出典:第一種衛生管理者2024年(令和6年度)10月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)第32問
問題
感染症に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 感染が成立し、症状が現れるまでの人をキャリアといい、感染したことに気付かずに病原体をばらまく感染源になることがある。
(2) インフルエンザウイルスにはA型、B型及びC型の三つの型があるが、流行の原因となるのは、主として、A型及びB型である。
(3) インフルエンザ発症後のウイルスの排出期間は、一般的に7日間程度であるが、この間、排出されるウイルスの量は、解熱してもほとんど変化しない。
(4) 結核は、初期症状は風邪とよく似ているが、2週間以上続く咳(せき)や痰(たん)及び微熱や倦(けん)怠感がある。
(5) 風しんは、発熱、発疹(しん)、リンパ節腫脹(ちょう)を特徴とするウイルス性発疹症で、免疫のない女性が妊娠初期に風しんにかかると、胎児に感染し出生児が先天性風しん症候群(CRS)となる危険性がある。
第1種衛生管理者|感染症の基礎知識とインフルエンザ・結核・風しん対策を解説
感染症では、病原体の種類だけでなく、感染源となる人の状態、感染後の経過、症状の特徴を区別して理解することが大切です。答えは(3)です。インフルエンザでは発症後しばらくウイルスを排出しますが、排出量は発症直後から数日間が多く、解熱後も「ほとんど変化しない」とはいえません。解熱して症状が軽くなっても感染力が残る場合はありますが、ウイルス量の変化まで正確に押さえる必要があります。
(1) 感染が成立し、症状が現れるまでの人をキャリアといい、感染したことに気付かずに病原体をばらまく感染源になることがある。
適切です。感染していても症状が出ていない人が、周囲に病原体を広げることがあります。感染症では、発熱や咳などの症状がある人だけが感染源になるとは限りません。症状が出る前の潜伏期間中や、症状が軽く本人が感染に気付いていない場合でも、病原体を排出して他人に感染させることがあります。職場の感染症対策では、体調不良者への対応だけでなく、手洗い、咳エチケット、換気などの日常的な予防策が重要になります。
(2) インフルエンザウイルスにはA型、B型及びC型の三つの型があるが、流行の原因となるのは、主として、A型及びB型である。
適切です。インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型がありますが、季節性インフルエンザとして大きな流行を起こしやすいのは主にA型とB型です。A型は変異しやすく、世界的な流行の原因になることがあります。B型も地域的、季節的な流行を起こします。C型は感染しても比較的軽症で、大きな流行の原因としては重視されにくい型です。
(3) インフルエンザ発症後のウイルスの排出期間は、一般的に7日間程度であるが、この間、排出されるウイルスの量は、解熱してもほとんど変化しない。
不適切です。インフルエンザでは、発症後数日間にウイルスの排出量が多く、時間の経過や症状の改善に伴って徐々に減少していきます。解熱後もしばらく感染力が残ることはありますが、「解熱してもほとんど変化しない」という表現は誤りです。試験では、感染力が残ることと、ウイルス排出量が変化しないことを混同しないことが重要です。なお、学校保健などでは発症後一定期間かつ解熱後一定期間の出席停止が定められており、解熱しただけで直ちに感染リスクがなくなるわけではありません。
(4) 結核は、初期症状は風邪とよく似ているが、2週間以上続く咳(せき)や痰(たん)及び微熱や倦(けん)怠感がある。
適切です。結核の初期症状は、咳、痰、微熱、倦怠感などで、風邪と似ているため見逃されやすい感染症です。特に、咳や痰が2週間以上続く場合は、単なる風邪ではなく結核の可能性も考える必要があります。結核は空気感染により広がるため、早期発見と早期治療が重要です。職場でも、長引く咳を軽く見ず、医療機関の受診につなげる意識が大切です。
(5) 風しんは、発熱、発疹(しん)、リンパ節腫脹(ちょう)を特徴とするウイルス性発疹症で、免疫のない女性が妊娠初期に風しんにかかると、胎児に感染し出生児が先天性風しん症候群(CRS)となる危険性がある。
適切です。風しんは、発熱、発疹、リンパ節腫脹を主な特徴とするウイルス感染症です。特に重要なのは、妊娠初期の女性が感染した場合、胎児に感染し、先天性風しん症候群を起こす危険がある点です。先天性風しん症候群では、出生児に心疾患、難聴、白内障などが生じることがあります。そのため、風しんは本人だけでなく、妊婦や胎児を守る観点からも予防が重視されます。
この問題で覚えるポイント
感染症では、症状が出ている人だけでなく、潜伏期間中や無症状の感染者も感染源になることがあります。インフルエンザウイルスはA型、B型、C型に分類され、流行の中心は主にA型とB型です。インフルエンザでは発症後しばらくウイルスを排出しますが、排出量は発症直後から数日間が多く、時間の経過や解熱に伴って減少していきます。解熱後も感染力が残ることはありますが、ウイルス排出量が変化しないわけではありません。結核は風邪に似た症状で始まり、2週間以上続く咳や痰、微熱、倦怠感が重要なサインです。風しんは発熱、発疹、リンパ節腫脹が特徴で、妊娠初期の感染では先天性風しん症候群の危険があります。感染症の問題では、病名ごとの特徴、感染後の経過、周囲へ感染させる可能性を結び付けて判断することが正答につながります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、日常感覚では正しそうに見える表現の中に、専門的には誤った断定が入っている点です。インフルエンザは解熱後も感染力が残るため、「解熱しても注意が必要」という知識は正しいです。しかし、それを「ウイルスの排出量がほとんど変化しない」と言い換えると誤りになります。試験では、一部だけ正しい文章に強い断定表現を混ぜるパターンがよく出ます。また、感染症では、キャリア、潜伏期間、無症状感染者、感染源といった用語の関係をあいまいに覚えていると迷いやすくなります。結核の2週間以上続く咳、風しんの妊娠初期感染と先天性風しん症候群、インフルエンザのA型・B型中心の流行など、病名ごとの代表的なキーワードをセットで覚えることが重要です。
