【第二種衛生管理者過去問】2025年10月公表問題|問29|体温調節の仕組みと甲状腺ホルモン・熱放散作用|労働生理を解説

出典:第二種衛生管理者2025年(令和7年度)10月公表問題|労働生理第29問

問題

体温調節に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 寒冷な環境においては、皮膚の血管が拡張して血流量を増し、皮膚温を上昇させる。

(2) 暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進することにより、人体からの熱の放散が促進される。

(3) 体温調節のように、外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みを同調性といい、筋肉と神経系により調整されている。

(4) 体温調節中枢は、小脳にあり、熱の産生と放散のバランスを維持し体温を一定に保つよう機能している。

(5) 甲状腺ホルモンの分泌により、代謝が亢進し、体温は上昇する。

第二種衛生管理者|体温調節の仕組みと甲状腺ホルモン・熱放散作用を解説

体温調節では、寒冷時には熱を逃がさない反応と熱を産生する反応が起こり、暑熱時には発汗や皮膚血流の増加によって熱を放散します。正解は(5)です。甲状腺ホルモンには全身の代謝を高める作用があり、代謝が亢進すると体内で発生する熱も増えるため、体温上昇につながります。

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(1) 寒冷な環境においては、皮膚の血管が拡張して血流量を増し、皮膚温を上昇させる。

不適切です。寒冷な環境では、身体は熱を逃がさないように皮膚の血管を収縮させます。皮膚血管が収縮すると皮膚への血流量が減り、身体の表面から外気へ熱が逃げにくくなります。選択肢のように皮膚血管が拡張して血流量が増えるのは、主に暑熱環境で熱を外へ逃がすときの反応です。寒いときに手足が冷たくなりやすいのは、皮膚や末梢への血流が減るためです。

(2) 暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進することにより、人体からの熱の放散が促進される。

不適切です。暑熱な環境では、熱を外へ逃がすために皮膚の血管が拡張し、皮膚への血流量が増加します。これにより、体内の熱が皮膚表面に運ばれ、放射、伝導、対流、発汗による蒸発などによって熱が放散されます。内臓の血流量が増えて代謝活動が亢進するという説明は、熱放散の仕組みとして適切ではありません。暑いときに重要なのは、熱を作ることではなく、皮膚や汗を通じて熱を逃がすことです。

(3) 体温調節のように、外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みを同調性といい、筋肉と神経系により調整されている。

不適切です。外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする仕組みは、同調性ではなく恒常性、またはホメオスタシスといいます。体温、血糖値、血液中の水分量、酸塩基平衡などは、恒常性によって一定範囲に保たれています。また、体温調節は筋肉と神経系だけでなく、自律神経系、内分泌系、皮膚血管、汗腺、骨格筋のふるえなどが関係します。用語の取り違えに注意が必要です。

(4) 体温調節中枢は、小脳にあり、熱の産生と放散のバランスを維持し体温を一定に保つよう機能している。

不適切です。体温調節中枢は小脳ではなく、間脳の視床下部にあります。視床下部は、体温の変化を感知し、必要に応じて発汗、皮膚血管の収縮や拡張、ふるえ、代謝調節などを行わせます。小脳は主に運動の調節や姿勢、平衡の維持に関係する部位です。体温調節と小脳を結びつけないように整理しておくと、正誤判断がしやすくなります。

(5) 甲状腺ホルモンの分泌により、代謝が亢進し、体温は上昇する。

適切です。甲状腺ホルモンは、全身の細胞の代謝を高めるホルモンです。代謝が亢進すると、栄養素の分解やエネルギー産生が活発になり、その過程で熱の産生も増加します。そのため、甲状腺ホルモンの分泌が高まると体温が上昇しやすくなります。体温調節では、熱の放散だけでなく、代謝による熱の産生も重要な要素です。

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この問題で覚えるポイント

体温調節は、熱の産生と熱の放散のバランスによって行われます。寒冷環境では、皮膚血管が収縮して皮膚血流が減少し、身体の表面から熱が逃げにくくなります。また、骨格筋のふるえや代謝の亢進によって熱の産生が増えます。暑熱環境では、皮膚血管が拡張して皮膚血流が増加し、発汗による蒸発も加わって熱の放散が促進されます。外部環境が変化しても体内の状態を一定に保つ仕組みは恒常性、またはホメオスタシスです。体温調節中枢は間脳の視床下部にあります。甲状腺ホルモンは基礎代謝を高め、熱産生を増やすため、分泌が増えると体温上昇につながります。皮膚血管の収縮と拡張、視床下部、恒常性、甲状腺ホルモンの代謝亢進作用は、体温調節の問題で特に正誤判断に直結する重要知識です。

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ひっかけポイント

この問題では、寒冷時と暑熱時の反応を逆に覚えていると誤答しやすくなります。寒いときは皮膚血管を収縮させて熱を逃がさず、暑いときは皮膚血管を拡張させて熱を逃がす、という方向性をまず押さえることが大切です。また、恒常性を同調性と言い換えたり、体温調節中枢を視床下部ではなく小脳とするような、用語や器官のすり替えも典型的なひっかけです。文章の一部に「体温を一定に保つ」など正しい内容が含まれていても、中枢の場所や用語が誤っていれば不適切になります。衛生管理者試験では、このように一部だけ正しい文章がよく出るため、最後まで読み、どの用語が何を指すのかを丁寧に確認することが重要です。

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