【第二種衛生管理者過去問】2024年10月公表問題|問16|高年齢労働者の安全衛生対策とエイジフレンドリーガイドライン|労働衛生を解説

出典:第二種衛生管理者2024年(令和6年度)10月公表問題|労働衛生第16問

問題

厚生労働省の「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

(1) 経営トップ自らが、高齢者労働災害防止対策に取り組む姿勢を示し、企業全体の安全意識を高めるため、高齢者労働災害防止対策に関する事項を盛り込んだ安全衛生方針を表明する。

(2) 高齢者労働災害防止対策には、事業場全体で取り組むことが重要であることから、対策を推進するための特定の部署や担当者を指定することは避けるようにする。

(3) 身体機能が低下した高年齢労働者であっても安全に働き続けることができるよう、事業場の施設、設備、装置等の改善を行うが、危険を知らせるための警報音等は、年齢によらず聞き取りやすい高音域の音を採用するとよい。

(4) 高年齢労働者が自らの身体機能の維持向上に取り組めるよう、高年齢労働者を対象とした体力チェックを継続的に行うことが望ましいが、個々の労働者に対する不利益につながるおそれがあることから、体力チェックの評価基準は設けないようにする。

(5) 高年齢労働者は、十分な経験を有しているため、改めて安全衛生教育を行うことは高年齢労働者の自尊心を損なうおそれがあるばかりでなく、長時間にわたり教育を行うことは身体面の負担が大きいことから、最小限の時間と内容で行うことが望ましい。

第二種衛生管理者|高年齢労働者の安全衛生対策とエイジフレンドリーガイドラインを解説

高年齢労働者の安全衛生対策では、加齢による身体機能の変化を前提に、経営トップの方針表明、推進体制の整備、職場環境の改善、体力や健康状態の把握、安全衛生教育などを総合的に進めることが重要です。答えは(1)です。経営トップが高齢者労働災害防止対策を安全衛生方針に盛り込み、企業全体で取り組む姿勢を明確にすることは、エイジフレンドリーガイドラインに沿った適切な対応です。

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(1) 経営トップ自らが、高齢者労働災害防止対策に取り組む姿勢を示し、企業全体の安全意識を高めるため、高齢者労働災害防止対策に関する事項を盛り込んだ安全衛生方針を表明する。

適切です。その理由は、高年齢労働者の安全衛生対策は、現場任せではなく、事業者全体として計画的に進める必要があるからです。高年齢労働者は、経験や技能を有している一方で、視力、聴力、筋力、平衡感覚、反応速度などが若年時と比べて低下しやすく、転倒、墜落、腰痛、交通災害などのリスクが高まることがあります。そのため、経営トップが安全衛生方針として高齢者労働災害防止対策に取り組む姿勢を示すことにより、職場全体の意識を高め、設備改善や作業方法の見直しを進めやすくなります。単なる注意喚起ではなく、組織として継続的に取り組む姿勢を明確にする点が重要です。

(2) 高齢者労働災害防止対策には、事業場全体で取り組むことが重要であることから、対策を推進するための特定の部署や担当者を指定することは避けるようにする。

不適切です。その理由は、事業場全体で取り組むことと、推進する部署や担当者を明確にすることは矛盾しないからです。むしろ、対策を確実に進めるためには、担当部署や担当者を定め、責任の所在を明らかにすることが重要です。担当者がいない状態では、職場環境の点検、リスクアセスメント、設備改善、教育、体力チェックなどが場当たり的になり、対策が継続しにくくなります。全員で取り組むから担当者を置かないのではなく、全員で取り組むために推進役を明確にする、と理解すると正誤判断しやすくなります。

(3) 身体機能が低下した高年齢労働者であっても安全に働き続けることができるよう、事業場の施設、設備、装置等の改善を行うが、危険を知らせるための警報音等は、年齢によらず聞き取りやすい高音域の音を採用するとよい。

