【ビル管過去問】令和6年度 問題59|湿り空気線図(h-x線図)の読み方と相対湿度の求め方を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験 令和6年度(2024年)|空気環境の調整 第59問

問題

湿り空気線図(h-x線図)を用いて相対湿度を求める場合に必要となる項目の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。

(1) 乾球温度と湿球温度

(2) 水蒸気分圧と露点温度

(3) 露点温度と比エンタルピー

(4) 比エンタルピーと乾球温度

(5) 湿球温度と絶対湿度

ビル管過去問|湿り空気線図(h-x線図)の読み方と相対湿度の求め方を解説

この問題は、湿り空気線図上で空気の状態点を定めるために、どの2つの状態量の組合せが有効かを問う問題です。h-x線図では、空気の状態が1点に定まれば相対湿度も読み取れます。そのため、相互に独立した2つの状態量が必要になります。正しい選択肢は、乾球温度と湿球温度、露点温度と比エンタルピー、比エンタルピーと乾球温度、湿球温度と絶対湿度であり、不適当なのは水蒸気分圧と露点温度です。これは、水蒸気分圧と露点温度が本質的に同じ湿り具合を別の形で表しており、独立した2条件にならないためです。

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(1) 乾球温度と湿球温度

適切です。乾球温度と湿球温度は、空気調和分野で湿り空気の状態を定める代表的な組合せです。乾球温度は通常の温度計で測る空気温度を表し、湿球温度は水の蒸発による冷却効果を反映した温度です。この2つが分かれば、h-x線図上で状態点を一意に定めることができます。状態点が定まれば、絶対湿度、相対湿度、比エンタルピー、露点温度なども順に読み取れます。実務でも最も基本となる読み方の一つです。

(2) 水蒸気分圧と露点温度

不適切です。水蒸気分圧と露点温度は、どちらも空気中にどれだけ水蒸気が含まれているかを表す量であり、独立した2条件ではありません。露点温度は、その空気を冷却していったときに飽和に達して結露が始まる温度ですが、この露点温度は空気中の水蒸気分圧によって決まります。つまり、水蒸気分圧が分かれば露点温度は決まり、逆に露点温度が分かれば水蒸気分圧も決まります。したがって、同じ情報を言い換えているにすぎず、この2つだけではh-x線図上の状態点を一意に定められません。その結果、相対湿度も確定できないため、最も不適当な組合せです。

(3) 露点温度と比エンタルピー

適切です。露点温度からは空気中の水蒸気量、すなわち絶対湿度に関する情報が得られます。一方、比エンタルピーは空気がもつ熱量を表す量で、温度と含まれる水蒸気量の両方に関係します。この2つは別の性質を表しているため、組み合わせることで状態点を定めることができます。状態点が決まれば、その点がどの相対湿度曲線上にあるかを読み取れるため、相対湿度を求めることが可能です。少しなじみの薄い組合せですが、原理的には有効です。

(4) 比エンタルピーと乾球温度

適切です。乾球温度は空気の温度条件を示し、比エンタルピーは空気が保有する全熱量を示します。これらは別々の物理量であり、h-x線図上ではそれぞれ異なる線群として表されています。そのため、乾球温度線と比エンタルピー線の交点から状態点を決めることができます。状態点が定まれば、そこを通る相対湿度曲線を読んで相対湿度を求められます。空気調和計算では、顕熱と潜熱を含めた全体の熱状態を扱うため、この組合せも十分に成立します。

(5) 湿球温度と絶対湿度

適切です。湿球温度は蒸発冷却の影響を受けた温度であり、絶対湿度は乾き空気1kg当たりに含まれる水蒸気量を表します。これらも独立した2つの状態量です。h-x線図では、絶対湿度は横軸で表され、湿球温度は斜めの線として示されることが一般的です。この2つを用いれば交点として状態点を決定できます。したがって、その点がどの相対湿度線に位置するかを読み取れば、相対湿度を求めることができます。

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この問題で覚えるポイント

h-x線図で相対湿度を求めるには、まず湿り空気の状態点を1点に定める必要があります。 状態点を定めるには、相互に独立した2つの状態量が必要です。 乾球温度、湿球温度、絶対湿度、比エンタルピー、露点温度などは、独立した組合せであれば状態点を定められます。 露点温度と水蒸気分圧は対応関係があり、実質的に同じ湿り具合を表します。したがって、この2つを組み合わせても独立した2条件にはなりません。 相対湿度は、実際の水蒸気分圧をその温度での飽和水蒸気圧で割った割合です。つまり、温度条件と水蒸気量の両方がそろって初めて決まります。 露点温度は「空気中の水蒸気量」を強く表す指標であり、乾球温度とは異なります。露点温度が同じでも乾球温度が変われば、相対湿度は変化します。 湿球温度は断熱加湿や空調計算で重要な指標で、乾球温度と並んで頻出です。 比エンタルピーは空気の全熱量を表し、乾球温度や絶対湿度と組み合わせて状態を読めるようにしておくと、応用問題にも対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「2つ書いてあれば状態が決まるはずだ」と思い込ませる点にあります。試験では、項目が2つ並んでいるだけで安心してしまい、それらが独立した情報かどうかの確認が甘くなることがあります。しかし、実際には同じ内容を別表現で示しているだけの組合せでは、状態点は定まりません。 特に露点温度と水蒸気分圧は要注意です。露点温度は温度の名前が付いているため、乾球温度や湿球温度とは別系統の量のように見えますが、本質的には空気中の水蒸気量に対応した値です。水蒸気分圧も同じく水蒸気量側の情報なので、この2つを組み合わせても情報が増えていません。 また、比エンタルピーは難しそうに見えるため、不適当だと早合点しやすいですが、試験では「見慣れないから誤り」と判断すると危険です。見慣れない選択肢でも、独立した状態量同士であれば成立します。今後も、「その2つは別々の情報か、それとも同じ内容の言い換えか」を意識して判断することが、同テーマの問題を解くうえで重要です。

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