【第二種衛生管理者過去問】2021年10月公表問題|問29|体温調節とホメオスタシスの基礎知識|発汗・熱放散・恒常性維持|労働生理を解説

出典:第二種衛生管理者2021年(令和3年度)10月公表問題|労働生理第29問

問題

体温調節に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 寒冷な環境においては、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、熱の放散が減少する。

(2) 暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢(こう)進することにより、人体からの熱の放散が促進される。

(3) 体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。

(4) 計算上、100gの水分が体重70㎏の人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温が約1℃下がる。

(5) 熱の放散は、輻(ふく)射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄(せつ)によるものがある。

第二種衛生管理者|体温調節とホメオスタシスの基礎知識|発汗・熱放散・恒常性維持を解説

体温調節では、寒いときは熱を逃がさない方向に、暑いときは熱を逃がす方向に身体が反応します。答えは(2)です。暑熱環境では、内臓の血流量や代謝活動を高めて熱放散するのではなく、皮膚血管の拡張や発汗によって体表面から熱を逃がします。

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(1) 寒冷な環境においては、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、熱の放散が減少する。

適切です。寒い環境では、体温を保つために皮膚の血管が収縮します。皮膚を流れる血液量が減ると、体表面から外気へ逃げる熱が少なくなります。血液は体内の熱を運ぶ役割もあるため、皮膚への血流を減らすことは、熱を身体の中心部に保つための重要な反応です。

(2) 暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢(こう)進することにより、人体からの熱の放散が促進される。

不適切です。暑い環境では、熱を外へ逃がすために皮膚の血管が拡張し、皮膚の血流量が増加します。また、発汗による蒸発で熱を奪い、体温上昇を防ぎます。内臓の血流量が増加し、代謝活動が亢進すると、むしろ体内で熱が作られやすくなります。暑熱環境での基本は、皮膚血流の増加と発汗による熱放散です。

(3) 体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。

適切です。恒常性とは、外部環境が変化しても、体温、血糖値、血液中の水分量、酸塩基平衡などを一定の範囲に保とうとする身体の働きです。体温調節は恒常性の代表例です。暑いときには発汗や皮膚血管の拡張、寒いときには皮膚血管の収縮やふるえなどによって、体温を一定に保とうとします。

(4) 計算上、100gの水分が体重70㎏の人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温が約1℃下がる。

適切です。水分が蒸発するときには、周囲から気化熱を奪います。発汗による体温低下は、この気化熱を利用した仕組みです。計算上、100gの水分が蒸発すると約58kcalの熱が奪われ、体重70kgの人では体温が約1℃低下すると考えられます。試験では、発汗は汗が出ること自体ではなく、汗が蒸発することで体温を下げる点が重要です。

(5) 熱の放散は、輻(ふく)射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄(せつ)によるものがある。

適切です。身体から熱が逃げる方法には、放射、伝導、対流、蒸発などがあります。放射は身体から周囲へ赤外線として熱が移動すること、伝導は接触している物へ熱が移動すること、蒸発は水分が蒸発するときに熱を奪うことです。蒸発には、発汗によるものと、皮膚や呼吸から常に少しずつ水分が失われる不感蒸泄があります。

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この問題で覚えるポイント

体温調節では、寒冷環境では皮膚血管が収縮して皮膚血流量が減り、熱放散が抑えられます。暑熱環境では皮膚血管が拡張して皮膚血流量が増え、発汗による蒸発も加わって熱放散が促進されます。恒常性、つまりホメオスタシスとは、外部環境が変化しても体温など身体内部の状態を一定に保とうとする性質です。熱放散の方法には、放射、伝導、対流、蒸発があり、蒸発には発汗と不感蒸泄があります。発汗は汗をかくだけでなく、その汗が蒸発して気化熱を奪うことで体温を下げる点が重要です。計算上、100gの水分が蒸発すると体重70kgの人の体温は約1℃下がると覚えておくと、数値問題にも対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題の大きなひっかけは、暑いときに「血流量が増加する」という部分だけを見て正しいと判断してしまうことです。暑熱環境で増えるのは主に皮膚の血流量であり、内臓の血流量や代謝活動が亢進するわけではありません。代謝活動が亢進すると熱産生が増えるため、体温を下げる説明としては不自然です。また、発汗は汗を出すこと自体ではなく、汗が蒸発して気化熱を奪うことで熱放散に役立つ点も混同しやすいところです。体温調節の問題では、寒いときは熱を逃がさない、暑いときは皮膚血流と発汗で熱を逃がす、という方向性を押さえると正誤判断が安定します。

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