出典:第二種衛生管理者2021年(令和3年度)10月公表問題|労働生理第30問
問題
睡眠に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 睡眠と覚醒のリズムのように、約1日の周期で繰り返される生物学的リズムをサーカディアンリズムといい、このリズムの乱れは、疲労や睡眠障害の原因となる。
(2) 睡眠は、睡眠中の目の動きなどによって、レム睡眠とノンレム睡眠に分類される。
(3) コルチゾールは、血糖値の調節などの働きをするホルモンで、通常、その分泌量は明け方から増加し始め、起床前後で最大となる。
(4) レム睡眠は、安らかな眠りで、この間に脳は休んだ状態になっている。
(5) メラトニンは、睡眠に関与しているホルモンである。
第二種衛生管理者|睡眠の基礎知識|レム睡眠・サーカディアンリズム・メラトニンの働きを解説
睡眠は、サーカディアンリズム、ホルモン分泌、レム睡眠とノンレム睡眠の違いを整理して判断することが大切です。答えは(4)です。レム睡眠は身体の筋緊張が低下して休息している一方で、脳は比較的活動しており、夢を見ることも多い睡眠です。そのため、「脳は休んだ状態」とする記述が誤りです。

(1) 睡眠と覚醒のリズムのように、約1日の周期で繰り返される生物学的リズムをサーカディアンリズムといい、このリズムの乱れは、疲労や睡眠障害の原因となる。
適切です。サーカディアンリズムとは、約24時間周期で繰り返される体内の生物学的リズムのことです。睡眠と覚醒、体温、ホルモン分泌などは、このリズムの影響を受けています。夜勤、交替勤務、時差、夜更かしなどでこのリズムが乱れると、眠りにくさ、日中の眠気、疲労感、集中力の低下などにつながります。
(2) 睡眠は、睡眠中の目の動きなどによって、レム睡眠とノンレム睡眠に分類される。
適切です。睡眠は大きくレム睡眠とノンレム睡眠に分けられます。レム睡眠の「レム」は、急速眼球運動を意味するREMに由来します。レム睡眠では眼球がすばやく動くことが特徴で、ノンレム睡眠ではこのような急速眼球運動はみられにくく、脳の活動も比較的低下します。試験では、レム睡眠とノンレム睡眠の特徴の違いがよく問われます。
(3) コルチゾールは、血糖値の調節などの働きをするホルモンで、通常、その分泌量は明け方から増加し始め、起床前後で最大となる。
適切です。コルチゾールは副腎皮質から分泌されるホルモンで、血糖値の維持、代謝の調節、ストレスへの対応などに関与します。分泌量には日内変動があり、一般に明け方から増え始め、起床前後に高くなります。これは、身体を睡眠状態から活動状態へ移行させる準備として理解すると覚えやすいです。
(4) レム睡眠は、安らかな眠りで、この間に脳は休んだ状態になっている。
不適切です。レム睡眠では、身体の筋肉はゆるみ、身体は休んでいる状態に近くなりますが、脳は比較的活動しています。夢を見ることが多いのもレム睡眠の特徴です。「安らかな眠りで脳が休む」という説明は、むしろ深いノンレム睡眠のイメージに近いものです。レム睡眠は「身体は休むが脳は活動している睡眠」と整理すると、正誤判断がしやすくなります。
(5) メラトニンは、睡眠に関与しているホルモンである。
適切です。メラトニンは、睡眠と覚醒のリズムに関係するホルモンです。一般に夜間に分泌が高まり、眠気を促す方向に働きます。光の影響を受けやすく、夜間に強い光を浴びると分泌が抑えられ、睡眠リズムが乱れやすくなります。睡眠に関するホルモンとして、メラトニンとコルチゾールの働きはあわせて覚えておくとよいです。
この問題で覚えるポイント
睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠の違い、サーカディアンリズム、睡眠に関係するホルモンを整理して覚えることが重要です。サーカディアンリズムは約24時間周期の生物学的リズムで、睡眠と覚醒、体温、ホルモン分泌などに関係します。メラトニンは夜間に分泌が高まり、睡眠を促す方向に働くホルモンです。コルチゾールは明け方から分泌が増え、起床前後に高くなり、身体を活動に向かわせる働きがあります。レム睡眠は急速眼球運動を伴い、身体は休んでいても脳は比較的活動している睡眠です。ノンレム睡眠は脳の活動が低下し、深い休息に関係する睡眠です。試験では、「レム睡眠=脳が休む」とする記述は誤りになりやすいと覚えてください。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「レム睡眠は安らかな眠り」という日常的な表現に引きずられて、脳も休んでいると判断してしまう点です。レム睡眠では身体の筋緊張が低下するため、身体が休んでいる印象はありますが、脳は比較的活動しています。睡眠は単に「深く眠っているかどうか」ではなく、レム睡眠とノンレム睡眠で脳と身体の状態が異なります。また、メラトニンとコルチゾールはどちらも睡眠リズムに関係しますが、メラトニンは眠りを促す方向、コルチゾールは起床前後に増えて活動に備える方向と整理すると混同しにくくなります。
