出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|建築物衛生行政概論第2問
問題
現在の行政組織に関するア〜オの記述のうち、正しいものの組合せは次のうちどれか。 ア 労働衛生行政は、中央は厚生労働省、地方は都道府県が担当している。 イ 学校保健安全法は、総務省が所管している。 ウ 浄化槽法の所管官庁は、国土交通省と環境省である。 エ 建築基準法で規定されている特定行政庁は、国土交通省である。 オ 保健所の数を設置自治体別にみると、都道府県の設置する保健所が最も多い。
(1) アとイ
(2) アとウ
(3) イとエ
(4) ウとオ
(5) エとオ
ビル管過去問|衛生行政の所管官庁と行政組織(厚生労働省環境省など)を解説
この問題は、衛生行政に関する「どの法律をどの官庁が所管しているか」「地方ではどの行政主体が担うのか」を問う典型問題です。暗記だけで解こうとすると混同しやすいのですが、行政分野ごとに中央官庁と地方の実施主体を整理しておくと判断しやすくなります。正しいのは、浄化槽法の所管官庁を述べたウと、保健所数では都道府県設置分が最も多いとするオです。したがって、正解は(4)「ウとオ」の組合せです。
(1) アとイ
不適切です。アは誤りで、労働衛生行政は中央が厚生労働省である点はよいのですが、地方は一般の都道府県庁ではなく、厚生労働省の地方支分部局である都道府県労働局などが担います。そのため、「地方は都道府県が担当している」とすると行政主体の整理がずれてしまいます。イも誤りで、学校保健安全法は総務省ではなく文部科学省の所管です。したがって、アとイの組合せは正しいもの同士ではありません。
(2) アとウ
不適切です。ウは適切です。浄化槽法は、浄化槽行政に関して国土交通省と環境省が関係しており、この記述は正しい理解です。一方で、アは不適切です。先ほどのとおり、地方の労働衛生行政を単純に「都道府県」とするのは誤りで、実際には都道府県労働局など国の地方機関が担っています。正しいウを含んでいても、アが誤っているため、この組合せは正解にはなりません。
(3) イとエ
不適切です。イは不適切です。学校保健安全法の所管は文部科学省であり、総務省ではありません。エも不適切です。建築基準法における特定行政庁は、国土交通省そのものを指すのではなく、都道府県や一定の市など、建築行政を担う地方公共団体の長を中心とした行政庁を指します。国土交通省は建築行政全体の所管官庁ではありますが、「特定行政庁」という法令用語そのものと同一ではありません。この言葉のズレを押さえることが大切です。
(4) ウとオ
適切です。ウは適切です。浄化槽法は国土交通省と環境省が関係する法体系であり、浄化槽行政の所管官庁としてこの2省を挙げる理解は正しいです。オも適切です。厚生労働省の設置主体別保健所数の資料では、設置自治体別にみたとき、都道府県が設置する保健所数が最も多くなっています。したがって、正しいものの組合せはウとオであり、これが正解です。
(5) エとオ
不適切です。オは適切ですが、エが不適切です。こうした問題では、正しい記述が一つ入っていることで全体まで正しく見えてしまうことがあります。しかし、組合せ問題は両方とも正しくなければなりません。建築基準法上の特定行政庁を国土交通省とするのは誤りで、地方公共団体側の建築行政庁を指す法令用語です。そのため、オが合っていても、エとオの組合せは誤りです。
この問題で覚えるポイント
労働衛生行政は、中央では厚生労働省が所管しますが、地方では都道府県庁そのものではなく、都道府県労働局など国の地方機関が担います。 学校保健安全法の所管は文部科学省です。学校教育に関わる法令は、まず文部科学省を疑うと整理しやすくなります。 浄化槽法は、浄化槽という設備の性質上、生活環境保全や水環境の観点から環境省、施設整備やインフラ行政の観点から国土交通省が関わります。 建築基準法の「特定行政庁」は国の省庁名ではなく、建築確認や違反建築物対応などを担う地方側の行政庁を指す法令用語です。 保健所は設置主体別でみると都道府県設置分が最も多いです。指定都市、中核市なども設置しますが、総数では都道府県が上回ります。 試験では、「所管官庁」と「実際の執行主体」、「国の省庁名」と「法令上の行政庁名」を区別できるかが重要です。
ひっかけポイント
この問題の最大のひっかけは、「なんとなく関係がありそうな役所名」を選ばせる点にあります。たとえば学校保健安全法に「保健」という言葉が入っていると厚生労働省や総務省まで連想してしまう人がいますが、学校教育に関する法体系なので所管は文部科学省です。また、「建築基準法を所管しているのは国土交通省」という知識自体は大筋で正しいため、それをそのまま「特定行政庁=国土交通省」と読み替えてしまうのも典型的な誤りです。さらに、「都道府県労働局」という名称に都道府県が入っているため、地方自治体の組織だと早合点しやすい点も要注意です。組合せ問題では、一部だけ正しい記述が混ざっていても全体としては誤りになりますので、用語の定義と行政主体を一つずつ切り分けて判断する癖をつけることが重要です。
