出典:第二種衛生管理者2025年(令和7年度)4月公表問題|関係法令第6問
問題
労働安全衛生規則に基づく医師による定期健康診断に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 尿検査では、尿中の馬尿酸及びデルタアミノレブリン酸の量の検査を行う。
(2) 定期健康診断項目のうち肝機能検査については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。
(3) 常時50人以上の労働者を使用する事業場において、定期健康診断を行ったときは、遅滞なく、その結果を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
(4) 定期健康診断を受けた労働者に対しては、異常の所見が認められなかった者を含め、遅滞なく、健康診断の結果を通知しなければならない。
(5) 事業場において実施した定期健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者については、その結果に基づき、健康の保持のために必要な措置について、健康診断が行われた日から3か月以内に、医師の意見を聴かなければならない。
第二種衛生管理者|定期健康診断の実施基準と報告義務を解説
定期健康診断では、一般的な健康状態を確認するために、既往歴、業務歴、自覚症状、他覚症状、身長、体重、腹囲、視力、聴力、胸部エックス線、血圧、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、尿検査、心電図検査などが行われます。答えは(1)です。定期健康診断の尿検査で行うのは、原則として尿中の糖及び蛋白の有無の検査であり、馬尿酸やデルタアミノレブリン酸の量の検査ではありません。馬尿酸やデルタアミノレブリン酸は、有害物質へのばく露を確認する特殊健康診断などで出てくる項目です。

(1) 尿検査では、尿中の馬尿酸及びデルタアミノレブリン酸の量の検査を行う。
不適切です。定期健康診断の尿検査では、尿中の糖及び蛋白の有無の検査を行います。尿中の馬尿酸はトルエンなどの有機溶剤ばく露に関連する検査項目として、デルタアミノレブリン酸は鉛ばく露に関連する検査項目として問われることがあります。これらは一般的な定期健康診断の尿検査項目ではなく、有害業務に関する特殊健康診断や生物学的モニタリングの知識と結び付けて整理する項目です。
(2) 定期健康診断項目のうち肝機能検査については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。
適切です。定期健康診断の一部の項目は、年齢などの基準に基づき、医師が必要でないと認める場合には省略できることがあります。肝機能検査も、一定の条件のもとで省略が認められる項目です。試験では、すべての健康診断項目が常に省略不可ではない点を押さえることが大切です。
(3) 常時50人以上の労働者を使用する事業場において、定期健康診断を行ったときは、遅滞なく、その結果を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
適切です。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、定期健康診断を実施した場合、定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出する必要があります。50人以上という基準は、衛生管理者や産業医の選任義務とも関連してよく問われる重要な数字です。
(4) 定期健康診断を受けた労働者に対しては、異常の所見が認められなかった者を含め、遅滞なく、健康診断の結果を通知しなければならない。
適切です。健康診断の結果は、異常所見のある労働者だけでなく、異常がなかった労働者にも通知しなければなりません。健康診断は事業者が実施して終わりではなく、労働者本人が自分の健康状態を把握できるように結果を知らせることが必要です。
(5) 事業場において実施した定期健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者については、その結果に基づき、健康の保持のために必要な措置について、健康診断が行われた日から3か月以内に、医師の意見を聴かなければならない。
適切です。健康診断で異常の所見があると診断された労働者については、事業者は医師などから意見を聴かなければなりません。期限は、健康診断が行われた日から3か月以内です。これは、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮など、健康保持のために必要な措置を検討するための手続です。
この問題で覚えるポイント
定期健康診断の尿検査は、尿中の糖及び蛋白の有無を確認するものです。馬尿酸、デルタアミノレブリン酸、2,5-ヘキサンジオンなどは、有害物質の体内摂取量を把握する特殊健康診断や生物学的モニタリングで問われる項目として整理します。定期健康診断の結果は労働者本人へ通知し、異常所見がある場合は健康診断日から3か月以内に医師の意見を聴く必要があります。また、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長へ遅滞なく提出します。健康診断項目には、省略できるものと省略できないものがあるため、定期健康診断は全項目を必ず毎回実施するものではない点も重要です。
ひっかけポイント
この問題の大きなひっかけは、定期健康診断と特殊健康診断の検査項目を混同させる点です。尿検査という言葉だけを見ると、尿中の物質を調べる検査なら定期健康診断に含まれそうに感じますが、馬尿酸やデルタアミノレブリン酸は有害物質ばく露に関係する専門的な検査項目です。一般健康診断の尿検査は、糖と蛋白の有無を調べるものと押さえると判断しやすくなります。また、50人以上、3か月以内、遅滞なく通知と報告といった数字や期限も狙われやすい部分です。健康診断は、実施項目、結果通知、報告義務、医師の意見聴取を分けて整理すると、似た文章に惑わされにくくなります。
