出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)10月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第6問
問題
石綿障害予防規則に基づく措置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 石綿等を取り扱う屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、作業環境測定を行うとともに、測定結果等を記録し、これを40年間保存しなければならない。
(2) 石綿等の粉じんが発散する屋内作業場に設けられた局所排気装置については、原則として、1年以内ごとに1回、定期に、自主検査を行うとともに、検査の結果等を記録し、これを3年間保存しなければならない。
(3) 石綿等の取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者に対し、雇入れ又は当該業務への配置替えの際及びその後6か月以内ごとに1回、定期に、特別の項目について医師による健康診断を行い、その結果に基づき、石綿健康診断個人票を作成し、これを当該労働者が当該事業場において常時当該業務に従事しないこととなった日から40年間保存しなければならない。
(4) 石綿等の取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所において、常時石綿等を取り扱う作業に従事する労働者については、1か月を超えない期間ごとに、作業の概要、従事した期間等を記録し、これを当該労働者が当該事業場において常時当該作業に従事しないこととなった日から40年間保存するものとする。
(5) 石綿等を取り扱う事業者が事業を廃止しようとするときは、石綿関係記録等報告書に、石綿等に係る作業の記録及び局所排気装置、除じん装置等の定期自主検査の記録を添えて所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
第1種衛生管理者|石綿障害予防規則と作業環境測定・健康診断を解説
石綿は、吸入してから長い年月を経て肺がん、中皮腫、石綿肺などを発症するおそれがあるため、作業環境測定、健康診断、作業記録などに長期保存義務が定められています。答えは(5)です。事業廃止時に提出が必要となる石綿関係記録等報告書には、石綿等に係る作業の記録や石綿健康診断個人票などを添えますが、局所排気装置や除じん装置などの定期自主検査の記録は添付対象ではありません。石綿関係では「40年間保存」が多く出ますが、すべての記録が40年保存、または監督署提出の対象になるわけではない点を整理しておくことが大切です。
(1) 石綿等を取り扱う屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、作業環境測定を行うとともに、測定結果等を記録し、これを40年間保存しなければならない。
適切です。石綿等を取り扱う屋内作業場では、空気中に石綿粉じんがどの程度存在するかを把握するため、6か月以内ごとに1回、定期に作業環境測定を行う必要があります。石綿による健康障害は、ばく露から長期間経過した後に発症することがあるため、測定結果等の記録は40年間保存しなければなりません。通常の作業環境測定記録では保存期間が短いものもありますが、石綿は長期的な健康影響を追跡する必要があるため、40年保存という長い期間が設定されています。
(2) 石綿等の粉じんが発散する屋内作業場に設けられた局所排気装置については、原則として、1年以内ごとに1回、定期に、自主検査を行うとともに、検査の結果等を記録し、これを3年間保存しなければならない。
適切です。石綿粉じんが発散する屋内作業場では、粉じんを作業者が吸い込まないように、局所排気装置などで発散源付近から有害物を捕集することが重要です。この局所排気装置は、性能が低下すると石綿粉じんを十分に排出できなくなるため、原則として1年以内ごとに1回、定期自主検査を行う必要があります。検査結果等の記録の保存期間は3年間です。ここでは、石綿関係だからすべて40年保存と考えるのではなく、装置の定期自主検査記録は3年保存である点を区別して覚えます。
(3) 石綿等の取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者に対し、雇入れ又は当該業務への配置替えの際及びその後6か月以内ごとに1回、定期に、特別の項目について医師による健康診断を行い、その結果に基づき、石綿健康診断個人票を作成し、これを当該労働者が当該事業場において常時当該業務に従事しないこととなった日から40年間保存しなければならない。
適切です。石綿粉じんを発散する場所での業務に常時従事する労働者には、石綿による健康障害を早期に把握するため、雇入れ時又は配置替え時、その後6か月以内ごとに1回、定期に医師による特別の項目の健康診断を行う必要があります。石綿による疾病は潜伏期間が長く、業務を離れた後に発症することもあります。そのため、石綿健康診断個人票は、当該労働者が常時その業務に従事しないこととなった日から40年間保存しなければなりません。保存期間の起算点が「健康診断を行った日」ではなく、「常時当該業務に従事しないこととなった日」である点も重要です。
(4) 石綿等の取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所において、常時石綿等を取り扱う作業に従事する労働者については、1か月を超えない期間ごとに、作業の概要、従事した期間等を記録し、これを当該労働者が当該事業場において常時当該作業に従事しないこととなった日から40年間保存するものとする。
適切です。石綿等を常時取り扱う作業に従事する労働者については、石綿へのばく露状況を後から確認できるように、作業の概要、従事した期間、石綿粉じんにより著しく汚染される事態が生じた場合の概要などを記録する必要があります。この記録は、1か月を超えない期間ごとに作成し、労働者が常時その作業に従事しないこととなった日から40年間保存します。石綿による健康障害は長い潜伏期間を経て現れるため、過去にどのような作業にどれだけ従事していたかを長期間確認できるようにする趣旨です。
(5) 石綿等を取り扱う事業者が事業を廃止しようとするときは、石綿関係記録等報告書に、石綿等に係る作業の記録及び局所排気装置、除じん装置等の定期自主検査の記録を添えて所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
不適切です。これが正解です。石綿等を取り扱う事業者が事業を廃止しようとする場合、石綿関係記録等報告書を所轄労働基準監督署長に提出する必要があります。このとき添付するのは、石綿等に係る作業の記録や石綿健康診断個人票など、労働者の石綿ばく露歴や健康管理に関係する長期保存記録です。局所排気装置、除じん装置などの定期自主検査の記録は、通常3年間保存する設備管理上の記録であり、事業廃止時に添付して提出する記録には含まれません。選択肢は、前半の「石綿関係記録等報告書を提出する」という部分は正しいものの、添付書類に定期自主検査の記録を含めている点が誤りです。
この問題で覚えるポイント
石綿障害予防規則では、石綿粉じんによる長期的な健康障害を防止し、ばく露歴を後から確認できるようにするため、作業環境測定、健康診断、作業記録について厳格な管理が求められます。石綿等を取り扱う屋内作業場の作業環境測定は6か月以内ごとに1回行い、測定結果等は40年間保存します。石綿健康診断は、雇入れ時又は配置替え時と、その後6か月以内ごとに1回実施し、石綿健康診断個人票は常時当該業務に従事しないこととなった日から40年間保存します。石綿等を常時取り扱う作業に従事する労働者の作業記録は、1か月を超えない期間ごとに作成し、同じく常時当該作業に従事しないこととなった日から40年間保存します。局所排気装置や除じん装置などの定期自主検査は、原則として1年以内ごとに1回行い、その記録の保存期間は3年間です。事業廃止時の提出対象は、作業記録や健康診断個人票などの石綿関係記録であり、設備の定期自主検査記録まで提出するわけではありません。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「石綿関係の記録は全部40年保存で、全部まとめて監督署へ提出する」と思わせる点にあります。石綿は重大な健康障害につながるため、作業環境測定、健康診断、作業記録などは長期保存の対象になりますが、局所排気装置や除じん装置の定期自主検査記録は設備の点検記録であり、保存期間は3年間です。また、事業廃止時に提出する記録も、労働者のばく露歴や健康管理に関係する記録が中心であり、設備検査記録とは性質が異なります。文章の前半が正しい場合でも、後半に別の記録を紛れ込ませて誤りにするパターンはよくあります。保存期間、実施頻度、提出対象をそれぞれ別々に整理して判断することが、同じテーマの問題で安定して正解するためのポイントです。
