出典:第二種衛生管理者2023年(令和5年度)10月公表問題|労働生理第30問
問題
ヒトのホルモン、その内分泌器官及びそのはたらきの組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。
(1) ホルモン:ガストリン 内分泌器官:胃 はたらき:胃酸分泌刺激
(2) ホルモン:アルドステロン 内分泌器官:副腎皮質 はたらき:体液中の塩類バランスの調節
(3) ホルモン:パラソルモン 内分泌器官:副甲状腺 はたらき:血中のカルシウム量の調節
(4) ホルモン:コルチゾール 内分泌器官:膵(すい)臓 はたらき:血糖量の増加
(5) ホルモン:副腎皮質刺激ホルモン 内分泌器官:下垂体 はたらき:副腎皮質の活性化
第二種衛生管理者|ホルモンと内分泌器官の働き一覧|副腎・下垂体・膵臓の役割を解説
この問題は、ホルモンの名称、分泌される内分泌器官、主なはたらきの組合せを判断する内容です。答えは(4)です。コルチゾールには血糖量を増加させる作用がありますが、分泌器官は膵臓ではなく副腎皮質です。膵臓から分泌される代表的なホルモンは、インスリンやグルカゴンです。ホルモンの問題では、はたらきだけでなく、どの器官から分泌されるかまで正確に結び付けて覚えることが大切です。

(1) ホルモン:ガストリン 内分泌器官:胃 はたらき:胃酸分泌刺激
適切です。ガストリンは、主に胃の幽門部などから分泌される消化管ホルモンです。胃腺を刺激して胃酸の分泌を促進し、食物の消化を助けます。胃酸は蛋白質の消化に関わるペプシンの働きを助けるため、ガストリンは胃の消化機能を高めるホルモンとして理解すると覚えやすいです。
(2) ホルモン:アルドステロン 内分泌器官:副腎皮質 はたらき:体液中の塩類バランスの調節
適切です。アルドステロンは副腎皮質から分泌されるホルモンです。腎臓に作用してナトリウムの再吸収を促進し、体液中の塩類バランスや水分量の調節に関与します。ナトリウムが体内に保持されると水分も保持されやすくなるため、血液量や血圧の調節にも関係します。
(3) ホルモン:パラソルモン 内分泌器官:副甲状腺 はたらき:血中のカルシウム量の調節
適切です。パラソルモンは副甲状腺ホルモンとも呼ばれ、副甲状腺から分泌されます。主なはたらきは、血液中のカルシウム濃度を調節することです。血中カルシウム濃度が低下したときに、骨や腎臓などに作用して血中カルシウム量を増やす方向にはたらきます。カルシウムは筋肉の収縮や神経の働きにも関係するため、体内で一定に保つ必要があります。
(4) ホルモン:コルチゾール 内分泌器官:膵(すい)臓 はたらき:血糖量の増加
不適切です。コルチゾールは血糖量の増加に関与するホルモンですが、分泌される内分泌器官は膵臓ではなく副腎皮質です。コルチゾールは糖質コルチコイドの一種で、ストレス時などに分泌が増え、蛋白質や脂肪の代謝にも関わりながら血糖値を上げる方向にはたらきます。膵臓から分泌される血糖調節ホルモンには、血糖値を下げるインスリンと、血糖値を上げるグルカゴンがあります。血糖量の増加という働きだけを見ると膵臓のグルカゴンと混同しやすいですが、コルチゾールの分泌器官は副腎皮質です。
(5) ホルモン:副腎皮質刺激ホルモン 内分泌器官:下垂体 はたらき:副腎皮質の活性化
適切です。副腎皮質刺激ホルモンは、下垂体前葉から分泌されるホルモンです。名前のとおり、副腎皮質を刺激して、コルチゾールなどの副腎皮質ホルモンの分泌を促します。下垂体は多くの内分泌器官を調整する司令塔のような役割を持つため、副腎皮質刺激ホルモンは下垂体から副腎皮質へ命令を出すホルモンと考えると理解しやすいです。
この問題で覚えるポイント
ホルモンの問題では、ホルモン名、分泌器官、はたらきの3点をセットで覚えることが重要です。ガストリンは胃から分泌され、胃酸分泌を刺激します。アルドステロンは副腎皮質から分泌され、ナトリウムや水分の調節を通じて体液中の塩類バランスに関与します。パラソルモンは副甲状腺から分泌され、血中カルシウム量を調節します。コルチゾールは副腎皮質から分泌され、血糖量を増加させる方向にはたらきます。副腎皮質刺激ホルモンは下垂体前葉から分泌され、副腎皮質を活性化します。血糖調節では、インスリンは血糖値を下げ、グルカゴンやコルチゾールは血糖値を上げる方向にはたらく点も合わせて整理しておくと、関連問題に対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、はたらきだけを見ると正しそうに見える組合せにあります。コルチゾールが血糖量を増加させるという部分は正しいため、そこだけで判断すると誤答しやすくなります。しかし、コルチゾールの分泌器官は膵臓ではなく副腎皮質です。膵臓はインスリンやグルカゴンを分泌する器官であり、血糖調節に関係するため、コルチゾールと混同しやすいところです。ホルモンの正誤問題では、文章の一部が正しくても、分泌器官や作用の組合せがずれていれば誤りになります。名前の印象や働きだけで選ばず、ホルモン、内分泌器官、作用の3点がすべて一致しているかを確認することが大切です。
