【特例第一種衛生管理者過去問】2022年4月公表問題|問15|粉じん・ヒュームによる健康障害とじん肺の特徴|労働衛生(有害業務)を解説

出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)4月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの)第15問

問題

粉じん(ヒュームを含む。)による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) じん肺は、粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病である。

(2) 鉱物性粉じんに含まれる遊離けい酸(SiO2)は、石灰化を伴う胸膜肥厚や胸膜中皮腫を生じさせるという特徴がある。

(3) じん肺は、肺結核のほか、続発性気管支炎、続発性気胸、原発性肺がんなどを合併することがある。

(4) 溶接工肺は、溶接の際に発生する酸化鉄ヒュームのばく露によって発症するじん肺である。

(5) アルミニウムやその化合物によるじん肺は、アルミニウム肺と呼ばれている。

特例第一種衛生管理者|粉じん・ヒュームによる健康障害とじん肺の特徴を解説

粉じんによる健康障害では、じん肺の定義、原因物質、合併症、代表的なじん肺の名称を整理しておくことが大切です。答えは(2)です。遊離けい酸は、けい肺の原因となる代表的な鉱物性粉じんですが、石灰化を伴う胸膜肥厚や胸膜中皮腫は石綿による健康障害として特徴的です。遊離けい酸と石綿の健康障害を混同しないことが、この問題の正誤判断の中心です。

下に移動する

【特例第一種衛生管理者過去問】2022年4月公表問題|問15|粉じん・ヒュームによる健康障害とじん肺の特徴|労働衛生(有害業務)__t1syu-2022-04-eiseiyugai-q15

下に移動する

(1) じん肺は、粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病である。

適切です。じん肺は、長期間にわたって粉じんを吸入することで、肺の中に粉じんが沈着し、肺組織に線維増殖性の変化が生じる疾病です。線維増殖性変化とは、肺の組織が硬くなり、しなやかさを失っていく変化のことです。肺は本来、空気を取り込むために柔らかく伸び縮みする必要がありますが、じん肺が進行すると肺の弾力性が低下し、息切れや呼吸困難につながります。試験では、じん肺は単なる一時的な炎症ではなく、粉じんの吸入により肺に不可逆的な線維化が起こる疾病として押さえておくと判断しやすくなります。

(2) 鉱物性粉じんに含まれる遊離けい酸(SiO2)は、石灰化を伴う胸膜肥厚や胸膜中皮腫を生じさせるという特徴がある。

不適切です。遊離けい酸は、けい肺の原因となる代表的な物質です。けい肺では、肺内に粉じんが沈着し、肺組織に線維化が起こります。これに対して、石灰化を伴う胸膜肥厚、胸膜プラーク、胸膜中皮腫などは、石綿による健康障害として特徴的です。つまり、この選択肢は、遊離けい酸による障害と石綿による障害を入れ替えている点が誤りです。遊離けい酸はけい肺、石綿は胸膜肥厚や中皮腫という対応関係で覚えると、同じような問題にも対応しやすくなります。

(3) じん肺は、肺結核のほか、続発性気管支炎、続発性気胸、原発性肺がんなどを合併することがある。

適切です。じん肺は、肺に線維化が生じるだけでなく、さまざまな合併症を起こすことがあります。代表的な合併症として、肺結核、続発性気管支炎、続発性気管支拡張症、続発性気胸、原発性肺がんなどがあります。粉じんによって肺の防御機能や構造が損なわれると、感染症や呼吸器疾患を起こしやすくなります。衛生管理者試験では、じん肺は単独の病変だけでなく、合併症まで含めて問われることがあるため、肺結核や続発性気胸、原発性肺がんと結び付けて覚えておくと有効です。

(4) 溶接工肺は、溶接の際に発生する酸化鉄ヒュームのばく露によって発症するじん肺である。

適切です。溶接作業では、金属が高温で加熱されることにより、非常に細かい粒子であるヒュームが発生します。酸化鉄ヒュームを長期間吸入すると、肺に沈着して溶接工肺を発症することがあります。ヒュームは粉じんの一種として扱われ、固体が加熱されて蒸気となり、それが空気中で冷却されて微粒子になったものです。粉じんと聞くと砂や鉱物の粉だけをイメージしがちですが、溶接で発生する金属ヒュームも健康障害の原因になる点を押さえておく必要があります。

(5) アルミニウムやその化合物によるじん肺は、アルミニウム肺と呼ばれている。

適切です。アルミニウムやその化合物の粉じんを吸入することで生じるじん肺は、アルミニウム肺と呼ばれます。じん肺には原因となる粉じんの種類によってさまざまな名称があり、遊離けい酸によるけい肺、石綿による石綿肺、酸化鉄ヒュームによる溶接工肺、アルミニウムによるアルミニウム肺などがあります。名称と原因物質の対応を整理しておくと、選択肢の入れ替えに気づきやすくなります。

下に移動する

この問題で覚えるポイント

じん肺は、粉じんを長期間吸入することで肺に線維増殖性変化が起こる疾病です。重要なのは、原因物質と健康障害の対応関係です。遊離けい酸はけい肺、石綿は石綿肺や胸膜肥厚、胸膜プラーク、胸膜中皮腫、酸化鉄ヒュームは溶接工肺、アルミニウムやその化合物はアルミニウム肺と整理します。じん肺では、肺結核、続発性気管支炎、続発性気管支拡張症、続発性気胸、原発性肺がんなどの合併症も問われます。粉じんには、鉱物性粉じんだけでなく、溶接時に発生する金属ヒュームも含まれます。正誤判断では、じん肺の定義そのもの、原因物質、代表的な病名、合併症をセットで覚えることが大切です。

下に移動する

ひっかけポイント

この問題のひっかけは、遊離けい酸と石綿による健康障害を混同させる点にあります。どちらも粉じんによる重大な呼吸器障害を起こすため、受験者は似たものとしてまとめて覚えてしまいがちです。しかし、遊離けい酸はけい肺、石綿は胸膜肥厚や胸膜中皮腫という特徴があります。文章の前半だけを見ると、鉱物性粉じんや遊離けい酸という言葉が正しそうに見えますが、後半に石綿特有の障害が混ぜられています。このように、一部だけ正しい文章は誤答を誘いやすい典型的なパターンです。原因物質と病変の組合せが正しいかを最後まで確認する習慣が重要です。

短期間で衛生管理者試験の合格を目指したい方はこちら

図解・動画中心で学びたい方向け。

次の問題へ