出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)10月公表問題|労働生理第39問
問題
腎臓・泌尿器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 腎臓の皮質にある腎小体では、糸球体から蛋白質以外の血漿成分がボウマン囊に濾し出され、原尿が生成される。
(2) 腎臓の尿細管では、原尿に含まれる大部分の水分及び身体に必要な成分が血液中に再吸収され、残りが尿として生成される。
(3) 尿は淡黄色の液体で、固有の臭気を有し、通常、弱酸性である。
(4) 尿の生成・排出により、体内の水分の量やナトリウムなどの電解質の濃度を調節するとともに、生命活動によって生じた不要な物質を排出する。
(5) 尿の約95%は水分で、約5%が固形物であるが、その成分が全身の健康状態をよく反映するので、尿を採取して尿素窒素の検査が広く行われている。
第1種衛生管理者|腎臓・泌尿器系の働きと尿検査を解説
腎臓・泌尿器系では、原尿の生成、尿細管での再吸収、尿の性状、体液や電解質の調節、老廃物の排出を整理しておくことが重要です。答えは(5)です。尿の成分は健康状態を反映しますが、尿素窒素は一般に尿ではなく血液を採取して行う血液検査で評価されるため、この記述は誤りです。
(1) 腎臓の皮質にある腎小体では、糸球体から蛋白質以外の血漿成分がボウマン囊に濾し出され、原尿が生成される。
適切です。腎小体は、糸球体とボウマン囊から構成され、腎臓の皮質に存在します。糸球体では血液がろ過され、水分、電解質、ブドウ糖、尿素などの小さな成分がボウマン囊へ濾し出されます。これが原尿です。一方、蛋白質や血球のような大きな成分は通常ろ過されにくく、血液中に残ります。腎臓の働きを理解するうえでは、まず腎小体で原尿が作られるという流れを押さえることが大切です。
(2) 腎臓の尿細管では、原尿に含まれる大部分の水分及び身体に必要な成分が血液中に再吸収され、残りが尿として生成される。
適切です。腎小体で作られた原尿は、そのまますべて尿として排出されるわけではありません。尿細管を通る過程で、大部分の水分、ブドウ糖、アミノ酸、ナトリウムなど、身体に必要な成分が血液中へ再吸収されます。その結果、不要な成分や余分な水分などが濃縮され、最終的に尿となります。腎臓は単に老廃物を捨てる器官ではなく、必要なものを戻すことで体内環境を保つ器官でもあります。
(3) 尿は淡黄色の液体で、固有の臭気を有し、通常、弱酸性である。
適切です。正常な尿は一般に淡黄色の液体で、特有の臭気があります。尿の色は水分摂取量や濃縮の程度によって変化し、水分が少ないと濃い黄色になり、水分が多いと薄くなります。また、尿は通常、弱酸性です。ただし、食事内容、体調、薬剤などによって色やにおい、酸性・アルカリ性の傾きが変わることがあります。試験では、正常な尿の基本的な性状として、淡黄色、固有の臭気、通常弱酸性を押さえます。
(4) 尿の生成・排出により、体内の水分の量やナトリウムなどの電解質の濃度を調節するとともに、生命活動によって生じた不要な物質を排出する。
適切です。腎臓は、尿を作って排出することで、体内の水分量やナトリウム、カリウムなどの電解質濃度を調節しています。水分が多すぎる場合は尿量を増やし、水分が不足している場合は尿を濃縮して水分を保持します。また、蛋白質の代謝などで生じる尿素などの不要な物質を体外へ排出する働きもあります。腎臓は体液のバランスを保ち、老廃物を排出する重要な器官です。
(5) 尿の約95%は水分で、約5%が固形物であるが、その成分が全身の健康状態をよく反映するので、尿を採取して尿素窒素の検査が広く行われている。
不適切です。尿の約95%が水分で、約5%が固形物であること、尿の成分が健康状態を反映することは正しい内容です。しかし、尿素窒素の検査は、一般に尿を採取して行う検査ではなく、血液を採取して行う血液検査として広く用いられます。尿素窒素は、蛋白質代謝によって生じる尿素に含まれる窒素を測定するもので、腎機能や脱水状態などの評価に使われます。尿検査では、蛋白、糖、潜血、比重、pHなどを確認することが多いため、尿検査と血液検査の対象を混同しないことが重要です。
この問題で覚えるポイント
腎臓では、腎小体で血液がろ過されて原尿が作られ、尿細管で必要な水分や成分が再吸収され、残りが尿として排出されます。腎小体は糸球体とボウマン囊からなり、蛋白質や血球のような大きな成分は通常ろ過されにくい点が基本です。尿細管では、大部分の水分、ブドウ糖、アミノ酸、ナトリウムなどが再吸収されるため、原尿の量と実際に排出される尿量は大きく異なります。尿は通常、淡黄色で固有の臭気をもち、弱酸性です。また、腎臓は尿の生成・排出を通じて、水分量、電解質濃度、老廃物の排出を調節しています。尿の約95%は水分、約5%は固形物という数値も覚えておきましょう。検査では、尿検査と血液検査の区別が重要です。尿素窒素は血液検査で広く測定される項目であり、尿を採取して行う検査と混同しないことが正答につながります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、選択肢(5)の前半が正しいため、全体を正しいと判断しやすい点です。尿の約95%が水分で約5%が固形物であること、尿成分が健康状態を反映することは正しい内容です。しかし、最後の「尿を採取して尿素窒素の検査が広く行われている」という部分が誤りです。尿素窒素は腎機能などを見る血液検査の項目です。試験では、前半が正しい文章でも、後半に検査方法や用語のすり替えが入ることがあります。また、腎小体でのろ過、尿細管での再吸収、尿の性状、腎臓による体液調節は頻出なので、流れとして整理しておくと判断しやすくなります。
