出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)10月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの)第19問
問題
特殊健康診断に関する次の文中の( )内に入れるAからCの語句の組合せとして、正しいものは( 1 )~( 5 )のうちどれか。
「特殊健康診断において有害物の体内摂取量を把握する検査として、生物学的モニタリングがあり、トルエンについては、尿中の( A )を測定し、( B )については、( C )中のデルタアミノレブリン酸を測定する。」
(1) A:馬尿酸 B:鉛 C:尿
(2) A:馬尿酸 B:鉛 C:血液
(3) A:マンデル酸 B:鉛 C:尿
(4) A:マンデル酸 B:水銀 C:尿
(5) A:マンデル酸 B:水銀 C:血液
第1種衛生管理者|特殊健康診断の生物学的モニタリングとトルエン・鉛代謝物を解説
特殊健康診断では、有害物質が体内にどの程度取り込まれているかを確認するため、生物学的モニタリングが行われます。トルエンでは尿中の馬尿酸を測定し、鉛では尿中のデルタアミノレブリン酸を測定します。よって、正しい組合せはAが馬尿酸、Bが鉛、Cが尿であり、答えは(1)です。
(1) A:馬尿酸 B:鉛 C:尿
適切です。トルエンは体内に吸収されると、主に肝臓で代謝され、馬尿酸として尿中に排泄されます。そのため、トルエンへのばく露状況を把握する検査では、尿中の馬尿酸が重要な指標になります。また、鉛による影響を確認する検査では、尿中のデルタアミノレブリン酸を測定します。鉛はヘム合成を妨げるため、その過程で関係するデルタアミノレブリン酸が増加し、尿中に排泄されやすくなります。トルエンは尿中馬尿酸、鉛は尿中デルタアミノレブリン酸という組合せを覚えておくと判断しやすいです。
(2) A:馬尿酸 B:鉛 C:血液
不適切です。トルエンについて尿中の馬尿酸を測定する点、鉛についてデルタアミノレブリン酸を測定する点は正しいです。しかし、デルタアミノレブリン酸を測定する検体は血液ではなく尿です。鉛に関する特殊健康診断では、血液中の鉛量なども関連知識として出てきますが、この問題で問われているデルタアミノレブリン酸は尿中のものです。血液と尿を入れ替えるひっかけに注意が必要です。
(3) A:マンデル酸 B:鉛 C:尿
不適切です。鉛について尿中のデルタアミノレブリン酸を測定する点は正しいです。しかし、トルエンの代謝物として測定される代表的なものは馬尿酸であり、マンデル酸ではありません。マンデル酸は、スチレンなどの代謝物として関連づけて覚える内容です。トルエン、キシレン、スチレンなどの有機溶剤は代謝物名が混同されやすいため、トルエンは馬尿酸と整理しておくことが大切です。
(4) A:マンデル酸 B:水銀 C:尿
不適切です。トルエンについてマンデル酸を測定する点が誤りです。トルエンでは尿中の馬尿酸を測定します。また、尿中デルタアミノレブリン酸は水銀ではなく鉛に関連する指標です。水銀と鉛はどちらも有害金属として扱われますが、特殊健康診断で問われる検査項目は異なります。有害物質名だけでなく、検体と測定項目をセットで覚える必要があります。
(5) A:マンデル酸 B:水銀 C:血液
不適切です。トルエンについて測定する代謝物はマンデル酸ではなく馬尿酸です。また、デルタアミノレブリン酸は水銀ではなく鉛に関係し、測定対象も血液中ではなく尿中です。この選択肢は、物質名、代謝物、検体のすべてを混同させる構成になっています。特殊健康診断の生物学的モニタリングでは、どの有害物に対して、何を、どの検体で測定するかを正確に対応させることが重要です。
この問題で覚えるポイント
生物学的モニタリングとは、有害物質そのものや代謝物を血液、尿などから測定し、体内への取り込み量や影響を把握する検査です。第一種衛生管理者試験では、トルエンは尿中馬尿酸、鉛は尿中デルタアミノレブリン酸という対応が特に重要です。トルエンは有機溶剤で、体内で代謝されて馬尿酸として尿中に排泄されます。鉛はヘム合成を阻害するため、デルタアミノレブリン酸が増加し、尿中に現れます。似た知識として、スチレンではマンデル酸などが関係しますが、トルエンとマンデル酸を結びつけないように注意します。特殊健康診断の問題では、有害物質名、検査項目、検体の三つをセットで覚えることが正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、トルエンの代謝物である馬尿酸と、他の有機溶剤に関係するマンデル酸を混同させる点です。また、鉛に関する検査では血液中鉛量の知識もあるため、デルタアミノレブリン酸の検体を血液と誤って判断しやすくなっています。さらに、水銀や鉛のような有害金属をひとまとめに覚えていると、どの物質にどの検査項目が対応するかが曖昧になります。このテーマでは、単語の見覚えだけで選ぶと誤答しやすいため、トルエンは尿中馬尿酸、鉛は尿中デルタアミノレブリン酸という形で、検体まで含めて固定して覚えることが大切です。
