問題
物質の密度と比重に関する説明として、正しいものはどれか。
(1) 比重は物質の質量を体積で割った値であり、単位はkg/m³で表される。
(2) 同じ体積であれば、比重が小さい物質ほど質量は大きい。
(3) 比重が1より大きい液体は、水中では浮く。
(4) 比重は基準となる物質との密度の比であり、単位をもたない。
(5) 気体には比重という考え方は用いられない。
危険物取扱者乙種4類|物質の密度と比重を解説
密度と比重は似ていますが、密度は「単位体積あたりの質量」を表す値で、比重は「基準となる物質の密度と比べた割合」を表す値です。答えは(4)です。比重は密度どうしを比べた比なので、kg/m³やg/cm³のような単位はつきません。液体や固体では水を基準にすることが多く、比重が1より大きいものは水より重く、比重が1より小さいものは水より軽いと判断できます。

(1) 比重は物質の質量を体積で割った値であり、単位はkg/m³で表される。
不適切です。質量を体積で割った値は、比重ではなく密度です。密度は「どれくらい詰まっているか」を表す値で、kg/m³やg/cm³などの単位をもちます。比重は、ある物質の密度を基準物質の密度で割った値です。密度どうしの割り算なので単位は打ち消し合い、比重には単位がありません。試験では「密度」と「比重」の定義を入れ替えた表現がよく出ます。
(2) 同じ体積であれば、比重が小さい物質ほど質量は大きい。
不適切です。同じ体積で比べる場合、比重が大きい物質ほど密度が大きく、質量も大きくなります。たとえば同じ1Lでも、水より比重の大きい液体は水より重くなり、水より比重の小さい液体は水より軽くなります。比重は重さそのものではありませんが、同じ体積で比べると質量の大小判断に使えます。
(3) 比重が1より大きい液体は、水中では浮く。
不適切です。液体や固体の比重は、水を基準にして考えることが多いです。比重が1より大きい液体は、水より密度が大きいため、水中では沈む方向に働きます。水に浮くのは、一般に比重が1より小さい物質です。第4類危険物では、水より軽く水に溶けにくいものは水面に広がりやすく、火災時の危険性にも関係します。
(4) 比重は基準となる物質との密度の比であり、単位をもたない。
適切です。比重は、物質の密度を基準となる物質の密度で割った値です。液体や固体では、通常、水の密度を基準にします。密度どうしの比であるため、単位はありません。たとえば比重0.8の液体は水より軽く、比重1.2の液体は水より重いと判断できます。乙種4類では、危険物が水に浮くか沈むか、漏えい時にどこへ広がるかを判断するためにも重要です。
(5) 気体には比重という考え方は用いられない。
不適切です。気体にも比重という考え方は用いられます。気体の場合は、空気を基準にして比重を考えることがあります。空気より重い蒸気は低い場所に滞留しやすく、空気より軽い気体は上方に拡散しやすいです。第4類危険物では、可燃性蒸気が空気より重いものが多く、床付近やくぼ地にたまりやすい点が火災・爆発危険につながります。
この問題で覚えるポイント
密度は「質量÷体積」で求める値で、kg/m³やg/cm³などの単位をもちます。比重は「物質の密度÷基準物質の密度」で求める値で、単位をもちません。液体や固体では水を基準にすることが多く、比重が1より大きいものは水より重く沈みやすく、比重が1より小さいものは水より軽く浮きやすいです。気体や蒸気では空気を基準に比重を考えることがあり、空気より重い蒸気は低所に滞留しやすくなります。乙種4類では、引火性液体そのものの性質だけでなく、可燃性蒸気がどこにたまるか、水に浮くか沈むかという判断が火災予防や消火方法に直結します。
ひっかけポイント
このテーマでは、密度と比重を混同させる表現に注意が必要です。「質量を体積で割る」と出てきたら密度であり、比重ではありません。また、比重は「重さ」という言葉を含みますが、質量そのものではなく密度の比です。さらに、比重が1より大きいと「大きいから浮く」と日常感覚で考えてしまうと誤ります。水より密度が大きいので沈む、と整理することが大切です。気体には比重を使わないという断定も誤りで、空気より重いか軽いかは危険物の蒸気の滞留や爆発危険を判断する重要な知識です。
