出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)4月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの)第20問
問題
局所排気装置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) ダクトの形状には円形、角形などがあり、その断面積を大きくするほど、ダクトの圧力損失が増大する。
(2) フード開口部の周囲にフランジがあると、フランジがないときに比べ、気流の整流作用が増すため、大きな排風量が必要となる。
(3) キャノピ型フードは、発生源からの熱による上昇気流を利用して捕捉するもので、レシーバ式フードに分類される。
(4) スロット型フードは、作業面を除き周りが覆われているもので、囲い式フードに分類される。
(5) 空気清浄装置を付設する局所排気装置を設置する場合、排風機は、一般に、フードに接続した吸引ダクトと空気清浄装置の間に設ける。
特例第一種衛生管理者|局所排気装置のフード種類・ダクト・排気方式を解説
局所排気装置では、有害物質を発生源の近くで捕捉し、ダクト、空気清浄装置、排風機などを通して屋外へ排出します。答えは(3)です。キャノピ型フードは、熱による上昇気流を利用して発生源から出る有害物質を受ける形で捕捉するため、レシーバ式フードに分類されます。フードの種類、ダクトの圧力損失、排風機の設置位置は混同しやすいので、名称だけでなく「どのように有害物を捕まえるか」を押さえることが大切です。
(1) ダクトの形状には円形、角形などがあり、その断面積を大きくするほど、ダクトの圧力損失が増大する。
不適切です。ダクトの断面積を大きくすると、同じ排風量であればダクト内の風速は小さくなります。圧力損失は、空気がダクト内を流れるときの摩擦や曲がりによって生じる抵抗であり、一般に風速が大きいほど増大します。そのため、断面積を大きくすれば必ず圧力損失が増大するという記述は誤りです。ただし、断面積を大きくしすぎると風速が不足し、粉じんなどがダクト内に堆積しやすくなる場合があります。試験では「断面積が大きいほど圧力損失が増える」と単純に判断しないことが重要です。
(2) フード開口部の周囲にフランジがあると、フランジがないときに比べ、気流の整流作用が増すため、大きな排風量が必要となる。
不適切です。フランジは、フード開口部の周囲に取り付けるつば状の部分です。フランジがあると、周囲から無駄に空気を吸い込むことを抑え、発生源側からの吸引を効率よく行いやすくなります。そのため、フランジがない場合に比べて、同じ捕捉効果を得るために必要な排風量は少なくて済む傾向があります。この選択肢は「整流作用が増す」という方向性は理解しやすいものの、「大きな排風量が必要」としている点が誤りです。
(3) キャノピ型フードは、発生源からの熱による上昇気流を利用して捕捉するもので、レシーバ式フードに分類される。
適切です。キャノピ型フードは、発生源の上方に設ける天蓋のような形のフードです。高温の作業や熱を伴う発生源では、空気が温められて上昇気流が生じます。キャノピ型フードは、この上昇気流に乗って上がってくる有害物質を受けるように捕捉します。このように、発生源から出る気流や熱による流れを利用して受ける方式のフードは、レシーバ式フードに分類されます。局所排気装置のフード分類では、囲い式、外付け式、レシーバ式の違いを押さえておくと判断しやすくなります。
(4) スロット型フードは、作業面を除き周りが覆われているもので、囲い式フードに分類される。
不適切です。スロット型フードは、細長い開口部から吸引する形のフードで、一般に外付け式フードに分類されます。作業面を除き周囲が覆われているものは、囲い式フードの説明です。囲い式フードは、発生源をできるだけ囲い込むため、有害物質の拡散を抑えやすく、比較的効率よく捕捉できます。この選択肢は、スロット型フードの名称と囲い式フードの特徴を入れ替えている点が誤りです。
(5) 空気清浄装置を付設する局所排気装置を設置する場合、排風機は、一般に、フードに接続した吸引ダクトと空気清浄装置の間に設ける。
不適切です。空気清浄装置を付設する局所排気装置では、一般に、排風機は空気清浄装置の後に設けます。つまり、有害物質を含む空気をフードで捕捉し、ダクトを通して空気清浄装置に送り、そこで粉じんや有害ガスなどを除去した後、排風機を通して排出する流れが基本です。排風機を空気清浄装置の前に置くと、汚染された空気が排風機を通過するため、排風機の腐食、摩耗、汚染などの原因になりやすくなります。安全性や設備保全の観点からも、排風機の位置は重要です。
この問題で覚えるポイント
局所排気装置は、フード、ダクト、空気清浄装置、排風機、排気口などで構成され、有害物質を発生源近くで捕捉して作業者のばく露を減らす設備です。フードは、発生源を囲い込む囲い式フード、発生源の外側から吸引する外付け式フード、熱や発生気流を利用して受けるレシーバ式フードに分類されます。キャノピ型フードは、熱による上昇気流を利用するためレシーバ式フードです。スロット型フードは細長い開口部から吸引する外付け式フードであり、囲い式フードではありません。フランジ付きフードは、余分な空気の吸込みを抑えて吸引効率を高めるため、必要排風量を小さくできる方向に働きます。ダクトでは、圧力損失は主に風速、ダクトの長さ、曲がり、断面形状、摩擦などの影響を受けます。同じ排風量なら、断面積が大きいほど風速は下がり、圧力損失は小さくなる傾向があります。空気清浄装置を付設する場合、排風機は一般に空気清浄装置の後に設け、清浄化された空気を排風機で排出する配置が基本です。
ひっかけポイント
局所排気装置の問題では、用語の印象だけで判断すると誤答しやすくなります。特に、キャノピ型は「上にあるから単に吸い込むフード」と考えるのではなく、熱による上昇気流を受けるレシーバ式と整理することが大切です。スロット型は細長い開口部という特徴が目立つため、囲われているイメージと混同しやすいですが、分類上は外付け式フードです。また、フランジは「部品が増えるから排風量も大きく必要」と考えてしまいがちですが、実際には吸引効率を高め、必要排風量を少なくする方向に働きます。ダクトの断面積についても、「大きいほど抵抗が大きい」という日常感覚に引っ張られやすいですが、同じ排風量では断面積が大きいほど風速が下がり、圧力損失は小さくなりやすいと理解します。装置の並び順では、排風機を汚染空気側に置くか、清浄後の空気側に置くかが狙われます。設備を傷めない、汚染を広げないという実務的な理由から、空気清浄装置の後に排風機を置くのが一般的だと覚えておくと、同じテーマの問題に対応しやすくなります。
