【第一種衛生管理者過去問】2022年4月公表問題|問29|労働衛生統計の基礎・正規分布・相関関係・データ分類|労働衛生(有害業務以外)を解説

出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)4月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)第29問

問題

労働衛生管理に用いられる統計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 健康診断において、対象人数、受診者数などのデータを計数データといい、身長、体重などのデータを計量データという。

(2) 生体から得られたある指標が正規分布である場合、そのばらつきの程度は、平均値や最頻値によって表される。

(3) 集団を比較する場合、調査の対象とした項目のデータの平均値が等しくても分散が異なっていれば、異なった特徴をもつ集団であると評価される。

(4) ある事象と健康事象との間に、統計上、一方が多いと他方も多いというような相関関係が認められたとしても、それらの間に因果関係があるとは限らない。

(5) 静態データとは、ある時点の集団に関するデータであり、動態データとは、ある期間の集団に関するデータである。

第1種衛生管理者|労働衛生統計の基礎・正規分布・相関関係・データ分類を解説

労働衛生統計では、データの種類、平均値や分散の意味、相関関係と因果関係の違い、静態データと動態データの区別がよく問われます。答えは(2)です。正規分布におけるばらつきの程度は、平均値や最頻値ではなく、分散や標準偏差によって表されます。平均値や最頻値はデータの中心的な位置を示す代表値であり、ばらつきそのものを示す指標ではありません。

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(1) 健康診断において、対象人数、受診者数などのデータを計数データといい、身長、体重などのデータを計量データという。

適切です。計数データとは、人数、件数、回数など、数えて得られるデータのことです。健康診断でいえば、対象人数、受診者数、有所見者数などが該当します。これに対して、計量データとは、身長、体重、血圧、血糖値など、測定して得られる連続的な数値データをいいます。試験では、数えるデータが計数データ、測るデータが計量データと整理しておくと判断しやすくなります。

(2) 生体から得られたある指標が正規分布である場合、そのばらつきの程度は、平均値や最頻値によって表される。

不適切です。正規分布において、平均値や最頻値はデータの中心を示す値であり、ばらつきの程度を示すものではありません。ばらつきの程度は、分散や標準偏差によって表されます。平均値はデータ全体の中心的な値、最頻値は最も多く現れる値です。正規分布では平均値、中央値、最頻値が一致するという特徴がありますが、それは分布の中心に関する特徴であり、データがどの程度広がっているかを表しているわけではありません。ばらつきが大きい集団では標準偏差が大きくなり、ばらつきが小さい集団では標準偏差が小さくなります。

(3) 集団を比較する場合、調査の対象とした項目のデータの平均値が等しくても分散が異なっていれば、異なった特徴をもつ集団であると評価される。

適切です。平均値が同じであっても、データのばらつきが異なれば、集団の性質は異なります。たとえば、2つの集団で平均体重が同じであっても、一方はほとんどの人が平均値付近に集まっており、もう一方は非常に軽い人と非常に重い人が多い場合、同じ特徴をもつ集団とはいえません。このような違いを評価するために、分散や標準偏差が用いられます。平均値だけで集団を判断しないことが、統計を読むうえで重要です。

(4) ある事象と健康事象との間に、統計上、一方が多いと他方も多いというような相関関係が認められたとしても、それらの間に因果関係があるとは限らない。

適切です。相関関係とは、2つの事象が一緒に増えたり減ったりする関係のことです。ただし、相関関係があるからといって、一方が他方の原因であるとは限りません。たとえば、ある生活習慣と疾病の発生に関連が見られたとしても、年齢、職業、喫煙、食生活など別の要因が影響している可能性があります。統計上の関連を見つけることは重要ですが、因果関係を判断するには、時間的な前後関係、他の要因の影響、医学的な妥当性なども考える必要があります。

(5) 静態データとは、ある時点の集団に関するデータであり、動態データとは、ある期間の集団に関するデータである。

適切です。静態データは、ある一時点での状態を表すデータです。たとえば、ある日の在籍労働者数や、ある時点での有所見者数などが該当します。動態データは、一定期間に発生した変化や出来事を表すデータです。たとえば、1年間の疾病発生件数、休業日数、死亡数、出生数などが該当します。静態は時点、動態は期間と覚えると整理しやすいです。

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この問題で覚えるポイント

労働衛生統計では、まずデータの種類を区別することが大切です。人数、件数、回数のように数えて得るものは計数データであり、身長、体重、血圧、濃度のように測定して得るものは計量データです。正規分布では、平均値、中央値、最頻値が一致するという特徴がありますが、これらは分布の中心を示す代表値です。ばらつきの程度は分散や標準偏差で表します。平均値が同じでも分散が異なれば、データの広がり方が異なるため、集団の特徴は異なります。また、相関関係は2つの事象が関連して変化することを示しますが、因果関係を直接証明するものではありません。静態データはある時点の状態、動態データはある期間の変化や発生状況を示すデータです。

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ひっかけポイント

この問題では、平均値や最頻値というよく知られた統計用語を使って、ばらつきの指標と混同させる点がひっかけです。平均値は中心を示す値であり、ばらつきは分散や標準偏差で見るという区別ができていないと誤答しやすくなります。また、正規分布では平均値、中央値、最頻値が一致するという知識があるため、平均値や最頻値を重要な指標だと考えすぎると、ばらつきまで表すと誤解してしまいます。統計の問題では、中心を表す指標なのか、広がりを表す指標なのか、関係を表す指標なのかを分けて考えることが正答につながります。

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