出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)10月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第6問
問題
次のAからEの粉じん発生源について、法令上、特定粉じん発生源に該当するものの組合せは次のうちどれか。A 屋内において、耐火物を用いた炉を解体する箇所 B 屋内の、ガラスを製造する工程において、原料を溶解炉に投げ入れる箇所 C 屋内において、研磨材を用いて手持式動力工具により金属を研磨する箇所 D 屋内において、粉状の炭素製品を袋詰めする箇所 E 屋内において、固定の溶射機により金属を溶射する箇所
(1) A,B
(2) A,E
(3) B,C
(4) C,D
(5) D,E
第1種衛生管理者|特定粉じん発生源の対象作業と粉じん障害防止対策を解説
特定粉じん発生源は、粉じん障害防止規則で特に粉じんの発散が多く、局所排気装置などによる発散防止措置が重視される発生源です。正解は(5)です。屋内で粉状の炭素製品を袋詰めする箇所と、屋内で固定の溶射機により金属を溶射する箇所は、特定粉じん発生源に該当します。炉の解体、ガラス原料の投入、手持式動力工具による金属研磨はいずれも粉じんが発生し得る作業ですが、この設問で問われる特定粉じん発生源としては扱いません。
(1) A,B
不適切です。Aの屋内において耐火物を用いた炉を解体する箇所は、粉じんが発生しやすい作業ではありますが、特定粉じん発生源として判断するものではありません。炉の解体では、耐火物の破砕や崩落により粉じんが発生するため、防じんマスクの使用や湿潤化などの対策が必要になる場合があります。しかし、特定粉じん発生源として列挙される代表例とは区別します。Bのガラス製造工程で原料を溶解炉に投げ入れる箇所も、原料粉じんが舞うおそれはありますが、特定粉じん発生源には該当しません。どちらも該当しないため、この組合せは誤りです。
(2) A,E
不適切です。Eの屋内において固定の溶射機により金属を溶射する箇所は、特定粉じん発生源に該当します。溶射では、金属材料を加熱して微粒子状にし、対象物の表面に吹き付けるため、金属粉じんが発生しやすくなります。固定の溶射機による作業は、発生源の位置が一定で、局所排気装置などによる管理が想定されるため、特定粉じん発生源として押さえるべき作業です。しかし、Aの耐火物を用いた炉を解体する箇所は、粉じんが発生する作業ではあるものの、特定粉じん発生源には該当しません。Eは正しいですがAが該当しないため、この組合せは誤りです。
(3) B,C
不適切です。Bのガラス製造工程において原料を溶解炉に投げ入れる箇所は、粉状原料を扱うため粉じんを連想しやすい作業ですが、特定粉じん発生源には該当しません。Cの屋内において研磨材を用いて手持式動力工具により金属を研磨する箇所も、金属粉じんや研磨材の粉じんが発生する可能性があります。しかし、ここで重要なのは「手持式動力工具」という点です。手持式の工具による研磨は、発生源が作業者の動きに合わせて移動しやすく、固定された特定粉じん発生源として扱うものではありません。どちらも特定粉じん発生源には該当しないため、この組合せは誤りです。
(4) C,D
不適切です。Dの屋内において粉状の炭素製品を袋詰めする箇所は、特定粉じん発生源に該当します。粉状物を袋詰めする作業では、投入や充填の際に粉じんが舞いやすく、作業者が吸入するおそれがあります。炭素製品の粉じんは吸入による健康障害防止の観点から管理が必要であり、発散源対策が重視されます。しかし、Cの研磨材を用いて手持式動力工具により金属を研磨する箇所は、特定粉じん発生源には該当しません。Dは正しいですがCが該当しないため、この組合せは誤りです。
(5) D,E
適切です。Dの屋内において粉状の炭素製品を袋詰めする箇所は、粉状物の取扱いにより粉じんが発散しやすいため、特定粉じん発生源に該当します。Eの屋内において固定の溶射機により金属を溶射する箇所も、金属の微粒子が発生しやすく、特定粉じん発生源に該当します。特定粉じん発生源では、粉じんの発散をできるだけ発生源で抑えることが重要です。そのため、局所排気装置やプッシュプル型換気装置などによって、作業者が粉じんを吸い込まないように管理することが求められます。よって、特定粉じん発生源に該当する組合せはDとEです。
この問題で覚えるポイント
特定粉じん発生源は、粉じん作業の中でも、粉じんの発散が多く、発生源対策が特に重視される箇所です。屋内で粉状の炭素製品を袋詰めする箇所は、粉状物の充填や袋詰めにより粉じんが発生しやすいため、特定粉じん発生源に該当します。屋内で固定の溶射機により金属を溶射する箇所も、金属の微粒子が発生するため、特定粉じん発生源に該当します。特定粉じん発生源に該当する場合は、局所排気装置、プッシュプル型換気装置、密閉設備などにより、粉じんの発散を抑えることが基本になります。粉じんが発生する作業であっても、すべてが特定粉じん発生源になるわけではありません。炉の解体、ガラス原料の投入、手持式動力工具による金属研磨は、粉じんを発生させる可能性があるため注意が必要ですが、この問題で問われている特定粉じん発生源としては判断しません。試験では、単に「粉じんが出るか」ではなく、「法令上、特定粉じん発生源として列挙されるか」を基準に整理することが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、AからEのすべてが粉じんを発生しそうに見える点です。耐火物を用いた炉の解体、ガラス原料の投入、金属研磨は、日常感覚ではいかにも粉じんが出そうな作業です。そのため、「危険そう」「粉っぽそう」という印象だけで選ぶと誤答しやすくなります。特にCの手持式動力工具による金属研磨は、金属粉じんが発生するため選びたくなりますが、特定粉じん発生源としては固定された発生源や特定の設備・工程が重視される点を押さえる必要があります。Dの粉状の炭素製品の袋詰めは、粉状物を扱うことで粉じんが直接舞いやすい典型例です。Eの固定の溶射機による金属溶射は、「固定の」という条件が重要で、発生源対策を行うべき箇所として扱われます。このテーマでは、粉じん作業一般と特定粉じん発生源を混同しないことが正答につながります。
