出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)4月公表問題|労働生理第39問
問題
腎臓又は尿に関する次のAからDの記述について、誤っているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
A ネフロン(腎単位)は、尿を生成する単位構造で、1個の腎小体とそれに続く1本の尿細管から成り、1個の腎臓中に約100万個ある。
B 尿の約95%は水分で、約5%が固形物であるが、その成分は全身の健康状態をよく反映するので、尿検査は健康診断などで広く行われている。
C 腎機能が正常な場合、糖はボウマン囊(のう)中に濾(こ)し出されないので、尿中には排出されない。
D 腎機能が正常な場合、大部分の蛋白質はボウマン囊中に濾し出されるが、尿細管でほぼ100%再吸収されるので、尿中にはほとんど排出されない。
(1) A, B
(2) A, C
(3) A, D
(4) B, C
(5) C, D
衛生管理者過去問|腎臓の構造・ネフロン・尿生成と尿検査を解説
腎臓と尿に関する基本事項では、ネフロンの構造、尿の成分、ボウマン囊での濾過、尿細管での再吸収を正確に区別することが大切です。答えは(5)です。Cは、糖はボウマン囊中にいったん濾し出されますが、腎機能が正常で血糖値が一定範囲内であれば尿細管で再吸収されるため、尿中には通常排出されません。Dは、蛋白質は分子が大きいため、正常な腎臓では大部分がボウマン囊中に濾し出されないので誤りです。

(1) A, B
不適切です。AとBはいずれも正しい記述です。ネフロンは腎臓で尿をつくる基本単位で、腎小体と尿細管から構成されます。腎小体は糸球体とボウマン囊から成り、血液中の水分や小さな成分を濾過する場所です。尿細管では、必要な水分やブドウ糖、電解質などが再吸収され、不要な物質が尿として排出されます。また、尿は大部分が水分で、尿素、尿酸、クレアチニン、電解質などの固形物を含みます。尿の成分は腎臓だけでなく、糖代謝、肝機能、脱水、感染など全身状態を反映するため、健康診断で尿検査が広く行われています。
(2) A, C
不適切です。Aは正しい記述ですが、Cは誤りです。ネフロンは尿生成の単位構造であり、1個の腎小体とそれに続く尿細管から成るという説明は適切です。一方、糖はボウマン囊中に濾し出されないのではありません。ブドウ糖は分子が比較的小さいため、糸球体で濾過され、いったん原尿中に入ります。ただし、正常な状態では尿細管でほぼ再吸収されるため、最終的な尿中には通常排出されません。つまり、尿に糖が出ない理由は「濾過されないから」ではなく、「濾過された後に再吸収されるから」です。
(3) A, D
不適切です。Aは正しい記述ですが、Dは誤りです。ネフロンの数は1個の腎臓に約100万個あり、腎臓の尿生成機能を担う基本単位です。Dでは、蛋白質が大部分ボウマン囊中に濾し出されるとされていますが、ここが誤りです。蛋白質は分子量が大きく、正常な糸球体の濾過膜を通過しにくいため、通常はほとんど濾過されません。そのため、正常な尿中には蛋白質はほとんど含まれません。尿蛋白が認められる場合は、糸球体の障害などが疑われることがあります。
(4) B, C
不適切です。Bは正しい記述ですが、Cは誤りです。尿は約95%が水分で、残りに尿素、尿酸、クレアチニン、ナトリウム、カリウムなどが含まれます。尿検査では、蛋白、糖、潜血、比重などを調べることで、腎臓病、糖尿病、尿路系の異常などの手がかりを得ることができます。Cについては、糖がボウマン囊中に濾し出されないという部分が誤りです。糖は糸球体で濾過されますが、正常であれば尿細管で再吸収されるため、尿中には通常出てこないと理解します。
(5) C, D
適切です。CとDはいずれも誤っている記述であるため、正解です。Cは、糖がボウマン囊中に濾し出されないとしている点が誤りです。実際には、糖は糸球体で濾過され、原尿中に入ります。その後、尿細管で再吸収されるため、腎機能が正常で血糖値が高すぎなければ尿中にはほとんど排出されません。Dは、蛋白質が大部分ボウマン囊中に濾し出されるとしている点が誤りです。蛋白質は分子が大きいため、正常な糸球体ではほとんど濾過されません。糖と蛋白質では、尿中に出ない理由が異なる点を押さえることが重要です。
この問題で覚えるポイント
腎臓で尿を生成する基本単位はネフロンであり、1個の腎小体とそれに続く1本の尿細管から成ります。腎小体は糸球体とボウマン囊で構成され、糸球体では血液中の水分や小さな物質が濾過されて原尿が作られます。1個の腎臓にはネフロンが約100万個あります。尿は約95%が水分で、約5%が尿素、尿酸、クレアチニン、電解質などの固形物です。尿検査は、腎機能、糖代謝、尿路の異常などを確認するため、健康診断で広く用いられます。糖は糸球体で濾過されますが、正常であれば尿細管で再吸収されるため尿中には通常出ません。蛋白質は分子が大きいため、正常な糸球体ではほとんど濾過されません。つまり、糖は「濾過されるが再吸収される」、蛋白質は「そもそも濾過されにくい」と区別して覚えることが、正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題の最大のひっかけは、糖と蛋白質が尿中にほとんど出ない理由を混同させる点です。どちらも正常な尿にはほとんど含まれないため、同じ仕組みで排出されないと考えてしまいやすいですが、実際は違います。糖は小さい分子なので糸球体で濾過されますが、尿細管で再吸収されます。蛋白質は大きい分子なので、正常な糸球体ではほとんど濾過されません。「尿に出ない」という結果だけを見るのではなく、「濾過されないのか、濾過された後に再吸収されるのか」を分けて考えることが重要です。また、文章の一部に正しい内容が含まれていると全体を正しいと判断しがちですが、理由づけの部分が誤っている場合は不適切な記述になります。
