【第一種衛生管理者過去問】2025年10月公表問題|問10|時間外労働の上限規制と1日2時間制限対象業務一覧|関係法令(有害業務)を解説

出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)10月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第10問

問題

労働基準法に基づく時間外労働に関する協定を締結し、所轄労働基準監督署長への届出を行うとき、延長する労働時間が1日について2時間以内に制限されない業務は、次のうちどれか。

(1) 著しく暑熱な場所における業務

(2) 多量の低温物体を取り扱う業務

(3) ヘリウム、アルゴン等の不活性の気体を入れたことのあるタンクの内部における業務

(4) 削岩機、鋲(びょう)打機等の使用によって身体に著しい振動を与える業務

(5) 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務

第1種衛生管理者|時間外労働の上限規制と1日2時間制限対象業務一覧を解説

労働基準法では、一定の有害業務について、時間外労働に関する協定を締結して届出をしても、延長できる労働時間が1日2時間以内に制限されます。正解は(3)です。著しく暑熱な場所、多量の低温物体の取扱い、著しい振動を与える業務、じんあい又は粉末を著しく飛散する場所の業務は、1日2時間以内の制限対象です。一方、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを入れたことのあるタンク内部の業務は、酸素欠乏の危険がある業務ではありますが、この時間外労働の1日2時間制限対象としては扱いません。

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(1) 著しく暑熱な場所における業務

不適切です。著しく暑熱な場所における業務は、時間外労働の延長が1日2時間以内に制限される有害業務に該当します。高温環境では、体温調節に大きな負担がかかり、熱中症、脱水、疲労の蓄積などが起こりやすくなります。そのため、通常の業務よりも長時間労働による健康障害の危険が大きく、時間外労働を長く延長することが制限されています。この選択肢は「制限されない業務」ではなく、制限される業務です。

(2) 多量の低温物体を取り扱う業務

不適切です。多量の低温物体を取り扱う業務も、時間外労働の延長が1日2時間以内に制限される有害業務に該当します。低温物体を多量に取り扱う作業では、凍傷、末梢循環への影響、体温低下などの健康障害が問題になります。暑熱作業と同じく、身体への負担が大きい業務であるため、長時間の時間外労働を行わせることには制限があります。この選択肢も、延長時間が1日2時間以内に制限される業務です。

(3) ヘリウム、アルゴン等の不活性の気体を入れたことのあるタンクの内部における業務

適切です。ヘリウムやアルゴンなどの不活性ガスを入れたことのあるタンク内部では、酸素が不足して酸素欠乏症を起こす危険があります。そのため、酸素欠乏症等防止規則の観点では、酸素濃度の測定、換気、保護具の使用などが重要です。しかし、この設問で問われているのは、労働基準法に基づく時間外労働の延長が1日2時間以内に制限される業務に該当するかどうかです。不活性ガスを入れたことのあるタンク内部の業務は、酸素欠乏の危険がある作業として重要ですが、時間外労働の1日2時間制限対象業務には該当しません。よって、延長する労働時間が1日について2時間以内に制限されない業務です。

(4) 削岩機、鋲(びょう)打機等の使用によって身体に著しい振動を与える業務

不適切です。削岩機、鋲打機などの使用により身体に著しい振動を与える業務は、時間外労働の延長が1日2時間以内に制限される有害業務です。振動工具を長時間使用すると、手腕振動障害、しびれ、血行障害、神経障害などの健康障害につながるおそれがあります。特に、振動ばく露は作業時間が長くなるほど身体への負担が増えるため、時間外労働の延長について制限が設けられています。この選択肢は、制限されない業務ではありません。

(5) 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務

不適切です。土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務は、時間外労働の延長が1日2時間以内に制限される有害業務に該当します。粉じんやじんあいを吸入すると、じん肺や気道への刺激、アレルギー性の健康障害などが問題になることがあります。粉じんばく露は作業時間が長いほど累積しやすいため、時間外労働を長く延長することが制限されています。この選択肢も、延長時間が1日2時間以内に制限される業務です。

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この問題で覚えるポイント

労働基準法では、時間外労働に関する協定を締結し、所轄労働基準監督署長へ届け出た場合でも、一定の有害業務については、延長できる労働時間が1日2時間以内に制限されます。代表例として、著しく暑熱な場所における業務、著しく寒冷な場所における業務、多量の高熱物体を取り扱う業務、多量の低温物体を取り扱う業務、ラジウム放射線やエックス線その他の有害放射線にさらされる業務、土石や獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務、異常気圧下における業務、削岩機や鋲打機等の使用によって身体に著しい振動を与える業務などがあります。これらは、長時間従事すると健康障害のリスクが高まりやすい業務です。一方、酸素欠乏危険作業に関係するタンク内部作業は、別の規則で厳しく管理される重要な業務ですが、時間外労働の1日2時間制限対象業務として問われた場合には区別して判断します。試験では、「有害で危険な業務」だからすべて2時間制限対象と考えず、労働基準法上の制限対象として列挙される業務かどうかを確認することが大切です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを入れたことのあるタンク内部の業務が、非常に危険な酸素欠乏危険作業に見える点です。実際にこのようなタンク内部では、酸素濃度の低下により重大な災害が起こるおそれがあります。しかし、ここで問われているのは酸素欠乏症等防止規則の措置ではなく、労働基準法における時間外労働の1日2時間制限対象かどうかです。危険性の高さだけで判断すると、タンク内部作業を選べなくなってしまいます。また、暑熱、低温、振動、粉じんのような業務は、作業時間が延びるほど身体への負担やばく露量が増えるため、2時間制限対象として整理しやすいです。このテーマでは、「危険な作業か」ではなく、「労働時間の延長制限として列挙されている有害業務か」を切り分けて考えることが重要です。

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