【ビル管過去問】令和3年度 問題97|建築材料と部材の性質|スランプ試験・CLT・AE剤・木材強度を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|建築物の構造概論第97問

問題

建築材料と部材の性質に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) スランプ試験によるスランプ値が大きいほど、コンクリートの流動性が高いと評価できる。

(2) CLTは、挽板を繊維方向が直交するように積層した板材である。

(3) AE剤は、モルタルやコンクリートの中に多数の微小な空気泡を均一に分布させるために用いる。

(4) 鋼材の引張試験において、破断したときのひずみ度を伸びという。

(5) 木材の強度は、幹の半径方向(放射離)、年輪の接線方向、繊維方向(幹軸)の順に大きくなる。

 

 

 

ビル管過去問|建築材料と部材の性質|スランプ試験・CLT・AE剤・木材強度を解説

この問題は、コンクリート、木質材料、鋼材、木材といった代表的な建築材料の基本的な性質を整理して問う問題です。いずれも建築材料の基礎知識として重要ですが、正答を導くうえでは、用語の定義を丸暗記するだけでなく、材料ごとの性質の方向性や特徴を正確に理解していることが大切です。不適当なのは、木材の強度の大小関係を誤って述べたものです。木材は繊維方向の強度が最も大きく、放射方向や接線方向はそれよりかなり小さいため、この順序を逆に理解していると誤答しやすくなります。

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(1) スランプ試験によるスランプ値が大きいほど、コンクリートの流動性が高いと評価できる。

適切です。スランプ試験は、まだ固まっていないフレッシュコンクリートのやわらかさや流動性の目安を確認する試験です。スランプ値が大きいほど、コンクリートはよく変形し、流れやすい状態であると判断できます。ただし、スランプ値が大きければ何でも良いというわけではなく、大きすぎると材料分離を起こしやすくなるため、用途に応じた適切な範囲に調整することが重要です。試験では、単に数値を覚えるだけでなく、スランプ値が施工性と関係することを理解しておくと判断しやすくなります。

(2) CLTは、挽板を繊維方向が直交するように積層した板材である。

適切です。CLTは、Cross Laminated Timberの略で、日本語では直交集成板と呼ばれます。挽板を各層ごとに繊維方向が直交するように重ねて接着した木質材料です。この構造によって、一方向に偏りやすい木材の性質を補い、寸法安定性や面材としての強度を高めています。木材は繊維方向には強い一方で、方向によって性質に差がありますが、CLTはその弱点を補うようにつくられています。名称だけでなく、なぜ直交させるのかまで理解しておくことが大切です。

(3) AE剤は、モルタルやコンクリートの中に多数の微小な空気泡を均一に分布させるために用いる。

適切です。AE剤は、Air Entraining Agentの略で、コンクリートやモルタルの中に非常に細かい空気泡を連行させる混和剤です。これにより、ワーカビリティーが改善され、施工しやすくなるほか、凍結融解作用に対する抵抗性も向上します。特に寒冷地では重要な役割を果たします。受験では、AE剤と減水剤の違いがよく問われます。AE剤は微細な空気泡を入れることが中心であり、減水剤は必要な水量を減らして流動性を確保するものです。この違いを押さえておくと混同しにくくなります。

(4) 鋼材の引張試験において、破断したときのひずみ度を伸びという。

適切です。鋼材の引張試験では、試験片を引っ張っていき、どの程度まで変形し、最終的にどこで破断するかを調べます。このとき、破断時までにどれだけ長さが増えたかを表す指標が伸びです。伸びは材料の粘り強さや塑性変形能力をみるうえで重要な値であり、鋼材の靱性や加工性を考える際にも関係します。強度だけでなく、どれだけ変形に耐えられるかも材料性能の重要な要素であることを理解しておくと、関連問題にも対応しやすくなります。

(5) 木材の強度は、幹の半径方向(放射離)、年輪の接線方向、繊維方向(幹軸)の順に大きくなる。

不適切です。木材の強度は、方向によって大きく異なる異方性材料として知られています。最も強いのは繊維方向、つまり幹軸方向です。これに対して、放射方向や接線方向の強度はかなり小さくなります。一般に、繊維方向が最も大きく、放射方向と接線方向はそれより弱いと理解するのが基本です。この選択肢は、強度の大きい順序を逆に近い形で示しているため誤りです。木材は見た目には一様に見えても、内部構造の向きによって性質が大きく変わることを押さえておく必要があります。

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この問題で覚えるポイント

建築材料では、それぞれの材料がどのような性質を持つかを、用語の意味とあわせて整理して覚えることが大切です。フレッシュコンクリートでは、スランプ値が大きいほど流動性が高いと判断できますが、過大なスランプは材料分離につながるため、施工性と品質の両面から適正値で考える必要があります。コンクリートの混和剤では、AE剤は微細な空気泡を均一に分布させ、施工性や耐凍害性を向上させるものです。CLTは、挽板を各層で直交させて積層した木質材料であり、木材の方向による性質の偏りを補う構造を持っています。鋼材の引張試験では、引張強さや降伏点だけでなく、破断時までの伸びも重要な性能指標です。木材は典型的な異方性材料であり、繊維方向が最も強く、放射方向や接線方向は弱いという関係を確実に覚えておくことが、同テーマの問題を解くうえで非常に重要です。特に木材は、圧縮、引張、せん断の各強度だけでなく、方向による差が頻出なので、繊維方向が基本的に最も有利であるという原則を軸に整理すると理解しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、どの選択肢も一見するともっともらしく見える点にあります。特に注意したいのは、正しい知識の一部を知っているだけでは、誤りを見抜きにくいということです。木材の選択肢はその典型で、木材に方向性があることを知っていても、どの方向が強いのかを正確に覚えていないと迷いやすくなります。問題作成者は、専門用語を知っている受験者ほど、なんとなく正しそうだと感じて流してしまう心理を狙っています。また、AE剤やCLTのように略語や新しい材料名が出てくると、それだけで難しく感じてしまい、実は基本事項を問う問題であることを見失いやすくなります。さらに、スランプや伸びのような用語は日常語に近いため、感覚で判断してしまいがちですが、試験では定義に基づいて判断することが重要です。今後も、材料の性質を問う問題では、名称を見て雰囲気で選ばず、何を測る値か、どの方向や状態について述べているかを一つずつ確認する癖をつけることが、誤答防止につながります。

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