【第一種衛生管理者過去問】2024年4月公表問題|問37|心臓の刺激伝導系と血液循環の仕組み|労働生理を解説

出典:第一種衛生管理者2024年(令和6年度)4月公表問題|労働生理第37問

問題

心臓及び血液循環に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 心臓は、自律神経の中枢で発生した刺激が刺激伝導系を介して心筋に伝わることにより、規則正しく収縮と拡張を繰り返す。

(2) 肺循環により左心房に戻ってきた血液は、左心室を経て大動脈に入る。

(3) 大動脈を流れる血液は動脈血であるが、肺動脈を流れる血液は静脈血である。

(4) 心臓の拍動による動脈圧の変動を末梢(しょう)の動脈で触知したものを脈拍といい、一般に、手首の橈(とう)骨動脈で触知する。

(5) 動脈硬化とは、コレステロールの蓄積などにより、動脈壁が肥厚・硬化して弾力性を失った状態であり、進行すると血管の狭窄(さく)や閉塞を招き、臓器への酸素や栄養分の供給が妨げられる。

第1種衛生管理者|心臓の刺激伝導系と血液循環の仕組みを解説

心臓の拍動、肺循環と体循環、動脈血と静脈血、脈拍、動脈硬化の基本を確認する問題です。答えは(1)です。心臓の拍動は、自律神経の中枢で発生した刺激によって直接起こるのではなく、心臓内の洞房結節で発生した刺激が刺激伝導系を通って心筋に伝わることで起こります。自律神経は拍動の速さや強さを調節しますが、拍動の刺激そのものを作る中心ではありません。

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(1) 心臓は、自律神経の中枢で発生した刺激が刺激伝導系を介して心筋に伝わることにより、規則正しく収縮と拡張を繰り返す。

不適切です。心臓の規則的な拍動は、心臓内にある洞房結節で発生した電気的刺激が、房室結節、ヒス束、脚、プルキンエ線維へと伝わり、心筋を順序よく収縮させることで起こります。これを刺激伝導系といいます。自律神経は心拍数や心筋の収縮力を調節する役割を持ちますが、拍動を開始する刺激を自律神経の中枢で発生させているわけではありません。ここでは「自律神経の中枢で発生した刺激」という部分が誤りです。

(2) 肺循環により左心房に戻ってきた血液は、左心室を経て大動脈に入る。

適切です。肺で酸素を受け取った血液は、肺静脈を通って左心房に戻ります。その後、左心房から左心室へ送られ、左心室の強い収縮によって大動脈へ送り出されます。大動脈に入った血液は全身の組織へ酸素や栄養分を届けます。左心房、左心室、大動脈という流れは、体循環の始まりとして重要です。

(3) 大動脈を流れる血液は動脈血であるが、肺動脈を流れる血液は静脈血である。

適切です。動脈血とは、酸素を多く含む血液のことです。大動脈は左心室から全身へ酸素の多い血液を送る血管なので、流れている血液は動脈血です。一方、肺動脈は右心室から肺へ血液を送る血管ですが、この血液は全身を巡った後で酸素が少なく、二酸化炭素を多く含む静脈血です。血管名の「動脈」「静脈」は、酸素の多さではなく、心臓から出る血管か心臓へ戻る血管かで決まる点が大切です。

(4) 心臓の拍動による動脈圧の変動を末梢(しょう)の動脈で触知したものを脈拍といい、一般に、手首の橈(とう)骨動脈で触知する。

適切です。脈拍は、心臓が血液を送り出すたびに生じる動脈内圧の波を、体表近くの動脈で感じ取ったものです。一般的には手首の親指側にある橈骨動脈で測定します。脈拍数は通常、心拍数とほぼ一致するため、循環状態を把握する基本的な指標になります。試験では、脈拍は心臓の拍動そのものではなく、末梢動脈で触知される動脈圧の変動である点を押さえておくと判断しやすくなります。

(5) 動脈硬化とは、コレステロールの蓄積などにより、動脈壁が肥厚・硬化して弾力性を失った状態であり、進行すると血管の狭窄(さく)や閉塞を招き、臓器への酸素や栄養分の供給が妨げられる。

適切です。動脈硬化では、動脈壁にコレステロールなどが蓄積し、血管の壁が厚く硬くなります。その結果、血管の弾力性が低下し、血液の通り道が狭くなることがあります。進行すると血管が狭窄したり閉塞したりして、心臓や脳などの臓器に十分な酸素や栄養分が届きにくくなります。虚血性心疾患や脳血管障害の原因にも関係するため、労働生理だけでなく健康管理の分野でも重要な知識です。

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この問題で覚えるポイント

心臓の拍動は、洞房結節で発生した刺激が刺激伝導系を通って心筋に伝わることで起こります。刺激伝導系は、洞房結節、房室結節、ヒス束、脚、プルキンエ線維という順に理解しておくと正誤判断に役立ちます。自律神経は心拍数や収縮力を調節しますが、拍動の刺激を発生させる主体ではありません。肺循環では、右心室から肺動脈を通って肺へ行き、肺で酸素を受け取った血液が肺静脈を通って左心房に戻ります。体循環では、左心室から大動脈を通って全身へ血液が送られ、静脈を通って右心房に戻ります。動脈血は酸素を多く含む血液、静脈血は酸素が少なく二酸化炭素を多く含む血液です。ただし、肺動脈には静脈血が流れ、肺静脈には動脈血が流れるという例外的な組合せが頻出です。脈拍は末梢動脈で触知される動脈圧の変動であり、一般に橈骨動脈で測定します。動脈硬化は動脈壁が肥厚、硬化し、弾力性を失う状態で、進行すると狭窄や閉塞を起こし、臓器への酸素供給が妨げられます。

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ひっかけポイント

このテーマでは、「自律神経」と「刺激伝導系」の役割を混同させる表現がよく出ます。自律神経は心臓の働きを調節するものですが、心臓の拍動を開始する刺激は心臓内の洞房結節から発生します。ここを曖昧にすると、もっともらしい文章に見えて誤答しやすくなります。また、「動脈には動脈血、静脈には静脈血が流れる」と機械的に覚えていると、肺動脈と肺静脈で引っかかります。血管名は酸素の多さではなく、心臓から出るか心臓へ戻るかで決まります。肺動脈は心臓から肺へ向かうため動脈ですが、中を流れるのは静脈血です。肺静脈は肺から心臓へ戻るため静脈ですが、中を流れるのは動脈血です。このように、用語の名前と中身が一致しない例外を押さえることが、心臓と血液循環の問題で安定して正解するためのポイントです。

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