【ビル管過去問】令和6年度 問題35|騒音の測定と健康影響(騒音レベルデシベル)を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験 令和6年度 (2024年)|建築物の環境衛生 第35問

問題

騒音とその影響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 騒音の測定において用いられるA特性は、人の耳の感度に近い特性を組み込んでいるものである。

(2) 事務室の騒音レベルは、一般に50〜60dBである。

(3) 騒音性難聴の初期の特徴は、4,000Hz付近の音に対する聴力低下である。

(4) 騒音による永久性の聴力障害がほとんど起こらないのは、1日の曝露騒音として等価騒音レベルが85dB以下のときである。

(5) 血圧の上昇は、騒音による健康影響の一つとして知られている。

ビル管過去問|騒音の測定と健康影響(騒音レベルデシベル)を解説

この問題は、騒音の評価方法と、騒音が人体に及ぼす影響について問う問題です。A特性、事務室の一般的な騒音レベル、騒音性難聴の特徴、騒音による循環器系への影響など、基本事項を正確に押さえているかが問われています。正しい選択肢は(1)(2)(3)(5)で、最も不適当なのは(4)です。特に、85dBという数値を見たときに、それを絶対安全な境界のように覚えてしまっていないかがポイントになります。

下に移動する

(1) 騒音の測定において用いられるA特性は、人の耳の感度に近い特性を組み込んでいるものである。

適切です。A特性は、人が実際に音をどのように感じるかに近づけるための周波数補正です。人の耳は、すべての周波数の音を同じように感じるわけではなく、低い音や非常に高い音には相対的に鈍く、中音域により敏感です。A特性はこの聴覚特性を反映した補正であり、環境騒音や一般的な生活空間の騒音評価で広く用いられます。ビル管の分野でも、単に物理的な音圧の大きさではなく、人がどれくらいうるさいと感じるかに近い尺度で把握することが重要です。

(2) 事務室の騒音レベルは、一般に50〜60dBである。

適切です。事務室では、会話、空調機器、コピー機、パソコン、出入りなどにより、一定の背景騒音が生じます。そのため、静かな住宅の深夜のような低い騒音レベルにはならず、一般には50〜60dB程度が一つの目安になります。もちろん、レイアウトや設備、利用状況によって変動はありますが、この範囲は事務室の標準的な騒音レベルとして妥当です。試験では、事務室は完全な静寂空間ではない、という感覚を持っておくと判断しやすくなります。

(3) 騒音性難聴の初期の特徴は、4,000Hz付近の音に対する聴力低下である。

適切です。騒音性難聴では、初期に4,000Hz付近の聴力が低下しやすいことがよく知られています。これを4kHz dipなどと表現することがあります。本人は日常会話ではまだ大きな不自由を感じないこともありますが、聴力検査をするとこの周波数帯に特徴的な落ち込みが現れます。試験では、騒音性難聴はまず高音域、とくに4,000Hz付近に変化が出やすい、という知識を基本事項として押さえておくことが大切です。

(4) 騒音による永久性の聴力障害がほとんど起こらないのは、1日の曝露騒音として等価騒音レベルが85dB以下のときである。

不適切です。85dBという数値は、労働衛生や騒音管理の場面で重要な目安として扱われますが、それをもって永久性の聴力障害がほとんど起こらないと断定するのは適切ではありません。騒音による聴力障害は、音の大きさだけでなく、曝露時間、曝露年数、周波数成分、個人差などによって左右されます。つまり、85dB以下であれば絶対に安全という意味ではありません。この選択肢は、管理のための目安となる数値を、障害が起こらない保証値のように言い切っている点が不適切です。試験では、基準値や目安の数字を見たときに、それが管理基準なのか、安全を断定する値なのかを区別して読むことが重要です。

(5) 血圧の上昇は、騒音による健康影響の一つとして知られている。

適切です。騒音の影響は、耳に対する影響だけではありません。騒音は不快感や睡眠障害、集中力低下、精神的ストレスを引き起こし、自律神経系や循環器系にも影響を与えることがあります。その結果として、血圧上昇がみられることがあります。ビル管では、騒音を単なる「うるささ」の問題としてではなく、居住者や利用者の健康全般に関わる環境要因として理解することが大切です。

下に移動する

この問題で覚えるポイント

A特性は、人の耳の感度に近づけた周波数補正であり、環境騒音の評価でよく用いられます。 事務室の騒音レベルは、おおむね50〜60dB程度が目安です。 騒音性難聴は、初期に4,000Hz付近の聴力低下が現れやすいことが重要です。 騒音の健康影響は、聴力障害だけでなく、ストレス、睡眠障害、血圧上昇など全身影響にも及びます。 85dBのような数値は、管理上の重要な目安ではありますが、それを絶対安全の境界と断定してはいけません。 試験では、デシベルの数字そのものだけでなく、その数字が何を意味するのか、管理基準なのか、環境の目安なのか、健康影響の境界なのかを区別して覚えることが大切です。

下に移動する

ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「見たことのある数値が出てくると、条件反射で正しいと思ってしまう」点にあります。85dBは騒音分野で頻出の数字なので、受験者はそれだけで安心して正しいと判断しやすいです。しかし、出題者はそこに「永久性の聴力障害がほとんど起こらない」という強い断定表現を組み合わせています。つまり、数字自体はもっともらしくても、文章全体としては言い過ぎになっているわけです。今後も、基準値や目安の数値に「必ず」「絶対に」「ほとんど起こらない」などの断定表現が付いていたら、一度立ち止まって読む癖をつけると、同じタイプの問題に強くなれます。

次の問題へ