【危険物取扱者乙種4類予想問題3】|問22|燃焼範囲と爆発限界|物理・化学を解説

問題

可燃性ガスや可燃性蒸気の燃焼範囲(爆発限界)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 燃焼範囲とは、可燃性物質の温度が発火点以上となる温度範囲をいう。

(2) 可燃性ガスの濃度が燃焼範囲の下限未満でも、酸素濃度を高くすれば必ず燃焼する。

(3) 燃焼範囲の上限を超える濃度では、空気(酸素)が不足するため、通常は燃焼・爆発しない。

(4) 燃焼範囲は、すべての危険物について同じ濃度範囲である。

(5) 燃焼範囲が広い物質ほど、安全性が高く、火災や爆発の危険性は小さい。

危険物取扱者乙種4類|燃焼範囲と爆発限界を解説

可燃性ガスや可燃性蒸気は、空気中に存在しているだけで必ず燃焼するわけではありません。燃焼するためには、可燃性ガスや蒸気の濃度が一定の範囲内にあり、さらに酸素と点火源が存在する必要があります。この燃焼可能な濃度範囲を燃焼範囲または爆発範囲といいます。燃焼範囲の下限未満では可燃性物質が少なすぎるため燃焼せず、上限を超えると酸素が不足するため通常は燃焼しません。正しい答えは(3)です。上限を超えた状態では可燃性物質の割合が多すぎて、燃焼に必要な酸素が不足するためです。ただし、空気が流入して濃度が燃焼範囲内まで下がると、急に燃焼または爆発する危険があるため、上限を超えている状態を安全と判断してはいけません。

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(1) 燃焼範囲とは、可燃性物質の温度が発火点以上となる温度範囲をいう。

不適切です。燃焼範囲とは、可燃性ガスや可燃性蒸気が空気中で燃焼できる濃度の範囲をいいます。温度の範囲ではありません。通常は空気中に含まれる可燃性ガスや蒸気の体積百分率で表され、燃焼可能な最も低い濃度を燃焼下限界、最も高い濃度を燃焼上限界といいます。発火点は、火炎や火花などの外部の点火源がなくても、その物質が自ら燃焼を始める最低温度です。燃焼範囲は濃度に関する概念であり、発火点は温度に関する概念であるため、両者を区別する必要があります。また、引火点も温度に関する用語ですが、こちらは液体が点火源によって引火するのに必要な蒸気を発生する最低温度です。燃焼範囲、発火点、引火点は試験で混同させる形で出題されやすい用語です。

(2) 可燃性ガスの濃度が燃焼範囲の下限未満でも、酸素濃度を高くすれば必ず燃焼する。

不適切です。燃焼範囲の下限未満では、可燃性ガスや蒸気の量が少なすぎるため、通常は火炎が継続して伝わりません。燃焼は、可燃性物質から生じた熱によって周囲の混合気が次々と燃焼することで継続します。可燃性物質の濃度が低すぎると、発生する熱量が不足し、燃焼を持続できません。酸素濃度を高めると燃焼範囲が変化し、燃焼しやすくなることはありますが、濃度や温度、圧力、可燃性物質の種類などの条件によって結果は異なります。「必ず燃焼する」という断定は適切ではありません。また、燃焼には可燃性物質と酸素だけでなく、通常は火炎、火花、静電気などの点火源も必要です。燃焼範囲外であっても条件の変化によって燃焼範囲内に入ることがあるため、濃度の継続的な管理が重要です。

(3) 燃焼範囲の上限を超える濃度では、空気(酸素)が不足するため、通常は燃焼・爆発しない。

適切です。燃焼範囲の上限を超えた状態では、可燃性ガスや蒸気の割合が多すぎるため、混合気中の酸素が相対的に不足しています。燃焼には、可燃性物質と酸素が一定の割合で混合していることが必要です。可燃性物質が過剰で酸素が不足している状態では、点火源があっても通常は火炎が継続して伝わらないため、燃焼や爆発は起こりません。この燃焼可能な最高濃度を燃焼上限界または爆発上限界といいます。ただし、上限を超えている状態は安全な状態ではありません。換気や容器の開放などによって空気が流入すると、可燃性ガスや蒸気が薄まり、濃度が上限界以下に下がって燃焼範囲内に入ることがあります。その時点で点火源が存在すると、急激に燃焼または爆発する危険があります。上限を超えているから火を近づけてもよい、という意味ではないことに注意が必要です。

