【第二種衛生管理者過去問】2023年4月公表問題|問18|食中毒の原因菌と予防対策|サルモネラ・腸炎ビブリオ・ノロウイルス|労働衛生を解説

出典:第二種衛生管理者2023年(令和5年度)4月公表問題|労働衛生第18問

問題

食中毒に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 黄色ブドウ球菌による食中毒は、食品に付着した菌が食品中で増殖した際に生じる毒素により発症する。

(2) サルモネラ菌による食中毒は、鶏卵が原因となることがある。

(3) 腸炎ビブリオ菌は、熱に強い。

(4) ボツリヌス菌は、缶詰、真空パック食品など酸素のない食品中で増殖して毒性の強い神経毒を産生し、筋肉の麻痺(ひ)症状を起こす。

(5) ノロウイルスの失活化には、煮沸消毒又は塩素系の消毒剤が効果的である。

第二種衛生管理者|食中毒の原因菌と予防対策|サルモネラ・腸炎ビブリオ・ノロウイルスを解説

食中毒の原因となる細菌やウイルスは、それぞれ増殖しやすい食品、毒素の有無、熱への強さ、予防方法が異なります。答えは(3)です。腸炎ビブリオ菌は熱に強い菌ではなく、加熱により死滅しやすい菌です。魚介類に関係する食中毒菌として出題されやすいため、「海水由来」「魚介類」「真水や熱に弱い」という特徴をセットで覚えることが大切です。

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(1) 黄色ブドウ球菌による食中毒は、食品に付着した菌が食品中で増殖した際に生じる毒素により発症する。

適切です。黄色ブドウ球菌は、人の手指、鼻腔、傷口などに存在することがあり、調理者の手指を介して食品に付着することがあります。食品中で菌が増殖すると、エンテロトキシンという毒素を産生し、この毒素を摂取することで食中毒が起こります。注意点は、菌そのものよりも毒素が問題になる点です。毒素は熱に比較的強いため、食品を後から加熱しても完全に安全になるとは限りません。おにぎり、弁当、調理パンなど、人の手で直接触れる食品が原因となりやすいことも押さえておきましょう。

(2) サルモネラ菌による食中毒は、鶏卵が原因となることがある。

適切です。サルモネラ菌は、鶏卵、鶏肉、食肉などが原因食品となることがあります。特に卵の殻や卵の内部が汚染される場合があり、生卵や加熱不十分な卵料理を通じて感染することがあります。サルモネラ菌による食中毒では、腹痛、下痢、発熱、嘔吐などの症状がみられます。予防には、十分な加熱、卵や肉の適切な保存、調理器具の使い分け、手洗いが重要です。

(3) 腸炎ビブリオ菌は、熱に強い。

不適切です。腸炎ビブリオ菌は熱に強い菌ではありません。腸炎ビブリオ菌は海水中に存在し、魚介類、特に刺身などの生の魚介類が原因となることがあります。特徴として、塩分を好む一方で、真水や加熱には弱い性質があります。つまり、魚介類を真水でよく洗うことや、十分に加熱することが予防に有効です。「魚介類に関係する菌だからしぶとい」と考えてしまうと誤りやすいですが、試験では「腸炎ビブリオ菌は熱に弱い」と判断できることが重要です。

(4) ボツリヌス菌は、缶詰、真空パック食品など酸素のない食品中で増殖して毒性の強い神経毒を産生し、筋肉の麻痺(ひ)症状を起こす。

適切です。ボツリヌス菌は酸素の少ない環境で増殖しやすい嫌気性菌です。缶詰、瓶詰、真空パック食品、発酵食品などで管理が不適切な場合に問題となることがあります。ボツリヌス菌が産生する毒素は非常に強力な神経毒で、ものが二重に見える、飲み込みにくい、ろれつが回りにくい、筋力低下、呼吸筋の麻痺などを起こすことがあります。一般的な腹痛や下痢だけでなく、神経症状が特徴である点が試験で狙われます。

(5) ノロウイルスの失活化には、煮沸消毒又は塩素系の消毒剤が効果的である。

適切です。ノロウイルスは感染力が強く、少量のウイルスでも感染することがあります。主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などです。ノロウイルスはアルコール消毒だけでは十分な効果が得られにくい場合があり、失活化には十分な加熱や次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒剤が有効です。調理器具、ドアノブ、トイレ周辺、嘔吐物の処理などでは、塩素系消毒剤を適切な濃度で使用することが重要です。

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この問題で覚えるポイント

食中毒の問題では、原因ごとの特徴をまとめて判断することが重要です。黄色ブドウ球菌は人の手指などから食品に付着し、食品中で増殖して毒素を作る毒素型食中毒です。サルモネラ菌は鶏卵や食肉が原因になりやすく、十分な加熱と衛生的な取扱いが予防の基本です。腸炎ビブリオ菌は海水由来で魚介類に関係し、塩分を好みますが、真水や熱には弱い菌です。ボツリヌス菌は酸素のない環境で増殖し、強い神経毒により筋肉の麻痺を起こす点が特徴です。ノロウイルスは細菌ではなくウイルスで、食品中では増殖せず、人の体内で増殖します。失活化には煮沸消毒や塩素系消毒剤が有効です。食中毒対策では、細菌性食中毒は「菌の増殖を防ぐ」「加熱する」「二次汚染を防ぐ」ことが中心であり、ウイルス性食中毒では「持ち込まない」「広げない」「確実に失活化する」ことが重要です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、腸炎ビブリオ菌について「海の魚介類に関係する菌だから熱に強そう」と思わせる点にあります。実際には腸炎ビブリオ菌は熱に弱く、加熱が有効です。また、黄色ブドウ球菌では「加熱すれば大丈夫」と考えがちですが、問題になる毒素は熱に強い性質があります。ボツリヌス菌は一般的な下痢型の食中毒ではなく、神経毒による麻痺症状が特徴です。ノロウイルスは食品中で増殖する細菌とは異なり、ウイルスであるため、アルコール消毒だけに頼らず、煮沸や塩素系消毒剤が重要になります。食中毒の問題では、「原因食品」「毒素の有無」「熱への強さ」「症状の特徴」を混同しないことが正誤判断の決め手になります。

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