【第一種衛生管理者過去問】2025年10月公表問題|問41|神経系の構造と中枢神経・自律神経の働き|労働生理を解説

出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)10月公表問題|労働生理第41問

問題

神経系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 神経系は、中枢神経系と末梢(しょう)神経系に大別され、中枢神経系は脳と脊髄から成る。

(2) 大脳の内側の髄質は、神経細胞の細胞体が集合した灰白質で、感覚、運動、思考などの作用を支配する中枢として機能する。

(3) 神経系を構成する基本的な単位である神経細胞は、通常、1個の細胞体、1本の軸索、複数の樹状突起から成り、ニューロンともいわれる。

(4) 交感神経系は、心拍数を増加したり、消化管の運動を抑制する。

(5) 体性神経には感覚器官からの情報を中枢に伝える感覚神経と、中枢からの命令を運動器官に伝える運動神経がある。

第1種衛生管理者|神経系の構造と中枢神経・自律神経の働きを解説

神経系は、体の情報伝達と調節を担う重要な仕組みで、中枢神経系、末梢神経系、体性神経、自律神経などに分けて整理すると理解しやすくなります。答えは(2)です。大脳では、神経細胞の細胞体が集まる灰白質は主に外側の皮質にあり、感覚、運動、思考などの高次機能に関わります。内側の髄質は主に神経線維が集まる白質です。「灰白質」と「白質」、「大脳皮質」と「髄質」の位置関係を取り違えないことが、この問題の正誤判断の中心です。

下に移動する

(1) 神経系は、中枢神経系と末梢(しょう)神経系に大別され、中枢神経系は脳と脊髄から成る。

適切です。神経系は、大きく中枢神経系と末梢神経系に分けられます。中枢神経系は脳と脊髄から成り、全身から集まった情報を処理し、必要な命令を出す中心的な役割を担います。末梢神経系は、中枢神経系と体の各部をつなぎ、感覚情報を中枢へ伝えたり、中枢からの命令を筋肉や臓器へ伝えたりします。まずは「中枢神経系は脳と脊髄」と覚えることが基本です。

(2) 大脳の内側の髄質は、神経細胞の細胞体が集合した灰白質で、感覚、運動、思考などの作用を支配する中枢として機能する。

不適切です。大脳の内側の髄質は、神経細胞の細胞体が集まる灰白質ではなく、主に神経線維が集まる白質です。大脳で感覚、運動、思考、記憶、判断などに関わる中枢として重要なのは、外側を覆う大脳皮質であり、ここは神経細胞の細胞体が多く集まる灰白質です。つまり、この選択肢は「大脳の機能」についてはおおむね正しい内容を含んでいますが、「内側の髄質を灰白質としている点」が誤りです。灰白質は細胞体が多い部分、白質は神経線維が多い部分と整理すると判断しやすくなります。

(3) 神経系を構成する基本的な単位である神経細胞は、通常、1個の細胞体、1本の軸索、複数の樹状突起から成り、ニューロンともいわれる。

適切です。神経細胞はニューロンとも呼ばれ、神経系を構成する基本単位です。一般に、神経細胞は細胞体、軸索、樹状突起から成ります。樹状突起は他の神経細胞などから情報を受け取る部分で、軸索は情報を遠くへ伝える部分です。細胞体には核があり、細胞の生命活動を維持します。神経の情報伝達は、樹状突起で受け取り、細胞体を経て、軸索を通って次の細胞へ伝える流れとして理解すると覚えやすいです。

(4) 交感神経系は、心拍数を増加したり、消化管の運動を抑制する。

適切です。交感神経系は、自律神経系の一部で、活動時や緊張時に優位になります。体を「動くための状態」にする働きがあり、心拍数を増加させ、血圧を上げ、気管支を広げる方向に作用します。消化管の運動は、活動時には優先度が下がるため、交感神経系によって抑制されます。これに対して副交感神経系は、休息時に優位となり、消化管の運動を促進する方向に働きます。交感神経は活動、副交感神経は休息と消化、と対比して覚えると整理しやすいです。

(5) 体性神経には感覚器官からの情報を中枢に伝える感覚神経と、中枢からの命令を運動器官に伝える運動神経がある。

適切です。体性神経は、主に自分の意思で動かす骨格筋の運動や、皮膚、筋肉、関節などからの感覚に関係します。感覚神経は、感覚器官や皮膚などで受け取った刺激を中枢神経系へ伝えます。運動神経は、中枢神経系からの命令を骨格筋などの運動器官へ伝えます。体性神経は「感覚を中枢へ送る神経」と「命令を筋肉へ送る神経」に分けて理解すると、神経系の分類をつかみやすくなります。

下に移動する

この問題で覚えるポイント

神経系は、中枢神経系と末梢神経系に大別され、中枢神経系は脳と脊髄から成ります。末梢神経系は、体性神経と自律神経に分けて整理すると理解しやすくなります。体性神経には、感覚器官からの情報を中枢へ伝える感覚神経と、中枢からの命令を骨格筋などへ伝える運動神経があります。自律神経には交感神経系と副交感神経系があり、交感神経系は活動時に優位となって心拍数を増加させ、消化管運動を抑制します。副交感神経系は休息時に優位となり、心拍数を低下させ、消化管運動を促進します。神経細胞はニューロンとも呼ばれ、通常、細胞体、軸索、樹状突起から成ります。大脳では、外側の大脳皮質が神経細胞の細胞体が集まる灰白質であり、感覚、運動、思考などの中枢として働きます。内側の髄質は主に神経線維が集まる白質であるため、灰白質と白質の位置関係を正確に押さえることが重要です。

下に移動する

ひっかけポイント

この問題では、「大脳は感覚、運動、思考などを支配する」という正しい知識に引っ張られて、灰白質と白質の位置関係の誤りを見落としやすい構成になっています。文章の中に正しい内容が含まれていても、部位の説明が入れ替わっている場合は全体として誤りになります。特に神経系では、「中枢神経と末梢神経」「体性神経と自律神経」「交感神経と副交感神経」「灰白質と白質」のように、対になる概念が多く出題されます。似た用語を雰囲気で覚えると、位置や働きを逆にしてしまいやすいです。正誤判断では、用語だけでなく「どこにあるか」「何で構成されるか」「どの方向に情報を伝えるか」「活動時と休息時のどちらに働くか」まで確認することが大切です。

次の問題へ