【第二種衛生管理者過去問】2021年4月公表問題|問3|産業医の職務と選任基準|巡視義務・権限・法令ポイント|関係法令を解説

出典:第二種衛生管理者2021年(令和3年度)4月公表問題|関係法令第3問

問題

産業医に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。

(1) 常時使用する労働者数が50人以上の事業場において、厚生労働大臣の指定する者が行う産業医研修の修了者等の所定の要件を備えた医師であっても、当該事業場においてその事業を統括管理する者は、産業医として選任することはできない。

(2) 産業医が、事業者から、毎月1回以上、所定の情報の提供を受けている場合であって、事業者の同意を得ているときは、産業医の作業場等の巡視の頻度を、毎月1回以上から2か月に1回以上にすることができる。

(3) 事業者は、産業医が辞任したとき又は産業医を解任したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない。

(4) 事業者は、産業医が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない。

(5) 事業者が産業医に付与すべき権限には、労働者の健康管理等を実施するために必要な情報を労働者から収集することが含まれる。

第二種衛生管理者|産業医の職務と選任基準|巡視義務・権限・法令ポイントを解説

産業医については、選任基準、巡視頻度、辞任・解任時の報告、産業医に与える権限がよく問われます。答えは(4)です。産業医については、旅行、疾病、事故などで職務を行えない場合に代理者を選任しなければならないという規定はありません。この代理者選任の規定は、総括安全衛生管理者などで問われやすい内容であり、産業医にも同じように適用されると考えてしまうと誤答しやすい問題です。

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(1) 常時使用する労働者数が50人以上の事業場において、厚生労働大臣の指定する者が行う産業医研修の修了者等の所定の要件を備えた医師であっても、当該事業場においてその事業を統括管理する者は、産業医として選任することはできない。

適切です。産業医は、常時使用する労働者数が50人以上の事業場で選任が必要です。また、産業医になるには、医師であるだけでなく、厚生労働大臣の指定する産業医研修を修了していることなど、一定の要件を満たしている必要があります。ただし、その事業場で事業を統括管理する者は、たとえ医師としての要件を満たしていても、産業医として選任することはできません。産業医は、労働者の健康管理について専門的・中立的な立場から意見を述べる役割があります。事業を統括する立場の人が産業医を兼ねると、経営上の判断と労働者の健康管理上の判断が衝突するおそれがあるため、法令上、選任できない扱いになっています。

(2) 産業医が、事業者から、毎月1回以上、所定の情報の提供を受けている場合であって、事業者の同意を得ているときは、産業医の作業場等の巡視の頻度を、毎月1回以上から2か月に1回以上にすることができる。

適切です。産業医の作業場等の巡視は、原則として毎月1回以上行う必要があります。ただし、一定の条件を満たす場合には、巡視の頻度を2か月に1回以上にすることができます。重要なのは、単に忙しいから巡視回数を減らせるわけではないという点です。事業者から産業医に対して、毎月1回以上、労働者の健康管理に必要な所定の情報が提供されていること、さらに事業者の同意があることが必要です。産業医が現場を直接見る回数を減らす代わりに、必要な情報が継続的に提供されることで、健康管理上の判断ができる状態を保つ仕組みです。

(3) 事業者は、産業医が辞任したとき又は産業医を解任したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない。

適切です。産業医が辞任した場合や、事業者が産業医を解任した場合には、事業者はその事実と理由を、遅滞なく衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければなりません。これは、産業医の独立性や適切な産業保健活動を確保するために重要な規定です。たとえば、産業医が事業者に不都合な意見を述べたことを理由に解任されるようなことがあれば、労働者の健康管理が損なわれるおそれがあります。そのため、辞任や解任の理由を委員会に報告させることで、透明性を確保する仕組みになっています。

(4) 事業者は、産業医が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない。

不適切です。産業医については、旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行うことができない場合に、代理者を選任しなければならないという規定はありません。ここがこの問題の正誤判断の中心です。衛生管理者試験では、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医など、似たような管理体制の規定が並んで出題されます。その中で、代理者の選任義務があるものとないものを混同しやすくなっています。産業医にも代理者が必要そうだと日常感覚で判断すると誤りになります。試験では、産業医について法令上定められている内容かどうかを正確に区別することが大切です。

(5) 事業者が産業医に付与すべき権限には、労働者の健康管理等を実施するために必要な情報を労働者から収集することが含まれる。

適切です。事業者は、産業医が職務を適切に行えるように、必要な権限を与えなければなりません。その権限には、労働者の健康管理等を実施するために必要な情報を労働者から収集することが含まれます。産業医は、健康診断の結果、長時間労働の状況、作業環境、労働者本人の健康状態などを踏まえて、事業者に意見を述べたり、必要な指導を行ったりします。そのため、必要な情報を集める権限がなければ、実効性のある健康管理ができません。産業医は単に名義上選任される存在ではなく、労働者の健康を守るために必要な情報を把握し、専門的な判断を行う役割を持っています。

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この問題で覚えるポイント

産業医は、常時使用する労働者数が50人以上の事業場で選任が必要です。産業医は医師であるだけでなく、産業医研修修了者など所定の要件を満たす必要がありますが、その事業場で事業を統括管理する者は産業医として選任できません。産業医の職場巡視は原則として毎月1回以上ですが、事業者から毎月1回以上所定の情報提供を受け、事業者の同意がある場合には、2か月に1回以上にすることができます。産業医が辞任した場合や解任された場合には、事業者は遅滞なく、その旨と理由を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告する必要があります。産業医には、労働者の健康管理等に必要な情報を労働者から収集する権限などを与える必要があります。産業医について、旅行、疾病、事故などで職務を行えない場合に代理者を選任しなければならないという規定はないため、代理者選任義務を他の安全衛生管理体制の規定と混同しないことが重要です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、産業医に関する規定と、他の安全衛生管理体制に関する規定を混同させる点にあります。旅行、疾病、事故などで職務を行えない場合に代理者を選任するという文章は、いかにも法令にありそうに見えます。特に、総括安全衛生管理者などの代理者選任の考え方を知っていると、産業医にも同じ規定があると判断してしまいやすくなります。しかし、衛生管理者試験では「ありそうか」ではなく「その対象に法令上定められているか」で判断する必要があります。また、産業医の巡視頻度は原則毎月1回以上ですが、一定条件のもとで2か月に1回以上にできるという例外も出題されやすいです。原則だけを覚えていると、例外規定を誤りと判断してしまうため、原則と例外をセットで押さえることが正答につながります。

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