【ビル管過去問】令和6年度 問題3|特定建築物の延べ面積の考え方(建築物衛生法)を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験|令和6年度(2024年)第3問

問題

建築物における衛生的環境の確保に関する法律(以下「建築物衛生法」という。)に基づく特定建築物の延べ面積に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

(1) 地下街の地下道は、延べ面積に算入する。

(2) 建築物の地階に設置された公共駐車場は、延べ面積に算入する。

(3) 特定建築物の延べ面積の定義は、建築基準法の延べ面積の定義と同じである。

(4) 建築物の地階に設置された電力事業者の地下式変電所は、延べ面積に算入する。

(5) 店舗の地階に設置された当該店舗に附属する倉庫は、延べ面積に算入する。

ビル管過去問|特定建築物の延べ面積の考え方を解説

この問題は、建築物衛生法における「特定建築物の延べ面積」の数え方を問う問題です。建築基準法の一般的な延べ面積の感覚で判断すると、誤りやすい典型問題です。建築物衛生法では、特定用途に供される部分に加えて、その用途に附随する部分や附属する部分を算入する一方で、地下街の地下道、公共駐車場、電力事業者の地下式変電所のように、建築物の他の部分と一体として扱わないものは算入しません。また、建築物衛生法の延べ面積は、建築基準法の延べ面積と定義が同じではありません。したがって、正しい選択肢は(5)、店舗に附属する倉庫を延べ面積に算入するとしたものです。

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(1) 地下街の地下道は、延べ面積に算入する。

不適切です。地下街の地下道や広場の部分は、建築物衛生法上の延べ面積の算定では算入しない取扱いです。理由は、これらの部分が建築物として把握される部分ではなく、特定用途に供される部分にも、特定用途以外の用途に供される部分にも入れないとされているためです。地下街と聞くと、同じ施設内にあるので全部まとめて数えたくなりますが、地下道部分だけは別扱いになる点が重要です。

(2) 建築物の地階に設置された公共駐車場は、延べ面積に算入する。

不適切です。建築物の地階などに設置された公共駐車場は、一般に当該建築物の他の部分と管理主体や管理系統が異なるため、建築物の一部として一体的に扱わず、延べ面積には算入しません。ここで注意したいのは、すべての駐車場が不算入なのではないことです。主としてその事務所や店舗の用に供される附属駐車場は算入されますが、公共駐車場は別扱いです。

(3) 特定建築物の延べ面積の定義は、建築基準法の延べ面積の定義と同じである。

不適切です。建築物衛生法における延べ面積は、当該用途に供される部分の床面積の合計という考え方で整理されており、建築基準法にいう延べ面積とは定義が異なると明示されています。つまり、床面積の算定そのものは建築基準法施行令の考え方を参照しますが、どの部分を合計対象にするかという意味での「延べ面積」の考え方は同じではありません。この違いを押さえておかないと、法令横断で知識が混ざって失点しやすくなります。

(4) 建築物の地階に設置された電力事業者の地下式変電所は、延べ面積に算入する。

不適切です。電力事業者がその事業の用に供するために設置した地下式変電所は、公共駐車場と同様に、当該建築物の他の部分とは管理主体や管理系統が異なるため、一体の建築物として扱わず、延べ面積には算入しません。建物の中にある以上は当然に面積へ入ると考えがちですが、建築物衛生法では「誰が、どの系統で管理しているか」という実態も踏まえて扱いを分けています。

(5) 店舗の地階に設置された当該店舗に附属する倉庫は、延べ面積に算入する。

適切です。建築物衛生法では、特定用途に供される部分の延べ面積を算定する際、廊下、機械室、便所などの附随する部分だけでなく、附属の倉庫や駐車場などの附属する部分も合算するとされています。さらに、主たる用途に附属する用途とは、機能や社会通念からみて密接不可分で、かつ主たる用途に従属するものをいいます。したがって、店舗に附属する倉庫は、通常は店舗用途に附属する部分として延べ面積に算入されます。この選択肢が最も適当です。

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この問題で覚えるポイント

建築物衛生法の特定建築物は、特定用途に供される部分の延べ面積が原則として3,000㎡以上で判断します。ここでいう延べ面積は、建築基準法の延べ面積と同じ意味ではなく、「当該用途に供される部分の床面積の合計」です。特定用途の面積には、廊下、階段、機械室、便所などの附随する部分を含めます。さらに、附属の倉庫や主として当該用途のために使う駐車場など、主たる用途に密接不可分で従属する部分も含めます。反対に、地下街の地下道や広場は建築物として扱わないため算入しません。建築物の地階などにある公共駐車場や、電力事業者の地下式変電所も、管理主体と管理系統が別で一体管理ではないため算入しません。また、特定用途以外の用途に供される部分が特定用途部分の5%を超えると、特定建築物に該当しないという例外も重要です。試験では、「附属だから算入」と「別管理だから不算入」を切り分けられることが得点につながります。

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ひっかけポイント

このテーマのひっかけは、「建物の中にあるものは全部延べ面積に入るはずだ」という日常感覚を利用してくる点にあります。実務や生活の感覚では、地下道も駐車場も変電所も同じ建物の一部に見えますが、建築物衛生法では管理主体や用途の関係で扱いを分けます。また、「駐車場は附属だから算入」という知識を覚えていても、公共駐車場まで同じように考えると誤ります。さらに、「床面積は建築基準法で算定する」という知識から、「延べ面積の定義も同じ」と早合点させるのも典型的な罠です。つまり、一部だけ正しい説明に引っぱられて全体を正しいと判断しないことが大切です。今後も、法令の名称が似ているときほど、「何を数える定義なのか」「何を例外として外すのか」を切り分けて読む習慣を持つと、同種の問題に強くなります。

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