【第一種衛生管理者過去問】2022年10月公表問題|問8|酸素欠乏症等防止規則と酸欠危険作業の安全対策|関係法令(有害業務)を解説

出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)10月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第8問

問題

酸素欠乏症等防止規則等に基づく措置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 汚水を入れたことのあるポンプを修理する場合で、これを分解する作業に労働者を従事させるときは、硫化水素中毒の防止について必要な知識を有する者のうちから指揮者を選任し、作業を指揮させなければならない。

(2) 酒類を入れたことのある醸造槽の内部における清掃作業の業務に労働者を就かせるときは、酸素欠乏危険作業に係る特別の教育を行わなければならない。

(3) 酸素欠乏危険作業を行う場所において、爆発、酸化等を防止するため換気を行うことができない場合には、送気マスク又は防毒マスクを備え、労働者に使用させなければならない。

(4) 酸素欠乏危険作業に労働者を従事させるときは、常時作業の状況を監視し、異常があったときに直ちに酸素欠乏危険作業主任者及びその他の関係者に通報する者を置く等異常を早期に把握するために必要な措置を講じなければならない。

(5) 第一鉄塩類を含有している地層に接する地下室の内部における作業に労働者を従事させるときは、酸素欠乏の空気が漏出するおそれのある箇所を閉そくし、酸素欠乏の空気を直接外部へ放出することができる設備を設ける等酸素欠乏の空気の流入を防止するための措置を講じなければならない。

第1種衛生管理者|酸素欠乏症等防止規則と酸欠危険作業の安全対策を解説

酸素欠乏危険作業では、換気、測定、監視、特別教育、保護具の選定などが重要になります。答えは(3)です。換気ができない酸素欠乏危険場所では、酸素そのものが不足しているため、防毒マスクでは対応できません。防毒マスクは有害ガスを吸収・除去するための保護具であり、酸素を供給するものではないからです。この場合は、送気マスクや空気呼吸器など、呼吸に必要な空気を確保できる保護具を使用させる必要があります。

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(1) 汚水を入れたことのあるポンプを修理する場合で、これを分解する作業に労働者を従事させるときは、硫化水素中毒の防止について必要な知識を有する者のうちから指揮者を選任し、作業を指揮させなければならない。

適切です。汚水を入れたことのあるポンプや配管などでは、内部に硫化水素が発生しているおそれがあります。硫化水素は腐卵臭のある有毒ガスですが、高濃度では嗅覚が麻痺するため、においで安全を判断することはできません。分解作業では、内部にたまっていた硫化水素が急に放出される危険があります。そのため、硫化水素中毒の防止について必要な知識を有する者を指揮者として選任し、作業手順や換気、退避、保護具の使用などを適切に管理させる必要があります。

(2) 酒類を入れたことのある醸造槽の内部における清掃作業の業務に労働者を就かせるときは、酸素欠乏危険作業に係る特別の教育を行わなければならない。

適切です。酒類を入れたことのある醸造槽では、発酵などによって二酸化炭素が発生し、槽内の酸素濃度が低下しているおそれがあります。二酸化炭素は空気より重く、槽の底部などにたまりやすいため、外から見ただけでは危険を判断できません。内部清掃のように人が槽内へ入る作業では、酸素欠乏症を防ぐため、あらかじめ酸素欠乏危険作業に関する特別教育を行う必要があります。特別教育では、酸素欠乏症の危険性、作業環境測定、換気、保護具、救出時の注意などを学びます。

(3) 酸素欠乏危険作業を行う場所において、爆発、酸化等を防止するため換気を行うことができない場合には、送気マスク又は防毒マスクを備え、労働者に使用させなければならない。

不適切です。酸素欠乏危険場所で換気ができない場合に必要となるのは、送気マスクや空気呼吸器など、呼吸に必要な空気を供給できる保護具です。防毒マスクは、有害ガスを吸収缶などで除去するためのものであり、酸素を作り出したり供給したりすることはできません。酸素濃度が低い場所で防毒マスクを使用しても、吸う空気そのものに酸素が不足しているため、酸素欠乏症を防ぐことはできません。この選択肢は「送気マスク又は防毒マスク」としている点が誤りです。

(4) 酸素欠乏危険作業に労働者を従事させるときは、常時作業の状況を監視し、異常があったときに直ちに酸素欠乏危険作業主任者及びその他の関係者に通報する者を置く等異常を早期に把握するために必要な措置を講じなければならない。

適切です。酸素欠乏症は、発生すると短時間で意識消失や死亡につながることがあるため、異常を早く発見する体制が重要です。作業者が酸欠場所で倒れた場合、周囲の人が慌てて助けに入ると二次災害が発生するおそれもあります。そのため、作業の状況を常時監視し、異常があれば直ちに酸素欠乏危険作業主任者や関係者に通報できる者を置くなど、早期発見と安全な救助につながる措置を講じる必要があります。

(5) 第一鉄塩類を含有している地層に接する地下室の内部における作業に労働者を従事させるときは、酸素欠乏の空気が漏出するおそれのある箇所を閉そくし、酸素欠乏の空気を直接外部へ放出することができる設備を設ける等酸素欠乏の空気の流入を防止するための措置を講じなければならない。

適切です。第一鉄塩類を含む地層では、酸化反応によって周囲の酸素が消費され、酸素濃度の低い空気が発生することがあります。このような地層に接する地下室では、酸素欠乏空気が室内に流入する危険があります。そのため、酸素欠乏の空気が漏れ出すおそれのある箇所を閉そくしたり、酸素欠乏空気を直接外部へ放出できる設備を設けたりして、作業場所への流入を防止する措置が必要です。

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この問題で覚えるポイント

酸素欠乏危険作業では、酸素濃度の低下そのものが危険であるため、有害ガス対策だけでは不十分です。酸素欠乏症を防ぐ基本は、作業前の酸素濃度測定、十分な換気、酸素欠乏危険作業主任者による管理、特別教育、監視体制、適切な呼吸用保護具の使用です。特に重要なのは、防毒マスクと送気マスクの違いです。防毒マスクは有害ガスを除去する保護具であり、酸素を供給するものではありません。酸素が不足する場所では、送気マスクや空気呼吸器のように呼吸に必要な空気を確保できる保護具が必要です。また、槽、タンク、マンホール、ピット、汚水設備、醸造槽、地下室などは酸素欠乏や硫化水素中毒が発生しやすい場所として出題されやすいです。酸素欠乏危険作業では、作業者本人だけでなく、救助に入る人の二次災害防止も重要な視点になります。

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ひっかけポイント

この問題の最大のひっかけは、「防毒マスク」という言葉を見て安全そうに感じてしまう点です。防毒マスクは有毒ガス対策としては重要ですが、酸素不足には対応できません。酸欠問題では、「有害ガスを除去する保護具」と「空気を供給する保護具」を区別することが正誤判断に直結します。また、選択肢の文章は「送気マスク又は防毒マスク」となっており、送気マスク自体は正しいため、文章全体を何となく読むと正しいように見えます。しかし、「又は防毒マスク」としている部分が誤りです。このように、一部だけ正しい内容を混ぜて誤った選択肢にするパターンは頻出です。酸素欠乏危険作業では、酸素を供給できるかどうかを必ず確認することが大切です。

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