(4) 燃焼範囲は、すべての危険物について同じ濃度範囲である。

不適切です。燃焼範囲は物質ごとに異なります。可燃性ガスや蒸気は、化学的性質、燃焼時に発生する熱量、酸素との反応性などが異なるため、燃焼下限界と燃焼上限界もそれぞれ異なります。例えば、ガソリン蒸気のように比較的狭い濃度範囲で燃焼するものもあれば、アセチレンや水素のように広い濃度範囲で燃焼するものもあります。また、同じ物質であっても、温度や圧力が上昇すると一般に燃焼範囲が広がる傾向があります。酸素濃度が高くなった場合にも、通常の空気中より燃焼可能な濃度範囲が広がることがあります。試験では、燃焼範囲が物質固有の性質であることを理解しておくことが重要です。

(5) 燃焼範囲が広い物質ほど、安全性が高く、火災や爆発の危険性は小さい。

不適切です。燃焼範囲が広い物質ほど、さまざまな濃度で燃焼や爆発が起こる可能性があるため、一般に危険性は高くなります。燃焼下限界が低い物質は、少量の可燃性ガスや蒸気が空気中に混ざっただけでも燃焼範囲に入ります。燃焼上限界が高い物質は、濃度が高い状態でも燃焼可能です。下限界が低く、上限界が高い物質は、燃焼可能な濃度の幅が広いため、漏えいや蒸発が起きた際に危険な混合気を形成しやすくなります。燃焼範囲が広いことは、安全な濃度範囲が広いという意味ではなく、燃焼可能な危険領域が広いという意味です。安全性を判断するときは、燃焼範囲の広さだけでなく、引火点、発火点、蒸気比重、蒸気圧なども併せて確認する必要があります。

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この問題で覚えるポイント

燃焼範囲または爆発範囲とは、可燃性ガスや可燃性蒸気が空気中で燃焼できる濃度範囲です。燃焼可能な最低濃度を燃焼下限界または爆発下限界といい、LELと表すことがあります。燃焼可能な最高濃度を燃焼上限界または爆発上限界といい、UELと表すことがあります。下限界未満では可燃性物質が少なすぎるため、燃焼による熱が周囲へ連続して伝わらず、通常は燃焼しません。上限界を超えると可燃性物質が多すぎて酸素が不足するため、通常は燃焼しません。下限界と上限界の間にある混合気は、点火源が存在すると燃焼や爆発を起こす可能性があります。下限界が低い物質ほど、少量の漏えいでも危険な濃度に達しやすくなります。燃焼範囲が広い物質ほど、燃焼可能となる条件が多いため、一般に火災や爆発の危険性が高くなります。燃焼範囲は物質ごとに異なり、温度、圧力、酸素濃度などによっても変化します。一般に温度が上昇すると下限界が低下し、上限界が上昇して、燃焼範囲が広がる傾向があります。燃焼範囲は濃度に関する概念です。引火点は、液体が点火源によって引火できる蒸気を発生する最低温度です。発火点は、外部の点火源がなくても自ら燃焼を始める最低温度です。燃焼範囲、引火点、発火点の違いを正確に区別することが、正誤判断に直結します。また、燃焼上限界を超えた状態でも、空気が混入して濃度が低下すれば燃焼範囲内に入るため、安全とはいえません。密閉容器やタンクを開放するときは、空気の流入によって危険な混合気が生じる可能性を考える必要があります。

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ひっかけポイント

このテーマでは、濃度を示す燃焼範囲と、温度を示す引火点や発火点を混同させる表現がよく使われます。「発火点以上となる範囲」など、燃焼に関係する用語を組み合わせた文章はもっともらしく見えますが、何の数値を表す概念なのかを確認することが重要です。また、燃焼範囲外では燃えないという知識から、上限界を超えた状態を安全だと考えてしまうことがあります。しかし、空気が流入すると濃度が燃焼範囲内まで下がり、かえって爆発しやすい状態になる可能性があります。「現在燃えないこと」と「危険がないこと」は同じではありません。「酸素を増やせば必ず燃える」「燃焼範囲はすべて同じ」のような、条件を無視した断定表現にも注意が必要です。物質の燃焼性は、可燃性物質の濃度、酸素濃度、温度、圧力、点火源など複数の条件によって決まります。さらに、燃焼範囲が広いという言葉を、安全に使用できる範囲が広いという意味に読み替えてしまうことがあります。実際には燃焼できる危険な濃度領域が広いという意味であり、一般に危険性は高くなります。試験では、「範囲が広い」という表現が安全範囲を示しているのか、危険範囲を示しているのかを確認すると、同じ形式の問題にも対応しやすくなります。

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