【第一種衛生管理者過去問】2024年4月公表問題|問9|特定化学物質障害予防規則・事業廃止時の記録提出義務|関係法令(有害業務)を解説

出典:第一種衛生管理者2024年(令和6年度)4月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第9問

問題

特定化学物質障害予防規則による特別管理物質を製造する事業者が事業を廃止しようとするとき、事業者が実施した措置に関する次のAからEの記録等について、特別管理物質等関係記録等報告書に添えて、所轄労働基準監督署長に提出することが、法令上、定められているものの組合せは( 1 )~( 5 )のうちどれか。
A  特別管理物質を製造する屋内作業場について行った作業環境測定の記録又はその写し
B  特別管理物質の製造プロセス等の運転条件及び製造量の記録又はその写し
C  特別管理物質を製造する作業場において、労働者が常時従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間等の記録又はその写し
D  特別管理物質を製造する作業場所に設けられた局所排気装置の定期自主検査の記録又はその写し
E  特別管理物質を製造する業務に常時従事する労働者に対し行った特定化学物質健康診断の結果に基づく特定化学物質健康診断個人票又はその写し

(1) A,B,D

(2) A,B,E

(3) A,C,E

(4) B,C,D

(5) C,D,E

第1種衛生管理者|特定化学物質障害予防規則・事業廃止時の記録提出義務を解説

特別管理物質は、がん原性などの重い健康障害のおそれがあるため、作業環境や作業歴、健康診断の記録を長期間残す必要があります。事業を廃止するときは、将来の健康管理や労災認定などに備えるため、作業環境測定の記録、労働者の作業記録、特定化学物質健康診断個人票などを、特別管理物質等関係記録等報告書に添えて所轄労働基準監督署長に提出します。答えはA、C、Eの組合せである(3)です。製造プロセスの運転条件や製造量の記録、局所排気装置の定期自主検査記録は、この提出対象として問われる中心記録ではありません。

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(1) A,B,D

不適切です。Aの作業環境測定の記録は提出対象ですが、Bの製造プロセス等の運転条件及び製造量の記録、Dの局所排気装置の定期自主検査の記録は、事業廃止時に添付して提出する記録の組合せとしては該当しません。特別管理物質に関する事業廃止時の提出義務では、将来の健康障害の確認に直接関係する記録が重視されます。作業環境測定は、労働者がどの程度有害物質にさらされる環境で働いていたかを示す重要な資料です。これに対して、設備の自主検査記録は設備管理上は重要ですが、事業廃止時の提出対象記録として正答を構成するものではありません。

(2) A,B,E

不適切です。Aの作業環境測定の記録とEの特定化学物質健康診断個人票は提出対象ですが、Bの特別管理物質の製造プロセス等の運転条件及び製造量の記録は、この問題で求められている提出対象には含まれません。特別管理物質については、作業環境中の有害物質の状態、労働者が従事した作業の内容と期間、健康診断結果が重要になります。製造量や運転条件は事業活動の管理情報としては意味がありますが、法令上の事業廃止時提出記録として判断する場合は、労働者のばく露状況や健康管理に直結する記録かどうかで区別することが大切です。

(3) A,C,E

適切です。Aの作業環境測定の記録、Cの労働者が常時従事した作業の概要及び従事期間等の記録、Eの特定化学物質健康診断個人票は、特別管理物質を製造する事業者が事業を廃止しようとするとき、特別管理物質等関係記録等報告書に添えて所轄労働基準監督署長に提出するものです。特別管理物質による健康障害は、作業をやめた後や事業が廃止された後に問題になることがあります。そのため、どのような作業環境で、どの労働者が、どのくらいの期間作業に従事し、健康診断でどのような結果が出ていたのかを残す必要があります。この3つは、後から健康影響を確認するための基本資料になるため、正しい組合せです。

(4) B,C,D

不適切です。Cの作業の概要及び従事期間等の記録は提出対象ですが、Bの製造プロセス等の運転条件及び製造量の記録、Dの局所排気装置の定期自主検査の記録は、この提出対象の組合せには入りません。Cは、労働者ごとの作業歴を把握するための記録であり、将来、健康障害との関係を確認する際に非常に重要です。一方、Dの局所排気装置の定期自主検査は、有害物質の発散を防止するための設備管理としては重要ですが、事業廃止時に提出する記録として問われるものではありません。設備の管理記録と、労働者のばく露や健康管理に関する記録を混同しないことが必要です。

(5) C,D,E

不適切です。Cの作業記録とEの特定化学物質健康診断個人票は提出対象ですが、Dの局所排気装置の定期自主検査記録は、この問題で求められる提出対象ではありません。また、提出対象に含まれるAの作業環境測定の記録が入っていないため、この組合せは誤りです。特別管理物質の管理では、作業環境測定の記録が重要です。これは、作業場の空気中にどの程度有害物質が存在していたかを示し、労働者のばく露状況を推定する資料になります。CとEだけでなく、Aも合わせて覚えることが正答につながります。

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この問題で覚えるポイント

特別管理物質は、特定化学物質の中でも特に長期的な健康障害のおそれが重視される物質です。事業を廃止するときに提出する中心記録は、作業環境測定の記録、労働者の作業の概要及び従事期間等の記録、特定化学物質健康診断個人票です。覚え方としては、環境、作業歴、健康診断の3点を押さえると整理しやすいです。環境とは、作業環境測定によって有害物質の濃度などを把握することです。作業歴とは、誰がどの作業にどのくらい従事したかを残すことです。健康診断とは、特定化学物質健康診断の結果を個人票として保存することです。これらは、将来健康障害が発生した場合に、過去のばく露状況と健康状態を確認するための記録です。設備の定期自主検査や製造条件の記録も安全衛生管理上は重要ですが、事業廃止時に提出する記録としては、労働者のばく露と健康管理に直結するものを優先して判断します。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、特定化学物質に関係する記録なら何でも提出対象になると考えてしまう点です。局所排気装置の定期自主検査は、有害物質対策として重要なので正しそうに見えますが、事業廃止時に提出する記録としては中心ではありません。また、製造プロセスの運転条件や製造量も、特別管理物質を扱っている以上、提出しそうに見えますが、法令上問われているのは労働者のばく露状況や健康管理に直接つながる記録です。試験では、関連がありそうな管理記録を混ぜてくることで、受験者に「特化則に関係するから正しい」と思わせる作りになっています。正誤判断では、特別管理物質について事業廃止後も残す必要があるのは、環境、作業歴、健康診断という3つの記録だと考えると迷いにくくなります。

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