【第一種衛生管理者過去問】2021年10月公表問題|問37|消化器系の消化酵素と栄養素の吸収メカニズム|労働生理を解説

出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)10月公表問題|労働生理第37問

問題

消化器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 三大栄養素のうち糖質はブドウ糖などに、蛋白質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とグリセリンに、酵素により分解されて吸収される。

(2) 無機塩及びビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。

(3) 膵臓から十二指腸に分泌される膵液には、消化酵素は含まれていないが、血糖値を調節するホルモンが含まれている。

(4) ペプシノーゲンは、胃酸によってペプシンという消化酵素になり、蛋白質を分解する。

(5) 小腸の表面は、ビロード状の絨毛という小突起で覆われており、栄養素の吸収の効率を上げるために役立っている。

第1種衛生管理者|消化器系の消化酵素と栄養素の吸収メカニズムを解説

消化器系では、糖質、蛋白質、脂肪が消化酵素によって小さな分子に分解され、小腸を中心に吸収されます。答えは(3)です。膵液にはアミラーゼ、トリプシン、リパーゼなどの消化酵素が含まれており、十二指腸に分泌されて消化を助けます。血糖値を調節するインスリンやグルカゴンは膵臓から血液中に分泌されるホルモンであり、膵液に含まれて十二指腸へ出るものではありません。

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(1) 三大栄養素のうち糖質はブドウ糖などに、蛋白質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とグリセリンに、酵素により分解されて吸収される。

適切です。その理由は、三大栄養素はそのままでは分子が大きく、体内に吸収されにくいためです。糖質は唾液や膵液などに含まれるアミラーゼなどの働きで最終的にブドウ糖などの単糖類に分解されます。蛋白質は胃液中のペプシンや膵液中のトリプシンなどによって分解され、最終的にアミノ酸として吸収されます。脂肪は胆汁によって乳化され、膵液中のリパーゼなどにより脂肪酸とグリセリンなどに分解されて吸収されます。

(2) 無機塩及びビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。

適切です。その理由は、無機塩やビタミン類は、糖質、蛋白質、脂肪のように消化酵素で細かく分解する必要がない物質だからです。カルシウム、ナトリウム、鉄などの無機塩は、主にイオンなどの形で吸収されます。ビタミン類も種類によって吸収のされ方に違いはありますが、基本的には消化酵素によって分解されてから吸収されるものではありません。

(3) 膵臓から十二指腸に分泌される膵液には、消化酵素は含まれていないが、血糖値を調節するホルモンが含まれている。

不適切です。その理由は、膵液には消化酵素が含まれており、血糖値を調節するホルモンは膵液として十二指腸に分泌されるものではないためです。膵臓には、消化液を十二指腸に出す外分泌の働きと、インスリンやグルカゴンなどのホルモンを血液中に出す内分泌の働きがあります。膵液は外分泌によって十二指腸に送られる液で、糖質を分解するアミラーゼ、蛋白質を分解するトリプシンなど、脂肪を分解するリパーゼなどを含みます。血糖値を調節するホルモンは血液中に分泌されるため、ここを混同しないことが重要です。

(4) ペプシノーゲンは、胃酸によってペプシンという消化酵素になり、蛋白質を分解する。

適切です。その理由は、胃では蛋白質の消化が始まるためです。胃腺から分泌されるペプシノーゲンは、そのままでは強い蛋白質分解作用を示しませんが、胃酸の作用を受けることでペプシンに変化します。ペプシンは蛋白質を分解する消化酵素です。胃酸は食物中の細菌を殺す働きだけでなく、ペプシノーゲンを活性化する役割もあります。

(5) 小腸の表面は、ビロード状の絨毛という小突起で覆われており、栄養素の吸収の効率を上げるために役立っている。

適切です。その理由は、小腸の内壁にある絨毛によって表面積が大きくなり、栄養素を効率よく吸収できる構造になっているためです。小腸は消化された栄養素を吸収する主要な場所です。絨毛の内部には毛細血管やリンパ管があり、ブドウ糖やアミノ酸は主に血液へ、脂肪の分解産物は主にリンパ管へ取り込まれます。絨毛は、小腸が吸収器官として働くための重要な構造です。

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この問題で覚えるポイント

消化器系では、三大栄養素が消化酵素によって吸収可能な大きさまで分解される点が基本です。糖質はブドウ糖などの単糖類、蛋白質はアミノ酸、脂肪は脂肪酸とグリセリンなどに分解されます。無機塩やビタミン類は、原則として消化酵素による分解を受けずに吸収されます。胃ではペプシノーゲンが胃酸によってペプシンとなり、蛋白質を分解します。膵臓は特に重要で、十二指腸へ膵液を分泌する外分泌機能と、インスリンやグルカゴンを血液中へ分泌する内分泌機能があります。膵液にはアミラーゼ、トリプシン、リパーゼなどの消化酵素が含まれますが、血糖値を調節するホルモンは膵液ではなく血液中に分泌されます。小腸は栄養素吸収の中心であり、絨毛によって表面積を広げ、吸収効率を高めています。

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ひっかけポイント

この問題の最大のひっかけは、膵臓の外分泌と内分泌を混同させる点です。膵臓は消化にも血糖調節にも関係するため、「膵臓から分泌されるもの」という大きな理解だけだと誤答しやすくなります。膵液は十二指腸へ出る消化液であり、消化酵素を含みます。インスリンやグルカゴンは血糖値を調節するホルモンで、血液中へ出ます。また、「消化酵素は含まれていないが」という前半部分と、「血糖値を調節するホルモンが含まれている」という後半部分の両方が誤りになっているため、一部だけを見て判断しないことが大切です。消化器系では、どの器官が、どこへ、何を分泌するのかを整理して覚えると、同じパターンの問題に対応しやすくなります。

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