【ビル管過去問】令和3年度 問題119|給湯設備における水の性質|密度・溶解度・圧力・腐食速度を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|給水および排水の管理第119問

問題

給湯設備における水の性質に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 4°C以上の水は、温度が高くなると密度は小さくなる。

(2) 配管内の水中における気体の溶解度は、水温の上昇により増加する。

(3) 給湯設備で扱う範囲の水は、ほとんど非圧縮性である。

(4) 水中に溶存している空気は、配管内の圧力が高いと分離されにくい。

(5) 水温が高いほど、金属腐食速度が速くなる。

 

 

 

ビル管過去問|給湯設備における水の性質を解説

この問題は、給湯設備で扱う水の基本的な性質について問う問題です。密度の変化、気体の溶解度、圧力による影響、金属腐食との関係を正しく理解しているかがポイントです。不適切なのは(2)です。水に溶ける気体の量は、一般に水温が上がるほど減少するため、この性質を押さえておくことが重要です。

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(1) 4°C以上の水は、温度が高くなると密度は小さくなる。

適切です。その理由は、水は4°C付近で最も密度が大きく、それより温度が高くなると体積がわずかに増え、結果として密度が小さくなるためです。給湯設備では常温から高温までの水を扱いますが、その範囲では一般に温度上昇に伴って密度が低下します。水の密度変化は配管設計や循環の考え方にも関わる基礎知識ですので、4°Cが特別な温度であることを押さえておくと理解しやすいです。

(2) 配管内の水中における気体の溶解度は、水温の上昇により増加する。

不適切です。その理由は、水に対する気体の溶解度は、一般に水温が上昇すると減少するためです。たとえば、水を加熱すると溶け込んでいた空気が抜けやすくなり、気泡として現れやすくなります。やかんや給湯配管で加熱時に細かな気泡が見られるのも、この性質によるものです。給湯設備では温度上昇によって溶存空気が分離しやすくなり、エアかみや流れの不安定化につながることがあります。この選択肢は「温度が上がるとよく混ざるからよく溶ける」と考えてしまうと誤りやすいですが、実際は逆です。

(3) 給湯設備で扱う範囲の水は、ほとんど非圧縮性である。

適切です。その理由は、給湯設備で通常扱う圧力範囲では、水の体積は圧力によってほとんど変化しないためです。このような性質を非圧縮性といいます。気体は圧力で体積が大きく変わりますが、水のような液体はその変化が非常に小さいため、設備計算や流体の取扱いでは非圧縮性流体として扱うのが一般的です。この性質を理解しておくと、水と空気のふるまいの違いも整理しやすくなります。

(4) 水中に溶存している空気は、配管内の圧力が高いと分離されにくい。

適切です。その理由は、気体は圧力が高いほど水に溶け込みやすく、逆に圧力が低下すると水中から分離しやすくなるためです。たとえば、配管内で圧力が下がる部分では、溶けていた空気が気泡となって現れやすくなります。これは給湯設備だけでなく、ポンプまわりや高低差のある配管でも重要な現象です。圧力が高いと空気が水中にとどまりやすいという関係を理解しておくと、配管内の気泡発生の仕組みを説明しやすくなります。

(5) 水温が高いほど、金属腐食速度が速くなる。

適切です。その理由は、一般に温度が高くなると化学反応や電気化学反応が進みやすくなり、金属の腐食速度も増しやすくなるためです。給湯設備では常温の給水設備よりも高温条件で使用されるため、腐食への配慮がより重要になります。もちろん腐食は温度だけで決まるのではなく、水質、溶存酸素、流速、材料の種類など多くの条件に左右されますが、基本的には高温ほど腐食が進みやすいと理解しておくことが試験対策上有効です。

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この問題で覚えるポイント

給湯設備における水の性質では、まず水は4°Cで密度が最大となり、それより高温では温度上昇とともに密度が小さくなることを押さえることが大切です。次に、水に溶ける気体の量は、水温が高いほど少なくなり、圧力が高いほど多くなるという関係を整理して覚える必要があります。つまり、加熱すると気体は抜けやすくなり、減圧するとさらに分離しやすくなります。給湯配管で気泡が発生しやすいのは、この温度と圧力の両方の影響によるものです。 また、水は給湯設備で扱う通常の圧力範囲では、ほとんど非圧縮性の流体として扱います。これに対し、空気などの気体は圧縮性が大きく、水と空気の性質の違いが配管内の挙動の違いにつながります。さらに、腐食については高温ほど反応が進みやすく、金属腐食速度は一般に速くなると理解しておくことが重要です。試験では、水温、圧力、気体の溶解度、腐食の進みやすさをセットで問われることが多いため、個別に暗記するのではなく、相互の関係として整理すると得点しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、水温が上がると気体の溶解度も上がるように感じてしまう日常感覚とのズレにあります。たしかに温度が上がると物質がよく混ざったり、反応が進んだりする印象があるため、「溶けやすくなる」と早合点しやすいです。しかし、水に溶ける空気などの気体は、温度上昇でむしろ抜けやすくなります。この逆転した感覚を利用した出題は非常によくあります。 また、「圧力が高いと分離されにくい」という表現も見落としやすい部分です。圧力と溶解度の関係を正しく理解していないと、温度の話と混同して判断を誤りやすくなります。さらに、腐食は水質だけで決まると思い込んでいると、温度上昇によって腐食速度が増すという基本事項を見落とすことがあります。試験では、一見もっともらしい文章の中に、温度と圧力の関係だけを逆にして誤答を誘うことが多いため、「温度が上がると気体は溶けにくい」「圧力が上がると気体は溶けやすい」という組合せで覚えることが大切です。

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