不適切です。その理由は、加齢に伴い高い周波数の音が聞き取りにくくなる傾向があるためです。高年齢労働者への配慮として警報音を用いる場合は、高音域の音を一律に採用すればよいわけではありません。警報音は、職場の騒音状況や労働者の聴力特性を踏まえ、聞き取りやすい音域、音量、光による表示、振動、表示灯などを組み合わせて確実に気付けるようにすることが大切です。高年齢労働者に配慮した設備改善では、段差の解消、滑りにくい床材、十分な照度、見やすい表示、無理な姿勢を避ける作業台など、身体機能の変化を補う工夫が求められます。

(4) 高年齢労働者が自らの身体機能の維持向上に取り組めるよう、高年齢労働者を対象とした体力チェックを継続的に行うことが望ましいが、個々の労働者に対する不利益につながるおそれがあることから、体力チェックの評価基準は設けないようにする。

不適切です。その理由は、体力チェックは単に実施するだけでなく、結果を適切に評価し、本人の気付きや職場改善につなげることが重要だからです。評価基準を設けないと、労働者が自分の体力や身体機能の状態を客観的に把握しにくくなります。もちろん、体力チェックの結果を不利益な取扱いに使ってはいけません。重要なのは、評価基準を設けないことではなく、評価結果を安全な作業配置、転倒予防、体力維持、健康づくり、作業方法の見直しに活用することです。個人を排除するためではなく、安全に働き続けるための支援として行う点を押さえてください。

(5) 高年齢労働者は、十分な経験を有しているため、改めて安全衛生教育を行うことは高年齢労働者の自尊心を損なうおそれがあるばかりでなく、長時間にわたり教育を行うことは身体面の負担が大きいことから、最小限の時間と内容で行うことが望ましい。

不適切です。その理由は、経験があることと、安全衛生教育が不要であることは別だからです。高年齢労働者は豊富な経験を持っている場合が多い一方で、身体機能の変化により、以前と同じ感覚で作業すると災害につながることがあります。また、新しい設備、作業方法、危険有害要因に対応するためにも、年齢に応じた分かりやすい安全衛生教育が必要です。教育時間や方法について身体的負担に配慮することは大切ですが、内容を最小限にすればよいという考え方は適切ではありません。高年齢労働者の経験を尊重しながら、転倒予防、腰痛予防、作業姿勢、危険予知、健康管理などを具体的に学べる教育を行うことが望まれます。

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この問題で覚えるポイント

高年齢労働者の安全衛生対策では、エイジフレンドリーガイドラインに基づき、経営トップによる方針表明、推進体制の整備、リスクアセスメント、職場環境の改善、作業内容や作業方法の見直し、健康や体力の状況把握、安全衛生教育を組み合わせて行うことが重要です。高年齢労働者は、視力、聴力、筋力、敏しょう性、平衡感覚、回復力などが低下しやすいため、本人の注意力だけに頼る対策では不十分です。転倒防止では段差解消、滑りにくい床、十分な照度、通路の整理整頓が重要です。警報や表示では、高音域の音だけに頼らず、見やすい表示、光、振動なども含めて確実に認識できる方法を検討します。体力チェックは、不利益な取扱いのためではなく、本人の気付き、体力維持、作業改善、安全な配置につなげるために行います。安全衛生教育は、高年齢労働者の経験を尊重しつつ、加齢による身体機能の変化や災害リスクを理解できる内容にすることが大切です。

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ひっかけポイント

このテーマでは、「事業場全体で取り組む」という正しい考え方を使って、「担当者を指定しない」という誤った結論に誘導する文章に注意が必要です。全員で取り組むことと、推進担当を明確にすることは両立します。また、「高齢者に配慮する」という言葉が入っていても、警報音を高音域にするなど、加齢による身体機能の変化と反対の内容になっている場合があります。体力チェックについても、不利益取扱いを避けることは正しいですが、評価基準を設けないという結論は適切ではありません。さらに、「経験豊富だから教育は最小限でよい」という日常感覚にも注意が必要です。試験では、一部だけ正しい文章にもっともらしい誤りを混ぜる形で出題されるため、方針、体制、設備改善、体力把握、教育のそれぞれが本当に高年齢労働者の安全確保につながっているかを確認することが大切です。

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