【ビル管過去問】令和6年度 問題55|放射線の分類(電離放射線と非電離放射線の違い)を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|空気環境の調整第55問

問題

放射線は、非電離放射線と電離放射線に分類されるが、非電離放射線に分類されるものは次のうちどれか。

(1) α 線

(2) γ線

(3) エックス線

(4) 赤外線

(5) 中性子線

ビル管過去問|放射線の分類(電離放射線と非電離放射線の違い)を解説

この問題は、放射線を「電離放射線」と「非電離放射線」に分類できるかを問う基本問題です。正しい選択肢は赤外線です。電離放射線は、物質を通過するときに原子や分子を電離させるだけの大きなエネルギーをもち、人体や物質に強い影響を及ぼします。一方、非電離放射線はそこまでのエネルギーをもたず、主として加熱や励起などの作用を示します。試験では、α線、γ線、エックス線、中性子線のような典型的な電離放射線と、赤外線や可視光線のような非電離放射線を正確に区別できることが重要です。

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(1) α 線

不適切です。α線はヘリウム原子核からなる粒子線であり、代表的な電離放射線です。物質中を通過する際に強い電離作用を示すため、非電離放射線には分類されません。透過力はそれほど強くありませんが、電離作用自体は強いという点が特徴です。このため、紙1枚程度でも遮へいしやすい一方で、体内に取り込まれると大きな影響を及ぼすおそれがあります。問題では「透過力が弱い=非電離放射線」と早合点しないことが大切です。分類の基準は透過力ではなく、電離作用の有無です。

(2) γ線

不適切です。γ線は原子核から放出される高エネルギーの電磁波であり、電離放射線に分類されます。電磁波であるため見た目はエックス線や赤外線と同じ仲間のように感じるかもしれませんが、エネルギーが非常に高く、原子や分子を電離させる能力をもつ点が決定的に異なります。電磁波であっても、エネルギーが高ければ電離放射線になるということを押さえておく必要があります。したがって、γ線は非電離放射線ではありません。

(3) エックス線

不適切です。エックス線も高エネルギーの電磁波であり、電離放射線です。医療現場や検査機器などで広く利用されますが、これは人体や物質を透過しやすい性質を利用したものです。その一方で、エックス線には物質を電離させる作用があるため、被ばく管理や遮へいが必要になります。赤外線や可視光線と同じ電磁波の仲間ではありますが、電磁波かどうかではなく、電離作用をもつかどうかで分類することが重要です。そのため、エックス線は非電離放射線ではありません。

(4) 赤外線

適切です。赤外線は非電離放射線に分類されます。赤外線は電磁波の一種ですが、エックス線やγ線のように原子や分子を電離させるほどのエネルギーはもちません。主な作用は熱作用であり、暖房や乾燥、各種センサーなどにも利用されています。私たちが日常で感じる「熱」と結びつきやすい放射の代表例であり、ビル管理の分野でも熱環境や放射の理解に関係するため、基本事項として押さえておきたい知識です。この問題では、非電離放射線に当たるものを選ぶ必要があるため、赤外線が正解になります。

(5) 中性子線

不適切です。中性子線は中性子からなる放射線であり、電離放射線として扱われます。中性子自体は電荷をもたないため、「電気を帯びていないなら電離しないのではないか」と思いやすいのですが、実際には物質と相互作用することで二次的に電離を生じさせるため、放射線防護の対象となる電離放射線です。つまり、荷電粒子であるかどうかと、電離放射線であるかどうかは同じではありません。中性子線も非電離放射線ではないため、誤りです。

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この問題で覚えるポイント

放射線の分類は、「電離作用をもつかどうか」で判断します。 電離放射線には、α線、β線、γ線、エックス線、中性子線などがあります。 非電離放射線には、赤外線、可視光線、紫外線の一部、電波、マイクロ波などがあります。 電磁波だから非電離放射線とは限りません。γ線やエックス線は電磁波ですが、エネルギーが高いため電離放射線です。 粒子線だから必ず危険、電磁波だから安全、という単純な整理はできません。分類の軸は「粒子か電磁波か」ではなく「電離作用があるかどうか」です。 α線は透過力が弱くても電離作用は強いです。逆に赤外線は熱作用をもつものの、電離作用はありません。 中性子線は電荷をもたないため直感的に誤解しやすいですが、放射線防護上は電離放射線として扱います。 試験では、赤外線、可視光線、電波は非電離放射線、エックス線、γ線、α線、中性子線は電離放射線、という基本整理をまず確実に覚えることが重要です。

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ひっかけポイント

最も多い罠は、「電磁波=非電離放射線」と思い込むことです。実際には、エックス線やγ線も電磁波ですが、エネルギーが高いため電離放射線です。 次の罠は、「透過力が弱いものは危険性が低いから非電離放射線」と考えてしまうことです。α線は透過力が弱くても、強い電離作用をもつ典型的な電離放射線です。 さらに、「中性子は電荷がないから電離しない」と連想してしまう思考の罠もあります。電荷の有無だけで分類すると誤ります。中性子線は間接的に電離を引き起こすため、電離放射線です。 問題作成者は、赤外線だけが日常的で身近な言葉であることを利用して、他の専門用語に目を奪われた受験者の判断を鈍らせようとしています。迷ったときは、「熱として感じる赤外線は非電離放射線」「医療や原子核に関係する高エネルギー放射線は電離放射線」と整理すると正答しやすくなります。

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