【第一種衛生管理者過去問】2021年4月公表問題|問44|筋肉の種類・筋収縮・筋力発生の仕組み|労働生理を解説

出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)4月公表問題|労働生理第44問

問題

筋肉に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 横紋筋は、骨に付着して身体の運動の原動力となる筋肉で意志によって動かすことができるが、平滑筋は、心筋などの内臓に存在する筋肉で意志によって動かすことができない。

(2) 筋肉は神経からの刺激によって収縮するが、神経より疲労しにくい。

(3) 荷物を持ち上げたり、屈伸運動を行うときは、筋肉が長さを変えずに外力に抵抗して筋力を発生させる等尺性収縮が生じている。

(4) 強い力を必要とする運動を続けていると、筋肉を構成する個々の筋線維の太さは変わらないが、その数が増えることによって筋肉が太くなり筋力が増強する。

(5) 筋肉自体が収縮して出す最大筋力は、筋肉の断面積1cm2当たりの平均値をとると、性差や年齢差がほとんどない。

第1種衛生管理者|筋肉の種類・筋収縮・筋力発生の仕組みを解説

筋肉の種類、収縮の仕方、筋力が大きくなる仕組みを問う内容です。答えは(5)です。筋肉が発生できる力は、筋肉の断面積に大きく関係し、断面積1cm2当たりで見ると性差や年齢差はほとんどないとされています。横紋筋、平滑筋、心筋の分類や、等尺性収縮と等張性収縮の違いを整理しておくと判断しやすくなります。

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(1) 横紋筋は、骨に付着して身体の運動の原動力となる筋肉で意志によって動かすことができるが、平滑筋は、心筋などの内臓に存在する筋肉で意志によって動かすことができない。

不適切です。その理由は、心筋は平滑筋ではなく横紋筋に分類されるためです。骨格筋は横紋筋で、骨に付着して体を動かす働きがあり、自分の意志で動かせる随意筋です。平滑筋は、胃、腸、血管、子宮などの内臓や血管壁に存在し、自分の意志では動かせない不随意筋です。心筋は心臓を構成する筋肉で、自分の意志では動かせない不随意筋ですが、構造上は横紋があるため横紋筋に分類されます。つまり、「心筋などの内臓に存在する筋肉」を平滑筋としてまとめている点が誤りです。

(2) 筋肉は神経からの刺激によって収縮するが、神経より疲労しにくい。

不適切です。その理由は、筋肉は神経より疲労しやすい組織だからです。筋肉は、神経から伝わる刺激を受けて収縮し、そのときにATPなどのエネルギーを消費します。強い運動や長時間の運動を続けると、エネルギーの消費や代謝産物の蓄積などにより、筋肉の働きが低下します。神経は刺激を伝える役割を持ちますが、一般に筋肉の方が疲労を起こしやすいと理解します。試験では「神経より疲労しにくい」という逆の表現に注意が必要です。

(3) 荷物を持ち上げたり、屈伸運動を行うときは、筋肉が長さを変えずに外力に抵抗して筋力を発生させる等尺性収縮が生じている。

不適切です。その理由は、荷物を持ち上げたり屈伸運動を行ったりするときは、筋肉の長さが変化する収縮が中心になるためです。等尺性収縮とは、筋肉の長さをほとんど変えずに力を発生する収縮です。たとえば、壁を押す、荷物を同じ姿勢で持ち続ける、静止した姿勢を保つような場合が該当します。荷物を持ち上げる動作や屈伸運動では、関節が動き、筋肉の長さも変わるため、等張性収縮に近い動きとして理解します。

(4) 強い力を必要とする運動を続けていると、筋肉を構成する個々の筋線維の太さは変わらないが、その数が増えることによって筋肉が太くなり筋力が増強する。

不適切です。その理由は、筋力トレーニングなどで筋肉が太くなる主な仕組みは、筋線維の数が増えることではなく、個々の筋線維が太くなることだからです。これを筋肥大といいます。強い負荷をかける運動を続けると、筋線維内のたん白質などが増え、一本一本の筋線維が太くなります。その結果、筋肉全体の断面積が大きくなり、発揮できる筋力も増加します。「筋線維の数が増える」という表現は試験で誤りとして出やすいポイントです。

(5) 筋肉自体が収縮して出す最大筋力は、筋肉の断面積1cm2当たりの平均値をとると、性差や年齢差がほとんどない。

適切です。その理由は、筋肉が発生する力は筋肉の断面積と密接に関係しており、単位断面積当たりで比較すると大きな性差や年齢差はほとんどないとされるためです。一般には、男性の方が女性より筋力が強い、若い人の方が高齢者より筋力が強いと考えられますが、それは筋肉量や筋断面積の違いによる影響が大きいです。筋肉そのものの単位面積当たりの力として見れば、差は小さいと理解します。試験では、「筋力の絶対値」ではなく「断面積1cm2当たり」という条件に注目することが重要です。

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この問題で覚えるポイント

筋肉は、骨格筋、平滑筋、心筋に大きく分けて整理します。骨格筋は横紋筋であり、骨に付着して体を動かす随意筋です。平滑筋は胃腸や血管などに存在し、自分の意志では動かせない不随意筋です。心筋は心臓の筋肉で、自分の意志では動かせない不随意筋ですが、構造上は横紋筋に分類されます。筋収縮では、筋肉の長さがほとんど変わらず力を出すものを等尺性収縮といい、姿勢保持や静止した状態で力を出す場面が代表例です。荷物を持ち上げる、屈伸するなど、関節が動いて筋肉の長さが変わる動作は等尺性収縮とは判断しません。筋力が増える主な理由は筋線維の数が増えることではなく、一本一本の筋線維が太くなる筋肥大です。最大筋力は筋肉の断面積に比例しやすく、断面積1cm2当たりで見ると性差や年齢差はほとんどない、という点が正誤判断に直結します。

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ひっかけポイント

このテーマでは、日常感覚と専門的な分類のズレが狙われます。特に心筋は「内臓にあるから平滑筋」と考えたくなりますが、正しくは横紋筋であり、不随意筋です。つまり、横紋筋か平滑筋かという構造上の分類と、随意筋か不随意筋かという支配の分類を混同しないことが重要です。また、荷物を持ち上げる動作は「力を入れているから等尺性収縮」と考えがちですが、筋肉の長さが変わるかどうかで判断します。筋力増強についても、「筋肉が増える」という表現から筋線維の数が増えると誤解しやすいですが、試験では筋線維が太くなる筋肥大として押さえます。さらに、最大筋力の性差や年齢差は、筋力そのものの大きさではなく、断面積1cm2当たりという条件付きで判断する点が再現性の高いひっかけです。

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