出典:第二種衛生管理者2021年(令和3年度)10月公表問題|労働衛生第16問
問題
出血及び止血法並びにその救急処置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 体内の全血液量は、体重の約13分の1で、その約3分の1を短時間に失うと生命が危険な状態となる。
(2) 傷口が泥で汚れているときは、手際良く水道水で洗い流す。
(3) 止血法には、直接圧迫法、間接圧迫法などがあるが、一般人が行う応急手当としては直接圧迫法が推奨されている。
(4) 静脈性出血は、擦り傷のときにみられ、傷口から少しずつにじみ出るような出血である。
(5) 止血帯を施した後、受傷者を医師に引き継ぐまでに30分以上かかる場合には、止血帯を施してから30分ごとに1~2分間、出血部から血液がにじんでくる程度まで結び目をゆるめる。
第二種衛生管理者|出血時の応急処置と止血法|直接圧迫法と止血帯の基礎知識を解説
出血時の応急処置では、出血の種類、生命に関わる出血量、傷口の洗浄、止血法の優先順位を正しく判断することが重要です。答えは(4)です。静脈性出血は、傷口から暗赤色の血液が持続的に流れ出る出血であり、擦り傷で少しずつにじみ出る出血は毛細血管性出血です。静脈性出血と毛細血管性出血を混同させる点が、この問題の中心です。

(1) 体内の全血液量は、体重の約13分の1で、その約3分の1を短時間に失うと生命が危険な状態となる。
適切です。体内の血液量は、一般に体重の約13分の1とされます。たとえば体重65kgの人であれば、おおよそ5L程度の血液が体内にある計算になります。このうち約3分の1を短時間に失うと、血圧低下やショック状態を起こし、生命に危険が及びます。出血量の問題では、体重の約13分の1、短時間に約3分の1喪失で生命危険、という数値を押さえることが大切です。
(2) 傷口が泥で汚れているときは、手際良く水道水で洗い流す。
適切です。傷口に泥や砂などの異物が付着している場合は、感染を防ぐために、清潔な水道水で洗い流します。異物が残ったまま処置すると、細菌感染や傷の悪化につながるおそれがあります。ただし、大量出血がある場合は、洗浄よりも止血を優先します。試験では、軽い汚れのある傷では洗浄が必要、激しい出血では止血が優先、という優先順位も意識しておくと判断しやすくなります。
(3) 止血法には、直接圧迫法、間接圧迫法などがあるが、一般人が行う応急手当としては直接圧迫法が推奨されている。
適切です。直接圧迫法は、清潔なガーゼや布などを傷口に当て、その上から手で強く押さえて止血する方法です。一般人が行う応急手当としては、最も基本的で実施しやすい止血法です。間接圧迫法は、出血部位より心臓に近い動脈を圧迫して血流を減らす方法ですが、正確な圧迫部位の知識が必要です。そのため、まずは傷口を直接押さえる直接圧迫法が推奨されます。
(4) 静脈性出血は、擦り傷のときにみられ、傷口から少しずつにじみ出るような出血である。
不適切です。擦り傷のときにみられ、傷口から少しずつにじみ出るような出血は、毛細血管性出血です。静脈性出血は、静脈が損傷したときに起こり、暗赤色の血液が持続的に流れ出るのが特徴です。動脈性出血は鮮紅色の血液が拍動に合わせて噴き出すように出るため、より緊急性が高い出血です。この選択肢は、静脈性出血と毛細血管性出血の特徴を入れ替えているため誤りです。
(5) 止血帯を施した後、受傷者を医師に引き継ぐまでに30分以上かかる場合には、止血帯を施してから30分ごとに1~2分間、出血部から血液がにじんでくる程度まで結び目をゆるめる。
適切です。止血帯は、直接圧迫法などでは止血できない激しい出血の場合に用いられる方法です。ただし、長時間強く締め続けると、血流が遮断され、末梢の組織に障害が生じるおそれがあります。そのため、医師に引き継ぐまでに時間がかかる場合には、一定時間ごとに短時間ゆるめる処置が必要とされます。止血帯は便利な方法ではありますが、組織障害の危険もあるため、むやみに使うものではなく、重度の出血時の例外的な手段として理解しておくとよいです。
この問題で覚えるポイント
出血の分類では、動脈性出血、静脈性出血、毛細血管性出血の違いを押さえることが正誤判断に直結します。動脈性出血は鮮紅色の血液が拍動に合わせて噴き出すように出る出血で、生命に関わる危険が高いです。静脈性出血は暗赤色の血液が持続的に流れ出る出血です。毛細血管性出血は擦り傷などでみられ、血液が少しずつにじみ出る出血です。体内の全血液量は体重の約13分の1であり、その約3分の1を短時間に失うと生命が危険になります。止血法では、一般人が行う応急手当として直接圧迫法が基本です。傷口を清潔なガーゼや布で押さえ、出血部位を直接圧迫します。傷口が泥などで汚れている場合は水道水で洗い流しますが、大量出血がある場合は洗浄より止血を優先します。止血帯は強力な止血法ですが、血流を遮断するため組織障害の危険があります。そのため、直接圧迫法で対応できないような重い出血で使う方法として整理しておくとよいです。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、静脈性出血と毛細血管性出血の特徴を入れ替えている点です。日常感覚では、傷口から血が出ればすべて同じように見えてしまいますが、試験では出血の色、出方、勢いで分類して判断します。擦り傷で少しずつにじむ出血は毛細血管性出血であり、静脈性出血ではありません。また、直接圧迫法、間接圧迫法、止血帯の違いも混同しやすいところです。一般人の応急手当では直接圧迫法が基本で、止血帯は重い出血に対する例外的な手段です。文章の一部だけを見ると正しそうでも、出血の種類と特徴が一致しているかを確認することが大切です。
