出典:第一種衛生管理者2021年(令和3年度)4月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)第30問
問題
厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1) ディスプレイ画面上における照度は、500ルクス以下となるようにしている。
(2) 書類上及びキーボード上における照度は、300ルクス以上となるようにしている。
(3) ディスプレイ画面の位置、前後の傾き、左右の向き等を調整してグレアを防止している。
(4) ディスプレイは、おおむね30cm以内の視距離が確保できるようにし、画面の上端を眼の高さよりもやや下になるように設置している。
(5) 1日の情報機器作業の作業時間が4時間未満である労働者については、自覚症状を訴える者についてのみ、情報機器作業に係る定期健康診断の対象としている。
第1種衛生管理者|情報機器作業ガイドラインとVDT作業の労働衛生管理を解説
情報機器作業では、目の疲労、首や肩のこり、腰痛などを防ぐため、照度、グレア防止、ディスプレイとの視距離、健康診断の対象者などが労働衛生管理上の重要ポイントになります。答えは(4)です。ディスプレイとの視距離は、おおむね40cm以上を確保することが望ましいとされており、「30cm以内」とする記述は近すぎるため不適切です。
を解説する画像__1syu-2021-04-eisei-q30.webp)
(1) ディスプレイ画面上における照度は、500ルクス以下となるようにしている。
適切です。その理由は、ディスプレイ画面が明るすぎたり、周囲の照明が画面に映り込んだりすると、文字や画像が見えにくくなり、眼精疲労につながるためです。情報機器作業では、画面上の照度は500ルクス以下となるように管理することが望ましいとされています。画面は明るければよいというものではなく、まぶしさや反射を抑え、見やすい状態に調整することが大切です。
(2) 書類上及びキーボード上における照度は、300ルクス以上となるようにしている。
適切です。その理由は、書類やキーボードが暗いと、文字やキーを確認するために目を凝らすことになり、目の疲れや姿勢の悪化につながるためです。情報機器作業では、書類上及びキーボード上の照度は300ルクス以上となるようにすることが望ましいとされています。ディスプレイ画面は明るすぎないようにし、手元は十分に明るくするというバランスが重要です。
(3) ディスプレイ画面の位置、前後の傾き、左右の向き等を調整してグレアを防止している。
適切です。その理由は、グレアとは、照明や窓からの光が画面に反射したり、強い光が視界に入ったりして、まぶしさや見えにくさを生じる状態をいうためです。グレアがあると、画面を見続けるために目へ負担がかかり、疲労や作業効率の低下につながります。ディスプレイの位置、角度、向きを調整することは、グレア防止の基本的な対策です。
(4) ディスプレイは、おおむね30cm以内の視距離が確保できるようにし、画面の上端を眼の高さよりもやや下になるように設置している。
不適切です。その理由は、ディスプレイとの視距離は、おおむね40cm以上を確保することが望ましいとされているためです。「30cm以内」では画面に近すぎ、目の調節機能に負担がかかりやすくなります。画面の上端を眼の高さよりもやや下にするという部分は適切ですが、視距離の数値が誤っています。このように、一部は正しいが数値だけが誤っている選択肢は、試験でよく出るひっかけです。
(5) 1日の情報機器作業の作業時間が4時間未満である労働者については、自覚症状を訴える者についてのみ、情報機器作業に係る定期健康診断の対象としている。
適切です。その理由は、情報機器作業に係る健康診断では、作業時間や自覚症状の有無に応じて対象者を判断する考え方があるためです。1日の情報機器作業時間が4時間未満の労働者については、すべての者を一律に定期健康診断の対象とするのではなく、自覚症状を訴える者について対象とします。目の疲れ、首や肩のこり、腰痛などの症状がある場合には、作業環境や作業姿勢の見直しも重要になります。
この問題で覚えるポイント
情報機器作業では、ディスプレイ画面上の照度は500ルクス以下、書類上及びキーボード上の照度は300ルクス以上が重要な基準です。画面は明るすぎると反射やまぶしさの原因になり、手元は暗すぎると目を凝らして疲れやすくなります。グレア防止では、ディスプレイの位置、前後の傾き、左右の向き、照明や窓との位置関係を調整します。視距離はおおむね40cm以上を確保し、画面の上端は眼の高さよりやや下にすることが基本です。健康診断については、1日の情報機器作業時間が4時間未満の場合、自覚症状を訴える者が定期健康診断の対象となる点を押さえておきましょう。
ひっかけポイント
このテーマでは、数値の入れ替えや、一部だけ正しい文章に注意が必要です。特に「ディスプレイ画面上は500ルクス以下」「書類上及びキーボード上は300ルクス以上」「視距離はおおむね40cm以上」という数値が狙われやすいです。日常感覚では、画面に近い方が見やすい、明るい方がよいと考えがちですが、労働衛生管理では目の負担を減らすために適切な距離と照度のバランスが求められます。また、画面の上端を眼の高さよりやや下にする部分が正しいため、視距離の誤りを見落としやすい構成になっています。正誤判断では、文章全体が正しいかを確認し、正しい記述の中に紛れた数値のズレを見抜くことが大切です。
