出典:第二種衛生管理者2021年(令和3年度)4月公表問題|関係法令第10問
問題
労働基準法に定める育児時間に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 生後満1年を超え、満2年に達しない生児を育てる女性労働者は、育児時間を請求することができる。
(2) 育児時間は、必ずしも有給としなくてもよい。
(3) 育児時間は、1日2回、1回当たり少なくとも30分の時間を請求することができる。
(4) 育児時間を請求しない女性労働者に対しては、育児時間を与えなくてもよい。
(5) 育児時間は、育児時間を請求できる女性労働者が請求する時間に与えなければならない。
第二種衛生管理者|育児時間制度の基礎知識|女性労働者の請求権と労働基準法の規定を解説
労働基準法の育児時間は、生後満1年に達しない生児を育てる女性労働者が請求できる制度です。答えは(1)です。育児時間を請求できるのは「生後満1年に達しない生児」を育てる女性であり、「満1年を超え、満2年に達しない生児」ではありません。育児時間は、請求があった場合に1日2回、それぞれ少なくとも30分与える必要がありますが、有給にするか無給にするかは労働基準法上は定められていません。

(1) 生後満1年を超え、満2年に達しない生児を育てる女性労働者は、育児時間を請求することができる。
不適切です。その理由は、労働基準法で育児時間を請求できる対象が「生後満1年に達しない生児を育てる女性」とされているためです。つまり、子が1歳になるまでの期間が対象です。「満1年を超え、満2年に達しない」という表現は、1歳を超えて2歳未満の子を意味するため、労働基準法上の育児時間の対象から外れます。育児関連の制度には、育児休業など別の制度もあるため混同しやすいですが、労働基準法の育児時間では「1歳未満」が重要な判断基準になります。
(2) 育児時間は、必ずしも有給としなくてもよい。
適切です。その理由は、労働基準法では育児時間を与える義務は定められていますが、その時間を有給にしなければならないとは規定されていないためです。賃金を支払うかどうかは、就業規則、労働契約、労使慣行などによって決まります。試験では、「育児時間を与える義務」と「賃金を支払う義務」を分けて考えることが大切です。法律上は育児時間を与えなければなりませんが、必ず有給にしなければならないわけではありません。
(3) 育児時間は、1日2回、1回当たり少なくとも30分の時間を請求することができる。
適切です。その理由は、労働基準法において、生後満1年に達しない生児を育てる女性は、休憩時間のほかに、1日2回、それぞれ少なくとも30分の育児時間を請求できるとされているためです。ここで重要なのは、通常の休憩時間とは別に請求できるという点です。勤務時間中に授乳など育児に必要な時間を確保するための制度であり、1日2回、各30分以上という数値は頻出です。
(4) 育児時間を請求しない女性労働者に対しては、育児時間を与えなくてもよい。
適切です。その理由は、育児時間は女性労働者の請求によって与えられる制度だからです。使用者が対象者全員に自動的に与えなければならない制度ではありません。もちろん、請求があった場合には使用者は拒むことができませんが、請求がない場合まで必ず育児時間を設定する義務はありません。「請求できる権利」と「使用者が自動的に付与する義務」は区別して理解しておく必要があります。
(5) 育児時間は、育児時間を請求できる女性労働者が請求する時間に与えなければならない。
適切です。その理由は、育児時間は対象となる女性労働者が請求した場合に、使用者が与えなければならない時間だからです。制度の趣旨は、生後満1年に達しない子を育てる女性労働者が、授乳など育児に必要な時間を確保できるようにすることにあります。そのため、使用者の都合だけで一方的に別の時間に変更したり、請求を拒んだりすることはできません。試験上は、対象者、請求制、1日2回、各30分以上という基本を押さえることが重要です。
この問題で覚えるポイント
労働基準法の育児時間は、生後満1年に達しない生児を育てる女性労働者が請求できる制度です。対象は「女性労働者」であり、子の年齢は「1歳未満」です。育児時間は、通常の休憩時間とは別に、1日2回、それぞれ少なくとも30分請求できます。請求があった場合、使用者は育児時間を与えなければなりませんが、請求がない場合に自動的に与える義務まではありません。また、労働基準法上、育児時間を有給にしなければならないという規定はありません。有給か無給かは、就業規則や労働契約などによって決まります。試験では、「1歳未満」「女性労働者」「請求制」「1日2回」「各30分以上」「有給義務なし」という知識が正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
このテーマで最も引っかかりやすいのは、子の年齢条件です。「満1年を超え、満2年に達しない」という表現は、育児に関する制度として一見もっともらしく見えますが、労働基準法の育児時間では対象外です。育児休業など他の育児制度と混同すると誤答しやすくなります。また、「育児時間」という名称から、当然に有給だと思い込むのも典型的な誤りです。法律は時間を与える義務を定めているのであって、賃金支払いまで当然に義務付けているわけではありません。さらに、育児時間は請求によって発生する権利であるため、請求しない労働者にまで必ず付与する制度ではない点も重要です。似た制度や日常感覚に引っ張られず、「誰が」「いつまでの子について」「何回」「何分」「請求した場合どうなるか」を順番に確認すると、同じパターンの問題にも対応しやすくなります。
