出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)10月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)第32問
問題
脳血管障害及び虚血性心疾患に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 虚血性の脳血管障害である脳梗塞は、脳血管自体の動脈硬化性病変による脳血栓症と、心臓や動脈壁の血栓が剥がれて脳血管を閉塞する脳塞栓症に分類される。
(2) くも膜下出血は、通常、脳動脈瘤(りゅう)が破れて数日後、激しい頭痛で発症する。
(3) 虚血性心疾患は、冠動脈による心筋への血液の供給が不足したり途絶えることにより起こる心筋障害である。
(4) 心筋梗塞では、突然激しい胸痛が起こり、「締め付けられるように痛い」、「胸が苦しい」などの症状が、1時間以上続くこともある。
(5) 運動負荷心電図検査は、虚血性心疾患の発見に有用である。
第1種衛生管理者|脳血管障害と虚血性心疾患の症状・診断方法を解説
脳血管障害と虚血性心疾患は、血管が詰まる、または破れることで生命に関わる障害を起こす疾患です。答えは(2)です。くも膜下出血は、脳動脈瘤が破れた直後に突然の激しい頭痛で発症するのが典型であり、「数日後」に発症するという記述が誤りです。
(1) 虚血性の脳血管障害である脳梗塞は、脳血管自体の動脈硬化性病変による脳血栓症と、心臓や動脈壁の血栓が剥がれて脳血管を閉塞する脳塞栓症に分類される。
適切です。脳梗塞は、脳の血管が詰まり、その先の脳組織に血液や酸素が届かなくなる病気です。脳血栓症は、脳の血管そのものに動脈硬化が起こり、血管が狭くなったり血栓ができたりして閉塞するものです。脳塞栓症は、心臓や太い動脈などでできた血栓が血流に乗って脳血管まで運ばれ、そこで血管を詰まらせるものです。いずれも血管が詰まる虚血性の脳血管障害に分類されます。
(2) くも膜下出血は、通常、脳動脈瘤(りゅう)が破れて数日後、激しい頭痛で発症する。
不適切です。くも膜下出血は、脳動脈瘤が破裂した直後に、突然の激しい頭痛で発症するのが典型です。「今まで経験したことのないような頭痛」と表現されることもあり、発症時点から重篤な状態になることがあります。この選択肢は、脳動脈瘤の破裂と激しい頭痛という点は正しいですが、「数日後」という部分が誤りです。試験では、このように文章の一部だけを変えて誤りにするパターンがよく出ます。
(3) 虚血性心疾患は、冠動脈による心筋への血液の供給が不足したり途絶えることにより起こる心筋障害である。
適切です。虚血性心疾患は、心臓の筋肉である心筋に血液を送る冠動脈が狭くなったり詰まったりして、心筋が酸素不足になる病気です。代表的なものに狭心症と心筋梗塞があります。狭心症では一時的に血流が不足し、心筋梗塞では血流が途絶えて心筋が壊死することがあります。冠動脈と心筋への血液供給を結び付けて理解しておくことが大切です。
(4) 心筋梗塞では、突然激しい胸痛が起こり、「締め付けられるように痛い」、「胸が苦しい」などの症状が、1時間以上続くこともある。
適切です。心筋梗塞では、冠動脈が閉塞して心筋への血流が途絶えるため、突然の強い胸痛や胸部圧迫感が起こります。痛みは「締め付けられるような痛み」「胸が押さえつけられる感じ」「胸が苦しい」と表現されることがあります。狭心症の発作は比較的短時間で治まることが多いのに対し、心筋梗塞では症状が長く続き、1時間以上続くこともあります。この違いは試験でも重要です。
(5) 運動負荷心電図検査は、虚血性心疾患の発見に有用である。
適切です。運動負荷心電図検査は、運動によって心臓に負荷をかけた状態で心電図の変化を見る検査です。安静時には異常が出にくい場合でも、運動時に心筋の酸素需要が増えることで、冠動脈の狭窄による虚血が現れやすくなります。そのため、狭心症などの虚血性心疾患の発見に有用です。
この問題で覚えるポイント
脳血管障害は、大きく血管が詰まる虚血性のものと、血管が破れる出血性のものに分けて整理します。脳梗塞は虚血性で、脳血栓症と脳塞栓症に分類されます。脳血栓症は脳血管自体の動脈硬化性病変によって起こり、脳塞栓症は心臓や動脈壁などでできた血栓が脳血管を閉塞して起こります。くも膜下出血は出血性の脳血管障害で、脳動脈瘤の破裂により突然の激しい頭痛で発症する点が重要です。虚血性心疾患は、冠動脈による心筋への血液供給が不足または途絶することで起こります。狭心症は一時的な虚血、心筋梗塞は冠動脈の閉塞によって心筋が壊死する重い状態として比較して覚えます。心筋梗塞では突然の激しい胸痛や胸部圧迫感が長く続くことがあり、運動負荷心電図検査は虚血性心疾患の発見に有用です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、くも膜下出血の発症時期です。脳動脈瘤が破れることや激しい頭痛が起こることは正しいため、文章全体を何となく読むと正しい記述に見えます。しかし、くも膜下出血は通常、破裂して数日後ではなく、破裂した直後に突然発症します。このように、医学系の問題では病名、原因、症状の組合せが合っていても、発症時期や経過の表現が少し変えられて誤りになることがあります。特に「直後」「数日後」「一時的」「長時間」などの時間に関する表現は、正誤判断に直結しやすいポイントです。
