出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|建築物の環境衛生第43問
問題
再興感染症に分類される感染症は次のうちどれか。
(1) AIDS(後天性免疫不全症候群)
(2) クリプトスポリジウム症
(3) デング熱
(4) SARS(重症急性呼吸器症候群)
(5) エボラ出血熱
ビル管過去問|再興感染症とは何か(代表的な感染症の分類)を解説
この問題は、感染症を「新興感染症」と「再興感染症」に分類して判断できるかを問う問題です。正しい選択肢は(3)のデング熱です。SARSやエボラ出血熱は、一般にそれまで知られていなかった、あるいは新たに認識され世界的な公衆衛生上の問題となった新興感染症として扱われます。一方、デング熱は以前から存在していた感染症が、近年あらためて流行上の重要性を増したものとして再興感染症に分類されます。厚生労働省もデング熱について、蚊が媒介する感染症として継続的に注意喚起を行っており、国内感染事例も公表しています。
(1) AIDS(後天性免疫不全症候群)
不適切です。AIDSは1980年代以降に世界的に認識された感染症であり、従来から知られていた感染症が再び増加したというより、新たに社会的国際的な脅威として認識された感染症にあたります。そのため、試験対策上は再興感染症ではなく、新興感染症の側で整理するのが基本です。この問題では「以前から存在していた感染症が、対策の変化や環境の変化などで再び問題化したか」という観点で見ると判断しやすいです。
(2) クリプトスポリジウム症
不適切です。クリプトスポリジウム症は水系感染などで重要な感染症ですが、この問題で問われている代表的な再興感染症としては扱いません。ビル管試験では、感染症の細かな病原体知識そのものよりも、代表例を正しく分類できるかが重視されます。したがって、再興感染症の典型例として頻出しやすいデング熱と区別して覚えることが大切です。
(3) デング熱
適切です。デング熱は蚊に刺されることによって感染する疾患で、厚生労働省も国内感染事例を含めて注意喚起を継続しています。デング熱は、かつてから存在していた感染症が近年再び公衆衛生上の重要課題として注目されているため、再興感染症として整理されます。試験では「蚊媒介感染症であること」と「新しく出現した感染症ではなく、再び問題となっている感染症であること」を結び付けて覚えると得点しやすいです。
(4) SARS(重症急性呼吸器症候群)
不適切です。SARSは、厚生労働白書でも21世紀になってから出現した新興感染症と示されています。つまり、以前から知られていた感染症が再び増えたものではなく、新たに認識され急速に国際的脅威となった感染症です。この違いは試験で非常に重要です。「最近話題になった感染症」だから再興感染症なのではなく、「以前からあったものが再び広がったかどうか」で分類する必要があります。
(5) エボラ出血熱
不適切です。エボラ出血熱も、一般には新興感染症の代表例として整理される感染症です。社会的インパクトが大きいため再興感染症と混同しやすいですが、分類の基準は流行時の印象ではありません。もともと知られていた感染症が再び増加拡大して問題になったものか、それとも新たに認識され大きな脅威となったものかで区別することが大切です。SARSやエボラ出血熱のような強い印象を持つ感染症は、試験ではあえて誤答選択肢として置かれやすいので注意しましょう。
この問題で覚えるポイント
再興感染症とは、いったん患者数が減少したり、問題として目立たなくなったりした感染症が、社会環境の変化、媒介動物の拡大、国際交通の発達、ワクチン接種率の低下などにより、再び増加して公衆衛生上の問題となった感染症です。 新興感染症とは、それまで知られていなかった、あるいは新たに認識され、局地的または国際的に公衆衛生上の問題となる感染症です。試験では「新しく出てきたものか」「昔からあったものが再び広がったものか」で区別します。厚生労働白書ではSARSを21世紀初の新興感染症として扱っています。 デング熱は蚊媒介感染症です。厚生労働省は、デング熱が蚊に刺されることで感染する疾患であることや、国内感染事例についても情報提供しています。したがって、デング熱は「蚊」「再流行」「国内でも注意喚起」というセットで覚えると有効です。 SARS、エボラ出血熱、AIDSは、試験対策上は新興感染症の側で整理するのが基本です。デング熱のような再興感染症と混同しないことが重要です。名前の知名度ではなく、分類の理由まで理解して覚える必要があります。 感染症分類の問題では、症状、感染経路、病原体、法令上の類型と混同しないことが大切です。この問題で問われているのは一類二類四類のような感染症法上の区分ではなく、「新興か再興か」という流行史公衆衛生学上の分類です。
ひっかけポイント
最大のひっかけは、「有名で怖い感染症=再興感染症」と思い込ませる点です。SARSやエボラ出血熱は強い印象があるため、受験者は「最近問題になったから再興だろう」と考えがちです。しかし実際には、新たに認識され世界的問題になった感染症は新興感染症として扱います。 次の罠は、「再興」を“最近またニュースで見た”という日常感覚で捉えてしまうことです。試験での再興感染症は、単なる再注目ではなく、以前から存在していた感染症が再び流行増加していることを意味します。言葉の雰囲気で選ばず、定義で判断することが重要です。 さらに、「感染症法上の分類」と「新興再興感染症の分類」を混同しやすい点も典型的です。四類感染症だから再興感染症、あるいは一類感染症だから新興感染症というような対応関係はありません。法令上の区分と、公衆衛生学上の分類は別物です。 この手の問題は、正解そのものを覚えるだけでは不十分です。なぜデング熱が再興感染症で、SARSが新興感染症なのかという判断軸を持っておかないと、次に別の感染症名が出たときに対応できません。「以前から存在していたものが再び問題化したか」という軸で整理しておくと、同テーマの問題に強くなります。
