出典:建築物衛生管理技術者試験 令和6年度(2024年)|建築物の環境衛生 第40問
問題
環境基本法における水質汚濁に係る環境基準において、公共用水域から検出されないこととされているものは次のうちどれか。
(1) カドミウム
(2) 六価クロム
(3) PCB
(4) ジクロロメタン
(5) ベンゼン
ビル管過去問|水質汚濁に係る環境基準(環境基本法公共用水域)を解説
この問題は、環境基本法に基づく公共用水域の水質環境基準のうち、「数値基準がある物質」と「検出されないこと」とされる物質を区別できるかを問う問題です。正しい選択肢はPCBです。カドミウム、六価クロム、ジクロロメタン、ベンゼンはいずれも具体的な濃度基準が定められており、一方でPCBは「検出されないこと」が基準です。試験では、代表的な有害物質について、数値で管理されるのか、検出の有無で管理されるのかを整理して覚えておくことが大切です。環境省の告示でも、PCBは公共用水域の人の健康の保護に関する環境基準として「検出されないこと」とされ、ジクロロメタンは0.02mg/L以下、ベンゼンは0.01mg/L以下と定められています。
(1) カドミウム
不適切です。カドミウムは「検出されないこと」ではなく、基準値が定められている物質です。公共用水域の人の健康の保護に関する環境基準では、カドミウムは一定濃度以下であることが求められます。そのため、まったく検出されてはいけない物質として扱うのではなく、基準値を超えないかどうかで判断します。この問題では、「有害物質だからゼロでなければならない」と考えると誤りやすいですが、法令上は物質ごとに管理方法が異なります。カドミウムは有害性の高い物質ではあるものの、基準の表現は「検出されないこと」ではありません。
(2) 六価クロム
不適切です。六価クロムも「検出されないこと」とされているわけではなく、数値基準が定められている物質です。近年、六価クロムの基準値は見直されており、現在は0.02mg/L以下とされています。つまり、六価クロムは全く存在してはならないという表現ではなく、基準値以下で管理される項目です。六価クロムは毒性の強い物質として知られているため、受験者は「検出されないこと」に分類したくなりますが、実際にはそうではありません。試験では、毒性の強さと基準表現を混同しないことが大切です。
(3) PCB
適切です。PCBは公共用水域の水質汚濁に係る環境基準において、「検出されないこと」とされている物質です。ここでいう「検出されないこと」とは、単にゼロという感覚的な意味ではなく、定められた測定方法で測定したときに、その方法の定量限界を下回ることを意味します。PCBは難分解性で生物体内に蓄積しやすく、長期的な健康影響が問題となるため、数値の上限を許容する形ではなく、検出されない水準が求められています。この問題では、選択肢の中で唯一、法令上そのように定められているのがPCBです。したがって、正答になります。
(4) ジクロロメタン
不適切です。ジクロロメタンは「検出されないこと」ではなく、0.02mg/L以下という数値基準が定められている物質です。ジクロロメタンは有機塩素系の化学物質であり、環境中に存在した場合の健康影響が問題となるため規制対象ですが、基準の形式は濃度基準です。名称に化学物質らしさが強く、危険な印象があるため、「検出されないこと」と勘違いしやすいのですが、法令の表ではPCBとは明確に区別されています。表現の違いを正確に押さえることが得点につながります。
(5) ベンゼン
不適切です。ベンゼンも「検出されないこと」とはされておらず、公共用水域では0.01mg/L以下という数値基準が設定されています。ベンゼンは揮発性有機化合物の一つで、人の健康への影響が懸念される物質ですが、環境基準上は一定濃度以下で管理される項目です。受験では、ベンゼンやジクロロメタンのような有機化学物質と、PCBのように「検出されないこと」が求められる物質とを同じグループだと思ってしまうことがあります。しかし、基準の表現は異なるため、物質ごとに個別に覚える必要があります。
この問題で覚えるポイント
公共用水域の水質汚濁に係る環境基準には、「mg/L以下」のような数値基準で示される項目と、「検出されないこと」で示される項目があります。 「検出されないこと」とは、文字どおり絶対にゼロという意味ではなく、定められた測定方法で測定した結果が定量限界を下回ることを意味します。試験ではこの定義も重要です。 カドミウムは0.003mg/L以下、六価クロムは0.02mg/L以下、ジクロロメタンは0.02mg/L以下、ベンゼンは0.01mg/L以下です。いずれも「検出されないこと」ではなく、数値基準で管理されます。 PCBは「検出されないこと」に分類される代表的な物質です。同じく人の健康の保護に関する環境基準では、全シアンやアルキル水銀も「検出されないこと」とされるため、関連づけて覚えると整理しやすくなります。 試験では、物質名だけでなく、基準の表現形式までセットで覚えることが重要です。有害物質だからすべて不検出、という理解では対応できません。
ひっかけポイント
もっとも典型的なひっかけは、「毒性が強そうな物質=検出されないこと」と思い込ませる点です。六価クロムやベンゼン、ジクロロメタンは危険な印象が強いため、不検出基準だと早合点しやすいですが、実際は数値基準です。 用語のインパクトに引っ張られるのも罠です。化学物質名が難しいほど厳しい基準に見えますが、試験では印象ではなく、法令上の表現そのものを問われます。 「一部だけ正しい」知識でも誤答します。たとえば、「PCBは有害で蓄積しやすい」という知識だけでは不十分で、「だから環境基準では検出されないこととされている」と最後までつなげて覚える必要があります。 数値問題に見えて、実際には分類問題である点にも注意が必要です。このタイプは基準値の細かな暗記より先に、「不検出グループ」と「濃度基準グループ」を分けて整理すると解きやすくなります。 今後も同じパターンで、法令や基準の「表現の違い」を問う問題が出ます。日常感覚で判断せず、「何がどう規定されているか」を条文や基準表ベースで覚えることが重要です。
