イ:圧力 ウ:抵抗
適切です。その理由は、送風機と送風系を重ねて考えるときの基本そのものだからです。送風機の特性曲線は、通常、横軸に風量、縦軸に圧力をとって表します。一般に、風量が増えるほど送風機が出せる圧力は低下する傾向があります。一方、送風系の抵抗曲線は、風量が増えるほど圧力損失が大きくなるため、原点を通る二次曲線として表されます。これは圧力損失が風速の二乗、ひいては風量の二乗に概ね比例するためです。送風機曲線と送風系抵抗曲線の交点は、送風機が実際にその系統で運転するときの風量と圧力の組合せを示し、これを運転点といいます。この知識は、送風機の選定や風量不足の原因把握でも重要です。
この問題で覚えるポイント
送風機の基本特性は、風量と圧力の関係で見るのが原則です。横軸が風量、縦軸が圧力です。 送風系で重要なのは、ダクト、フィルタ、コイル、吹出口などを空気が通過するときに生じる圧力損失です。これを表すのが抵抗曲線です。 送風系の抵抗は、一般に風量の二乗に比例して増加するため、抵抗曲線は原点を通る二次曲線として表されます。 送風機特性曲線と送風系抵抗曲線の交点が運転点です。実際の運転では、この点で風量と圧力が決まります。 送風機の回転数変更、ダンパ開度変更、フィルタ目詰まりなどがあると、送風機曲線または抵抗曲線が変化し、運転点も移動します。 「性能曲線」という広い言い方に惑わされず、送風系については「抵抗曲線」と明確に覚えることが重要です。 試験では、風量、圧力、動力、効率の関係が入れ替えて出題されやすいため、何を横軸縦軸にした基本図かを正確に整理しておくことが得点につながります。
ひっかけポイント
もっとも多い罠は、送風機の特性曲線と送風系の抵抗曲線をごちゃ混ぜにしてしまうことです。送風機は機械側の能力、送風系は配管やダクト側の抵抗というように、役割を分けて考える必要があります。 「動力」や「性能」という言葉は専門的で正しそうに見えるため、受験者はつい選びたくなります。しかし、問題文が問うているのは運転点を決める基本図なので、中心になるのは風量と圧力です。 「圧力」という語は送風機にも送風系にも関係するため、用語だけを見て判断すると混乱しやすいです。何を表す曲線なのか、機械の能力なのか、系統の抵抗なのかを区別することが大切です。 「原点を通る二次曲線」というヒントを読み落とすと誤答しやすくなります。この表現は送風系の抵抗曲線を強く示しています。ここを手がかりにできれば、正答へかなり近づけます。 一部だけ正しい選択肢にも注意が必要です。例えば、風量を横軸にする点だけ合っていても、縦軸や曲線名が違えば不正解です。試験では、部分的な正しさに引っ張られず、組合せ全体で判断することが重要です。
